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トリプルポジティブの術後治療について

[管理番号:672]
性別:女性
年齢:43才
初めまして
4年前から近医で定期検診をし、散在性石灰化がみられるも異常なし、1年後も石灰化認められるが6か月ごとの経過観察で良いとのことで、6か月ごとに検診しておりました。昨年定期検診1か月後の6月に左胸に5ミリほどのしこりに気づきすぐに受診、マンモ・エコー・触診をしましたがエコーで3.4×3.0×1.8とまだまだ小さく良性だろうとのことで、また半年後といわれました。今年3月に5ミリのしこりの横に人差し指の第一関節くらいのごつごつとしたしこりもふれ、すぐに受診、細胞診で疑陽性と診断され近医より紹介され転院、転院先で、エコー・マンモ・細胞診・マンモトーム生検後乳がんと診断されました。
マンモトームとMRIの結果から1.2CMのしこりと散在性石灰化の中にも癌がみられましたが、術前の結果は多分非浸潤であろうといわれ、5月に左胸胸筋温存乳房切除で手術しましたが、術後の結果が悪くとてもショックでしたが、子供も小さいので気持ちを切り替え治療に専念しようと決めました。
病理の結果
硬癌 
浸潤20ミリ×22ミリ、 5ミリ、 2ミリ
乳管内腫瘍径 12ミリ×60ミリ×22ミリ
ly(-)
v(-)
Histological grade  Ⅰ
pT  pT2
N   N0
ステージ2A
センチネル0/1
HER2  3+
ER    8/8
PgR   8/8
ki67 12.8%
術後、TC×4クール(1回済) ハ-セプチン18回(1回済) TC治療後ホルモン療法も予定しています。
そこで、田澤先生にお伺いしたいのですが、
①ネットでは、トリプルポジティブは、乳がん全体の10%ほどで再発転移を繰り返しやすく予後は悪いとの書き込みが多いのですが完治は可能でしょうか?
②ki-67は12.8%で増殖スピードはゆっくりでおとなしい癌と認識していたのですが、HER2 3+だと進行癌になるのでしょうか?
③全摘しているので、しこりが小さくなっている等の確認が出来ず、抗がん剤が効いているのかどうか不安です。PET検査や骨シンチは今は必要ないのでしょうか?
④治療方法はTC+ハーセプチン、ホルモン療法ですが、田澤先生も同じ治療方法ですすめられますか?
お忙しいところ、沢山の質問申し訳ありませんが、抱えている不安から少しでも抜け出せたらと思い、先生のご意見をいただけると幸いです。
どうぞよろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 「正しい診断」までの長い道のり、御苦労さまでした。
 質問者のように、「自分から積極的に(小さいうちに)受診」する姿勢を見て、全ての患者さんが「そうであれば…」と願うばかりです。
 質問者の「積極的な姿勢」に反して「担当医の診断が遅れがち」な事が残念です。
 「近医で細胞診」⇒紹介先でもまた「細胞診」をして、その後ようやく「マンモトーム生検」をして診断というのは、困ったものです。

回答

「ネットでは、トリプルポジティブは、乳がん全体の10%ほどで再発転移を繰り返しやすく予後は悪いとの書き込みが多いのですが完治は可能でしょうか?」
⇒このような「出鱈目な、人を不安にさせるような情報」を何故ネットで流すのでしょうか?
 そんな事をしている人の意味が解りません(人を不安にして何が楽しいのでしょうか?)
 ○馬鹿馬鹿しいネットの情報などは見ない様にすることが肝要です。(このQandAは別なのでご安心を)
⇒Adjuvant!Onlineというソフトを用いると「10年再発率は僅か8%」と出ます。
 「完治が可能」な事はいうまでもありません。
 
「ki-67は12.8%で増殖スピードはゆっくりでおとなしい癌と認識していたのですが、HER2 3+だと進行癌になるのでしょうか?」
⇒進行癌ではありません。
 このQandAをしていて多くの方が勘違いされているのでは?と思う事があります。
 「サブタイプ」よりも「ステージ」の方が何倍も重要なのです。
 「進行癌」という用語は「ステージ3以上に用いられる事が多い」ですが(ただ、乳癌の場合にはステージⅢでも根治の方が多いので、その言い方は好きではありませんが)
「HER2陽性」はかつては予後不良因子と考えられていましたが、今では「抗HER2療法のお陰で劇的に改善」しました。
 
「PET検査や骨シンチは今は必要ないのでしょうか?」
⇒不要です。
 質問者は浸潤径が22mmと「ぎりぎり2期」にはなりますが、実質1期と考えていい状況です。
 全く考える必要はありません。
 
「治療方法はTC+ハーセプチン、ホルモン療法ですが、田澤先生も同じ治療方法ですすめられますか?」
⇒全く同様です。
 私の治療している患者さんたちで「早期乳癌、HER2陽性」は全て、TC+ハーセプチンを行っています。(勿論、ホルモン感受性陽性の場合にはホルモン療法も併用)
 
 

 

質問者様から 【感想2】

田澤先生 
お忙しい中、早々にご回答下さりありがとうございます。
質問に対して、親身になって分かりやすくご回答くださり、久しぶりに不安から解放され心がとても楽になりました。
田澤先生ご自身の患者さんも多数おられる中、この様な場を設けて下さって感謝の気持ちでいっぱいです。不安を抱えた方がどれだけ助けられていることか!
治療は始まったばかりですが、前向きにやっていきたいと思います。
田澤先生、本当にありがとうございました。
 
 

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