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セカンドオピニオンと転院

[管理番号:348]
性別:女性
年齢:44歳
MRI検査を行い2日後に診断結果と今後の治療法について主治医から話しがある予定です。
体調変化があった為、治療法や実績とか調べる暇もなく当日診断してくれる総合病院に駆け込みました。
しかし初診の時の対応の悪さ(誤診)があったこと、そして転移している可能性が高いのに結果まで2週間以上かかってること、もし手術して再建となった時の手術方法など検討すると、不信感があり転院も視野にいれています。
セカンドオピニオンを受けたいですが、転院ありきではだめなようで。
転移している可能性もあるので、どうやったら時間をかけずに転院をすることが出来ますか。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 「(セカンドオピニオン希望ではなく)転院希望」とのことですね。
 それでは回答します。

回答

「どうやったら時間をかけずに転院をすることが出来ますか」
⇒これはストレートに「転院希望」と伝えるのがいいでしょう。
 理由は何でもいいのです。
 「家族が入院している」でも、「友人が(医師や看護師として)勤めている」でも理由は構いません。
 そして「ぐずぐず」しているようなら『●月△日にすでに予約した』と、話してみましょう。
 
◎質問者の『転移している可能性もあるので、どうやったら時間をかけずに転院』という感覚は私も賛成です。
 時間を無駄にせずに、「スピード感のある治療」を受けてください。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

以前も質問しまして、お返事ありがとうございます。
セカンドオピニオンを考えていたのですが、検査結果を待ちだったのでその結果を聞いてセカンドオピニオンの話しを出し書類準備の日数を聞いたところ、1週間くらいかかると言われ、セカンドオピニオンを考えていたのなら前もって言ってくれたら・・と言われてしまいました。
1週間後には手術の予定で、私としてはシコリを発見してから乳癌診断の恐怖や日々の忙しさにかまけて放置してきてしまい、最初の診断が進行した状態で始まったので、日々転移の事を考えている現状、このままこの病院で最短で手術をするべきだろうと思います。
ただ、乳腺外科医のいる総合病院なのですが、病院の実績などいろいろ調べて受診した訳ではないので、セカンドオピニオンで他のお医者様のご意見を聞けなかった為、不安もあります。
私が分かっている検査結果は、硬癌、シコリの大きさ2.5センチ、核グレード1、強ホルモンで8、HER2 スコア1陰性です。最初のエコーやマンモで反対側の胸に石灰化が見られ悪性が疑われ両胸全摘の話しも出ましたが良性で、また癌がある方にのう胞も見つかりましたが、こちらも組織をとった結果良性でした。CTを含めた術前検査の結果はリンパ転移や遠隔転移はないとのことです。
担当医の方針としては、手術は癌部分のみとり温存で、その後はホルモン治療だそうです。
胸の内側の上部のシコリを見つけた時小さくはない上放置し、診断時かなり上の方なので皮膚が膨らんだ状態でしたので、やはり今の時点で転移はないと言われても、少し肩が凝ったり背中に違和感があっても疑ってしまいます。
まずは最短で手術が最善だと思いますが、治療等先生のご意見をぜひ伺えませんか。
また、今後治療していくにあたって仕事や生活のサイクルでどうしてもその病院に通えないとなった時、転院は可能ですか。今はその病院に通えますが、交通の便で仕事の関係上通えなくなる可能性もあることから転院も考えていたのです。
いろいろ質問して申し訳ありません。早期発見ではないので、不安でいっぱいです。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 状況の整理の上、回答します。

状況の整理

 硬癌、cT2, cN0, cM0, luminal type, NG1
 「Ki67の数値がでていませんが(術後、手術標本で測定するのでしょう)」luminal type, NG1よりluminal A相当と考えられます。
 また、質問者の場合は、pT2=25mmと5mmの差でステージⅡA期となっていますが、luminal A相当で『全く申し分のない状況』である事を忘れてはなりません。
 

回答

「最短で手術が最善だと思いますが、治療等先生のご意見をぜひ伺えませんか。」
⇒手術先行「乳房温存術+センチネルリンパ節生検」です。(術前化学療法など全く不要です。化学療法はそもそも無効でしょう)
 術後は「温存乳房照射」と「ホルモン療法」です。
◎治療方針に全く「迷う状況」はなく、安心して治療を受けてください。
 
