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トリプルネガティヴ

[管理番号:2919]
性別:女性
年齢:44歳
トリプルネガティヴ 浸潤性乳管癌
核グレード3 .ki-67 70% .
現在しこりは左 乳頭の下で 4センチ近くあります。
治療方針は術前化学
療法8回の後 手術 となっていました。
今までの経緯は以下です。
2月(下旬)日細胞針、 エコー、マンモ(マンモ検査で分泌物 血液がかなり出た)
3月(上旬)日MRI 、乳がんと診断 しこり2.5センチ
3月(中旬)日CT検査 、結果転移なし
3月(下旬)日抗ガン剤 開始 EC療法 1回目
胸の痛みや張りがあり 抗ガン剤をした後も
しこりが大きくなっていると医師に伝えたが こんなに短期間では大きく
ならないと言われたので 写真を撮って大きさの違いを見せました。
写真で明らかにしこりが大きくなっていたので、やっと医師が信じてくれて 2回目の抗ガン剤の前にエコー検査することに。
4月(中旬)日抗ガン剤2回目 エコー検査 でしこり1センチ大きくなっていました。
エコー画像では しこりの真ん中が黒く、細胞が壊死しているとの事。
真ん中の黒い部分が前回のエコーより かなり増大していました。
(私には周りのがん細胞の部分も増えている様に見えました。)
胸の張りや痛みもかなりあるので分泌物(血液)も溜まっているのでしょうか?
しこりがどんどん大きくなっていくので 今回の抗ガン剤は効いていないと考えて良いのでしょうか?(あと残り2回やれば少しは効果があるのでしょうか?)
次回5月(中旬)日3回目の抗ガン剤の前にエコー検査をしてしこりが
小さくなっていなかったら 手術で全摘出と言われました。
私としては このまましこりが大きくなっていくのは不安なので、
しこりの変化に関係なく 全摘をした方がいいのでは思うようになりました。
しこりが短期間で本当に大きくなって 根が張っている様に
骨のほうにしっかりくっついてきて、高さもかなりあります。
担当医師はこんな短期間で大きくなることはほとんどないと言っていました。
私の様に増殖が早いのはまれなのでしょうか?
ki-67が70%と数値が高いせいですか?
しこり4センチ弱ですが 骨の方にしっかりくっついているので、手術は難しいのでしょうか?
同時再建はやはり避けた方がいいのでしょうか?
術後の抗ガン剤は DOCかCEFだと効く確率か高い方はどちらでしょうか?
タキサン系の抗ガン剤が効く可能性はまだありますか?
まだ効く抗ガン剤があると良いのですが…
再発した時に効く抗ガン剤があるのとないのとでは 余命にも大きく関わると思うので 不安です。
トリプルネガティヴの上に抗ガン剤が効かないタイプとなるとかなり絶望的になりましたが 、効かないなら早めに全摘するしかない!ですよね?
長くなりましたが 以上 宜しくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
術前化学療法を無闇(根拠無く)に勧める医師が多い事に、私が如何に辟易していることに(このQandAを沢山読んでいる方は)気づくと思います。
術前化学療法は決して「必ず効果があると保証された治療」ではありません。
「3-6%でPD(病勢進行)」というデータがあります。
○もしも質問者が(乳頭の下の4cmのしこりでは、小さくして温存というのに適切とは言えないかもしれません)最初から「全摘を望んでいた」とすれば、『術前抗がん剤の選択自体が誤った治療』と言えます。
 
「エコー画像では しこりの真ん中が黒く、細胞が壊死しているとの事。真ん中の黒い部分が前回のエコーより かなり増大」
⇒これは明らかに「病勢進行」です。
 ○注意しなくてはならないのは(壊死部分が大きくなっていることを)「抗がん剤が効いて腫瘍が壊死した」と「誤った理解」(そう信じたいだけかもしれませんが)する医師がいることです。
 「腫瘍が壊死=(栄養血管が追い付かない程)急速に腫瘍が増大」を意味します。
 
「しこりがどんどん大きくなっていくので 今回の抗ガン剤は効いていないと考えて良いのでしょうか?」
⇒勿論、その通りです。
 早期の手術を勧めます。
 
「次回5月(中旬)日3回目の抗ガン剤の前にエコー検査をしてしこりが小さくなっていなかったら 手術で全摘出と言われました。」
⇒タイミングが遅すぎます。(今更言っても仕方が有りませんが…)
 本来は4月19日の時点で「手術を考えるべき」でした。
 ○術前抗がん剤は、このような時のために「予め、仮の手術日程を確保しながら行わない」といけないのです。
 
「私としては このまましこりが大きくなっていくのは不安なので、しこりの変化に関係なく 全摘をした方がいいのでは思うようになりました。」
⇒その考えを私は支持します。
 
「担当医師はこんな短期間で大きくなることはほとんどないと言っていました。」
⇒もしも、本当にそうだとすれば「担当医師は、術前化学療法のリスク」について殆ど無警戒だったということになります。
 本来、そのようなケースを経験していれば「術前化学療法に慎重になるべき」なのです。
 
「私の様に増殖が早いのはまれなのでしょうか?」
⇒そんな事はありません。(冒頭でコメントした通りです)
 
「ki-67が70%と数値が高いせいですか?」
⇒90%以上の人も、珍しくありません。
 
「しこり4センチ弱ですが 骨の方にしっかりくっついているので、手術は難しいのでしょうか?」
⇒問題ありません。
 皮膚に拡がらない限り、問題無く手術はできます。
 
「同時再建はやはり避けた方がいいのでしょうか?」
⇒急速増大しているのであれば、「辞める」べきでしょう。
 
「術後の抗ガン剤は DOCかCEFだと効く確率か高い方はどちらでしょうか?」
⇒ECが効かなかったわけですから、術後はタキサンとなります。
 
「タキサン系の抗ガン剤が効く可能性はまだありますか?」
⇒あります。(アンスラサイクリンの効果とは無関係です)
 
「再発した時に効く抗ガン剤があるのとないのとでは 余命にも大きく関わると思うので 不安です。」
⇒気持ちは解りますが…
 「再発した時のこと」など考える必要はありません。
 術後に「タキサン(この場合はweekly PTXとすべきでしょう)」をきっちり行う事です。
 ♯アンスラサイクリンが効きにくかったことなど「全く無意味」です。
 
「トリプルネガティヴの上に抗ガン剤が効かないタイプとなるとかなり絶望的になりましたが 、効かないなら早めに全摘するしかない!ですよね?」
⇒増大する腫瘍を抑えきれなかったことと、「術後の再発予防としての効果」とは全く別です。
 タキサン系が「きっちりと(再発予防に)効果的であること」を信じて頑張ることです。