「今後治療していくにあたって仕事や生活のサイクルでどうしてもその病院に通えないとなった時、転院は可能ですか。」
⇒転院は全く問題ありません。
 質問者の場合には、今後「放射線(1カ月半程度ですが)」と「ホルモン療法(3カ月に1回の通院)5年」があるわけですが、どちらも転院治療可能です。
 
 

 

質問者様から 【質問3 転移】

早速のお返事有難うございます。
不安だらけでしたが、少し安心しました。
担当医も私が術前化学療法などでしこりを小さくするのかと聞くと、先生のおっしゃっていたとおり術前はやらず、手術といわれました。
センチネルリンパ節生検の話しはまだ聞いていませんが、実施している病院なのでやるのではないかと思います。
ステージの話しは言われていなかったので、先生のおっしゃるⅡA期で申し分ないとのお言葉、安心しました。
ただ、先日の検査で転移はないと言われていますが、精神的なものなのか最初に乳癌診断をされて組織を採取した日から体調がすぐれないし、背中が凝ったり肩が凝ったりします。もともと凝る方なので、判別が難しく。
調子の悪さは2週間前にCTをやった時もそうでしたが、転移がある場合はその時に判別しにくいものがあったり、影が見えたりするのでしょうか。
特に判別が難しく再度他の検査とかはありませんでした。
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 再度のご質問ありがとうございます。

回答

「転移がある場合はその時に判別しにくいものがあったり、影が見えたりするのでしょうか」
⇒CTで異常無となっているので全く問題ありません。
 しかも「cT2(25mm), cN0, luminal type」で「転移の可能性は殆どない」事は私の経験から間違いがありません。
 御心配は解りますが、「癌といわれる」と誰しも「いろいろ気になる」ものです。
◎可能性は「極めてゼロに近い」事だけは、知っておいてください。
 
 

 

質問者様から 【感想4】

いつも心強い的確なご回答、有難うございます。
担当医からだけでは心を落ち着かせる事が出来なかったので、本当に感謝です。
ネットでいろいろ調べられる時代で助かる事も多いのですが、逆に極端な情報も多いのが現状だと思います。
手術後またご相談することがあると思いますが、その際はよろしくお願い致します。先生のお言葉で希望が持てました。やはり担当医と同じ治療方針でも、先生の言葉の強さで安心しました。
セカンドオピニオンや転院も先生のところを候補にしていました。お忙しいところ申し訳ありませんが、これからもよろしくお願い致します。
 
 

 

質問者様から 【質問5 手術前】

いつも的確なお答え、有難うございます。
手術を控え、より細かい説明がされました。
硬癌 2.5センチ、核グレード1、HG1、エストロゲン8、プロゲステロン8、HER2 1+、Ki67 15%、CTやMRIで転移はみられないが、リンパに微妙なものがあるとのことと、しこりが盛り上がっている為、皮膚湿潤の疑いありです。
予定どおり温存手術とセンチネルリンパをやりますが、やはり転移が気になります。
ステージの話しはされませんでしたが、書類にCステージとありました。
転移してたとしても、私のタイプの乳癌は、希望がもてるのでしょうか。
 

田澤先生から 【回答5】

 こんにちは。田澤です。
 cT2, cN0,luminalA(Ki67=15%), NG1
 前回のメール内容から「Ki67の値」が追加されましたね。
 やはり、(NG1からの私の予想通り)「Ki67低値=luminal A」でしたね。
 良かったです。

回答

「ステージの話しはされませんでしたが、書類にCステージとありました」
⇒これはcStage=clinical Stageであり「臨床病期」という意味です。
 臨床病期とは、「画像診断上でのステージ分類」と言う事です。
 質問者の場合には「cT2=腫瘍が2.5cm」「cN0=画像上リンパ節転移を認めたい」ことから、cT2, cN0, cStageⅡAとなります。(この小文字のCが質問者が見たCステージのCの意味です)
 これに対しpStage=pathological Stageは「病理学的病気」という意味であり、「顕微鏡でのステージ分類」です。
 たとえば「pT2=(顕微鏡でみた)最大浸潤径が2.5cm」「pN0=(顕微鏡で)リンパ節転移無」⇒pT2, pN0, pStageⅡAとなります。(Cステージに対してPステージといいます9
 
「リンパに微妙なものがあるとのこと」
⇒「超音波での所見」でしょう。
 これは、術中に「センチネルリンパ節生検」をすれば判明します。
 
「私のタイプの乳癌は、希望がもてるのでしょうか」
⇒luminalタイプなので、全く問題ありません。術後は全身療法としてはホルモン療法単独(+局所療法として温存乳房照射)となります。
 
 

 

質問者様から 【質問6 脈間侵襲など】

いつも質問に答えて頂き、感謝しております。
手術をおえ、当初リンパに転移なしと言われていたのが直前に微妙なものが出て不安でしたが、術中センチネルでマイナスとなり安心しました。
まだ病理検査は出ていないので不安は続いております。願わくば、術前の診断に相違なければと思っていますが、特に脈間侵襲などが気になっております。
センチネルでマイナスだった時、リンパ管や脈間侵襲がプラスになる可能性というのは、どれくらいあるものなのでしょうか。リンパ節の情報は多いのですが、こちらの方は分からないことばかりで。
また、もしこれらがプラスだとしても、私の場合は温存手術後病理検査で変更がない限りルミナルAの治療となりますが、臓器に転移がまだ認められていなければ改善の余地はあるのでしょうか。
 

田澤先生から 【回答6】

 おはようございます。田澤です。
 「診断時」から「術前」そして「術後(病理結果未)」と経過を報告していただきありがとうございます。
 「センチネルリンパ節生検陰性」まずは安心されたことでしょう。

回答

「センチネルでマイナスだった時、リンパ管や脈間侵襲がプラスになる可能性というのは、どれくらいあるものなのでしょうか。」
⇒これはデータがありません。
 以前は「脈管侵襲」を治療方針(化学療法の適応の参考)にいれていた時代もありましたが、遠い昔となってしまいました。
 Lyは乳房切除後の「放射線照射の適応」の参考にしています。
 私の感覚では「リンパ節転移がなければ、まずlyは低い(3+は考えられません)」とは思いますが、v(静脈侵襲)については予想できません。
 
「臓器に転移がまだ認められていなければ改善の余地はあるのでしょうか。」
⇒「改善の余地がある」とは「脈管侵襲が改善するのか?」という意味と解釈しましたが、その解釈でよろしいでしょうか?
 『脈管侵襲』とは「摘出した乳癌組織内での病理所見」です。
 今回手術をして、「乳癌組織は全て摘出している」ので、「術後補助療法をした後に」その「改善効果を見る」ことは不可能です。
 
★『(脈管侵襲にかぎらず)術後の補助療法はあくまでも再発予防なので、治療効果を何かで確認する事は不可能』なのです。
 もし(質問の意図が)「例え、今の段階で『脈管の中に入り込んでいるかもしれない癌細胞が補助療法で消滅する可能性はあるか?』だとしたら、答えは「YES」です。
 それを期待しているのが、まさに「術後補助療法」なのです。
 術後の補助療法(ホルモン療法+放射線照射)をすれば、「根治は十分に期待」できます。
 
 

 

質問者様から 【質問7 温存後再建】

お返事有難うございました。
前回の脈間侵襲など質問しましたが、私の質問の意図は例え今の段階でプラスでも『脈間の中に入り込んでいるかもしれない癌細胞が補助療法で消滅する可能性はあるか?』でしたので、その為の「術後補助療法」ということと先生の「根治は十分に期待出来る」とのお言葉を胸に、まだ出ていないの病理検査の結果を不安ではありますが待ちたいと思います。
今不安は温存手術の乳房の変形もあります。乳房が小さかったり手術の場所だったりの結果か、予想だにしない感じでショックを受けました。
このようになる説明も受けてませんし。
担当医は術後再建を念頭にしているかまだ不明ですが、もし再建となった場合、放射線後ホルモン治療の前となるのでしょうか?
また温存手術自体かなり時間がかかりました。
先生のところではこのような温存後の乳房再建とかは手術時間はどれくらいで入院日数はどのくらいになるのでしょうか。
たびたびご質問しまして、申し訳ありません。
 

田澤先生から 【回答7】

 こんにちは。田澤です。
 「乳房再建」というのは、あくまでも「乳房全切除後に行う」ものであり、「乳房温存後に行うケース」は極めて稀だと言う事は認識しなくてはなりません。
 この分野は完全に「形成外科医」の領域ですが、私が話をした「形成外科医の誰ひとりとして」乳房温存後の乳房再建は手掛けていませんでした。

回答

「担当医は術後再建を念頭にしているかまだ不明」
⇒念頭には入れていないと思います。
 「術後の再建」を念頭にいれた「乳房温存術」は聞いたことがありません。
 
「もし再建となった場合、放射線後ホルモン治療の前となるのでしょうか?」
⇒(仮に)再建手術をするとしても、「最低半年以上はおく」と思います。
♯乳房全切除後の再建も「半年~1年以上」はおきます(組織拡張器で拡張しながら)
 
「先生のところではこのような温存後の乳房再建とかは手術時間はどれくらいで入院日数はどのくらいになるのでしょうか。」
⇒これは完全に「形成外科」の領域であり、私が簡単には答えられませんが…
 少なくとも「江戸川病院」では乳房温存後の再建は行ってません。
 私の知識では「普通に行っている施設は無い」と思うのですが(少なくとも聞いたことはありません)
 
◎以前、(東北大学系の)形成外科医と話をした際に『乳房温存後の再建はもの凄く難しい。再建を考えるのなら最初から全摘してもらった方が絶対いい』と聞いたことがあります。
 「難しい」と言っている位だから、「形成外科医の中には、温存後の再建をしている医師もいる」のかもしれませんが、「通常は行わない」事は確かです。
 
 

 

質問者様から 【質問8 温存後再建2】

本当にお忙しいところ何度もご質問して申し訳ありません。
その頃私自身は最初の診断を受けるのが遅く長く放置していたこともあり、一刻も早い手術と転移のことばかり考えており、温存でいけるという担当医の言葉でその後の形状のこととかは説明を受けてなかった為余計ショックを受けてしまいました。
これなら全摘にした方が良かったかな?とか考えてしまいました。
また温存後だと放射線治療がありますが、全摘だとないのですぐルミナルAだとホルモン治療になると思いますが、微小転移があった場合、放射線治療後だとその分ホルモン治療が遅くなることで手遅れになることはありますか。
担当医が最善というやり方で温存手術をしましたが、術前からストレスからか37℃ぐらいの微熱が続き術後も改善されないので、不安でおります。
 

田澤先生から 【回答8】

 こんにちは。田澤です。
 「温存術後の放射線治療」をすることが「全身療法であるホルモン療法の開始を遅らせる事になるか?」という主旨だと思います。

回答

「放射線治療後だとその分ホルモン治療が遅くなることで手遅れになることはありますか。」
⇒大丈夫です。
 そもそも「放射線治療が終わるまで」ホルモン療法を遅らせる必要は全くありません。
 『ホルモン療法と放射線治療は併用』するのが普通です。
 
 

 

質問者様から 【質問9】

何度もご質問して申し訳ありません。
温存手術後の放射線治療が全身治療のホルモン療法を遅らせることにはならないとのお答え、安心しました。
まだ病理結果が出ていないので追加切除があるかもわかりませんが、温存手術での形状変化につきましてはまだ悩んでおります。
放射線後は難しいのは理解しました。
ただやはり未婚女性として、もう少し何とかならないかとの思いは消えません。
形状にもよると思うのですが、放射線をかける前に修正をした方が、との意見を見たことがありますが、先生のところにはこのような悩みを抱えた方はいらっしゃいますか。
また形成外科の領域かもしれませんが、場合によっては放射線前の修正というのはありえるのでしょうか。
 

田澤先生から 【回答9】

 こんにちは。田澤です。
 「乳房温存術をしたが変形が気になる」という事と「放射線照射」する事が問題をやや複雑にしているようです。

回答

「もう少し何とかならないかとの思いは消えません」
⇒乳房温存後に、「美容的にそれ以上を望む」のであれば、「乳房切除」して(この場合には、術後放射線は不要となります) 「乳房再建」するしか考えられません。
 
「放射線をかける前に修正をした方が、との意見を見たことがあります」
⇒「修正」とは「どういう意味」でしょうか?
①今現在残っている乳腺だけで「修正」
②今現在残っている乳腺に「人工物?」を追加して「修正」
 私はこの①も②もやったことも、見た事もありません。
 
「先生のところにはこのような悩みを抱えた方はいらっしゃいますか」
⇒(私が把握して居る限り)いらっしゃいません。
 術前の判断で「温存」か「切除」か「切除再検」としているので、だいたい予想通りとなっています。
 
「放射線前の修正というのはありえるのでしょうか。」
⇒「修正が、上記①②の何れなのか、それとも「それ以外」なのか、不明ですが、「もしも行うなら、放射線前の方がいいとは思います。
 
 

 

質問者様から 【質問10】

いつもお世話になっております。
いろいろ不安な事があり、ご質問させて頂きます。
温存手術後、乳房の変形の悩みはまだ継続中なのですが、1週間程度の入院を経て退院し日常生活を送っておりました時にで、感染症は大丈夫なようですが、せっかく収まっていた手術後の痛みもぶり返しました。
このような術後のトラブルは起こりやすいことなのか、また私自身がショックだった左右の乳房の変形の要因、かなり引っ張って手術したことが原因なのかと不安です。
担当医のススメで温存手術となりましたが、やはり無理があったのでしょうか。
以前よりひきつれる感じがまし動きがしずらく、今後大丈夫なのか、全摘にするべきだったかと悩みはつきません。
病理結果もまだですし、私も乳房の変形という悩みを抱えていますので先の治療の予定はたっていません。
病理結果が出たらセカンドオピニオンも考えていますが、通常ホルモン治療や放射線治療は術後どのくらいたってからやるのでしょうか。
今回のトラブルで、それぞれがまた遅くなるのが心配です。
 

田澤先生から 【回答10】

 こんにちは。田澤です。
 術後にトラブルでは大変でしたね。お気持ちお察しします。

回答

「このような術後のトラブルは起こりやすいことなのか」
⇒通常は起きません。
 乳癌の手術で合併症は「ほぼ無い」のです。
 
「担当医のススメで温存手術となりましたが、やはり無理があったのでしょうか」
⇒我々乳腺外科医は「形成外科医では無い」ので「形よりも、どうしても治療優先」となります。
 
「通常ホルモン治療や放射線治療は術後どのくらいたってからやるのでしょうか」
⇒ホルモン療法は「術後、病理組織検査結果が2週間程度」ででるので、そこから開始しています。
 放射線治療は「術後1カ月程度」からです。
◎質問者の場合は、(ホルモン療法は別に構いませんが)「放射線治療は、創部が落ち着くまで」延期となるでしょう。
★温存術後照射は「術後5カ月以内に開始」すべきとなっていますので、「焦る必要」はありません。
 
 

 

質問者様から 【質問11】

いつもお世話になっております。
本当に勉強させていただいております。
先日病理結果がでました。
数値に多少の変動はありましたが、サブタイプの変更もなルミナルA,先生のおっしゃていたとおりステージ2Aでした。
術前の方針と変わらず術後の治療となります。
温存手術後の乳房の変形で悩んでおりましたので、いろいろご意見を聞きたいと思い、形成外科に行こうかなと思っております。
美容面だけなら追加で全摘して再建でしょうが、メリットデメリットあると思いますので、私の病理結果をふまえて聞きたいと思いました。
そこでご質問なのですが、先生のところでは担当医に正式な手続きをとらなくても、自分の持っている資料(病理結果のコピーとか)持参で、ご相談に乗って頂くというのは可能なのでしょうか。
また、このまま放射線治療に入る場合は治療に毎日通わないとなりませんが、その放射線治療を夜間(例えば19時以降)出来るところはあるのでしょうか。
 

田澤先生から 【回答11】

 こんにちは。田澤です。
 「温存術後の乳房の変形」ですね。
 手術前の予想と「イメージが異なる」場合には深刻な問題なのだと改めて思いました。

回答

「形成外科に行こうかな」「先生のところでは担当医に正式な手続きをとらなくても、自分の持っている資料(病理結果のコピーとか)持参で、ご相談に乗って頂くというのは可能なのでしょうか。」
⇒当院の「形成外科」受診希望との事でしょうか?
 大丈夫です。
 
 当院形成外科は常勤医も居ますが、乳房再建に関しては「女子医大の○井先生」に来てもらっています。
 もし受診希望ならば、私から「経緯」について「報告」しておきます。
 
「その放射線治療を夜間(例えば19時以降)出来るところはあるのでしょうか。」
⇒当院です。
 当院は(働きながら通院する人たちのために)22時くらいまで「放射線照射」を行っています。
 
 

 

質問者様から 【質問12 病理結果】

お返事ありがとうございます。
術後の思いもよらないことや、予想していなかった形状変化で日々気落ちしてしまいました。命あってのことは分かっているのですが。
私のような悩みの場合、美容系に強い乳腺外科と先生のところのような病院と、どちらが適しているのか、ということも検討しているところです。
もし先生の病院でご相談にのって頂く場合、最短でいつ頃になりますでしょうか。
またその際は、どのように手続きをすればよいでしょうか。
前回の質問にも記入しましたが、病理結果がでました。
表に出す事ができませんので、下記に書きます病理結果は未公開でお願い致します。
先生の率直なご意見をお伺いしたいです。局所再発や遠隔転移を含めた今後は、どの程度安心出来るものでしょうか。
お忙しいところ申し訳ございません。
術前ホルモン強陽性で8.8だったのが、5.8とかわり、Ki67が15→3%程度に。
所見の内容が気になります。
今後長い治療になりますが、良い材料はありますでしょうか。
 

田澤先生から 【回答12】

 こんにちは。田澤です。
 「温存術後の変形」ですね。
 素直なところ、私は随分「乳房温存術」をしていますが「術後の変形で、そこまで(実際に質問者を診察している訳ではありませんが、メール内容から推測して)問題になったケース」はありません。
 「センチネルリンパ節生検」「腋窩郭清」「乳房切除」これらも、それぞれ「経験による精度」が大きいものですが、「乳房温存術」は「根治性と整容性のバランス」を要するので、より「経験量による精度の差」が出る事を実感しています。
 術後に「相談に来れる距離」だったのであれば、『最初から、当院で温存術を受けていたら…』と今更ながら思っています。

回答

「もし先生の病院でご相談にのって頂く場合、最短でいつ頃になりますでしょうか。」
⇒6月24日(水)夕方、乳腺外科受診して6月25日(木)形成外科
 (1日ですませるのであれば)7月2日(木)乳腺外科⇒(同日)形成外科です。
 乳腺外科の木曜日予約が7月2日まで一杯なので、このようになっています。(形成外科外来は毎週木曜日)
 
 
「局所再発や遠隔転移を含めた今後は、どの程度安心出来るものでしょうか」
⇒(病理結果は未公開としますが、回答のために概略だけ示します)
 pT2, pN0, luminal A, ly0, v0 となります。
 pStageⅡAとはなりますが、luminal Aで脈管侵襲無
 ズバリ、予後良好群です。
 内分泌療法だけしていれば、局所再発も遠隔転移も心配する必要はありません。
 
「術前ホルモン強陽性で8.8だったのが、5.8とかわり、Ki67が15→3%程度に。所見の内容が気になります。」
⇒この結果は、全く問題ありません。
 何故このような事になったのか、担当医に聞いてみたのでしょうか?
 これは明らかに『手術標本の固定不良』です。つまり「術後、上手にホルマリン固定がされなかったために、免疫染色の染まりが低下した」のです。
◎特にERの染色強度が『針生検の3(strong)⇒切除標本の1(weak)に低下』しているのは、「標本の劣化による染色性の低下」を示していると思います。
 その視点でいくとKi67LIの染色も『針生検の15%⇒切除標本の3%へ低下』というのも同様の理由と思われます。
 針生検で「たまたま病変の中で、核分裂の激しい部位にあたった」と考えるのは、この数値では考えにくい、やはり「切除標本処理の不良による、染色性全体の低下」で一元的に説明がつきます。
★長くなりましたが、つまり質問者の場合には針生検での数値『ER(8), PgR(8), K67=15%』が正しいと見るべきです。
 一度主治医に聞いてみてください。
 
「今後長い治療になりますが、良い材料はありますでしょうか。」
⇒腫瘍径がpT2である事以外、パーフェクトと言えます。
 良い材料ばかりです。
 
 

 

質問者様から 【質問13】

昨日はお忙しい中お時間をさいて頂き、有難うぎざいました。
温存後の乳房の変形につきましては、後日形成外科の先生のお話をお伺いして考えていきたいと思います。
術前に全摘後の再建でのバランスと温存後のバランスの情報があったら、多分全摘を選んでいたかも知れないとの思いは残っておりますが、命あってのことは分かった上で、少しでも生活面でも向上出来る手立てがあるのであれば、いろいろなお話しを伺いたいと思いました。実際、シャワーを浴びるのも苦痛でしたので。
また術後の治療など、新たな情報の提示で考える事になり、ご相談がまとまりなくなり申し訳ありませんでした。
それと、昨日お聞きそびれたのですが、乳癌の診断がされてから横になると頭の中が燃えるように熱く、体も同じ側が熱く発汗も凄いことがありました。担当医にも報告して精神的なものだろうと、安定剤を処方されました。我慢出来ないものではなかったし、あまり薬を飲むのもよくないと薬も飲みませんでした。起きている時より、寝ている方が辛い感じで、術前のCTなども横になるので、かなり怠い感じで受けていました。
だんだん燃えるような熱い感じは改善され睡眠もとれるようになりましたが、術後も何となく頭の中が熱い感じは続いております。特に痛みとかしびれとかはありません。何かに集中している時は気になるほどではありませんが。
精神的なものか、転移とかに関わるものか気になっております。どう思われますか。
いろいろご質問ばかりで申し訳ありません。
 

田澤先生から 【回答13】

 こんにちは。田澤です。
 遠方から御苦労さまでした。
 幾らかでも「私の意見」が参考になれば幸いです。
 実際のところは「後日形成外科の先生のお話をお伺いして考えていきたいと思います」正にその通りだと私も思います。
 
「精神的なものか、転移とかに関わるものか気になっております。どう思われますか。」
⇒純粋に精神的なものなのかは、私には判別できません。
 「更年期ではもちろんありませんが、卵巣機能不全による症状」なども関わっている可能性があります。
 ただ、「pT2, pN0, luminal A, ly0, v0」で「転移を起こしていることはありません」
 そのような心配は全くありません。
 
 

 

質問者様から 【質問14 乳房再建】

いつも大変お世話になっております。お忙しいところ申し訳ありません。
いくつかお聞きしたいことがありまして質問させて頂きます。
まず術後の治療法ですが、私はルミナルAでホルモン治療が効くタイプなのですが、皆さんも悩まれるように抗がん剤の上乗せについて悩みました。
Adjuvant!によると上乗せ効果は6%、しかし抗がん剤は良いものも壊す面もありますので上乗せはもっと
少ないかもしれない。また私の場合ルミナルAを1~3に分ける考えに照らし合わすとルミナルA2なんですがルミナルA1にあてはまる要素も2つ入っていたので、更に迷いました。核グレードやKi67は低い値で強陽性。腫瘍の大きさだけ引っかかるところでした。副作用の少ないうUFTでも上乗せ効果があればと思いましたが、担当医によると、65歳以上の方が適応で私がやるならもっと強いものといわれました。更に最近は腫瘍の大きさよりも顔付きなどを気にすると言われ、担当医も初めからホルモン療法といってくれていましたし、抗がん剤上乗せはしないことにしました。
これは妥当な判断でしょうか。
ホルモンのお薬は数日前から飲み出しました。
また、注射の件は詳しくはまだ聞いておりません。ただ、以前ネットの情報でタモキシフェン併用でLH-RHアゴニストをするとACやCAFという抗がん剤治療と同等の再発抑制効果ありとありましたので、次回の検診の時に詳しく聞いてみたいと思います。
あと先日ご相談しました乳房の変形の件ですが、昨日江戸川病院を受診しました。予定していた先生ではなく代理の方でした。こちらを受診する前に美容整形にも強いところにもお話を聞きにいったにですが、現在判断つかない状態で、悩みが深くなりました。
先生はどう思われますか?
①担当医・・・
ホルモン療法により手術していない方も小さくなるし、放射線後だと形成外科は嫌がるだろうけど、後から再建を考えたらどうか。乳首や乳頭を残す全摘だと、放射線がかけられないからリスクがある。
②美容整形など強い病院
・・・乳首乳頭を残す皮下乳腺全摘術と手術していない方の乳首をあげる手術
③江戸川病院・・・
まず、乳腺外科医が再発がないという判断がない限り手術は出来ない。そういう状態になったら、放射線後でやりにくくとも形成外科はやるとのこと。エキスパンダーでのばしたり、伸びなかったら他の皮膚をもってきてとのこと。
 
私としては今の状態がたまらないし、放射線を受ける前だったので、もし再手術で改善するのであれば早い方がよいのではないかと思ってお話しを聞きました。②の先生の話しだと手術していない側もかなり手を入れるので不安に感じ、①②だと放射線後だと伸びなかった時に他から皮膚をもってこなければならいことに不安を感じています。また、乳頭や乳首が残せるのなら残したいという思いはあります。担当医は放射線をかけないこととなるからリスクがあるといいますが、温存手術も局所再発のリスクが放射線を受けたとしてもありますが、それ以上のリスクがあるのでしょうか。
いろいろわかりにくいご質問になって申し訳ありません。ご意見いただけたらなと思っております。
 

田澤先生から 【回答14】

 こんにちは。田澤です。
 術後療法と温存術後の変形ですね。

回答

「抗がん剤上乗せはしないことにしました。これは妥当な判断でしょうか。」
⇒私も、そう思います。
 
「注射の件は詳しくはまだ聞いておりません。ただ、以前ネットの情報でタモキシフェン併用でLH-RHアゴニストをするとACやCAFという抗がん剤治療と同等の再発抑制効果ありとありました」
⇒SOFT試験のデータで
 タモキシフェンにLH-RHagonistの上乗せ効果が否定されました。
 唯一のサブセットとして①化学療法をするような「ハイリスク群」と②35歳以下の群では「LH-RHagonistによる上乗せがある」と解っています。
 質問者は①にも②にもあてはまりません。
 
「温存手術も局所再発のリスクが放射線を受けたとしてもありますが、それ以上のリスクがあるのでしょうか。」
⇒乳頭部には乳腺があるので、「放射線照射をしない」場合には再発リスクがあります。
 ガイドライン上は『放射線をかけずに乳頭乳輪を残す条件』として
 1.早期乳癌であり、腫瘍‐乳頭間の距離が十分に長い
 2.乳頭乳輪部の壊死の可能性を了解する
 とあります。
 その点は主治医との話し合いが必要です。「腫瘍‐乳頭間の距離」はどうなのでしょうか?
 
 

 

質問者様から 【質問15 術後治療と乳房変形】

いつも的確なご意見ありがとうございます。
お忙しいところ本当に感謝しております。
たびたびご相談しておりますが、いろいろ情報を見聞きし不安があり、またご相談させて下さい。
まず①皮下注射についてです。
ホルモン剤を飲みはじめました。これが副作用かな?という発汗が出てきたぐらいの現状です。術前から皮下注射の話は出ていてそれが標準治療だと思い深く説明を受けていなかったのですが、いろいろなネットの情報や田澤先生のお話しから、ルミナルAでホルモン治療のとき、化学療法を受けたり若年層であったりのハイリスクの分類の時には皮下注射が推奨されることを知りました。次の診断までまだなので担当医とこの件についてお話しはできておりませんが、私は化学療法を受けてませんし若年層ではないので田澤先生のおっしゃるとおり適応外です。ネットでも同じような状態で皮下注射をしている方もおられますし、私の場合腫瘍の大きさが2.9センチだった為、グレードやKi67が低値でも担当医はリスクがあると判断したのかな、と思っております。そうしますとここでリスクがあると判断しているのなら化学療法を勧めるのではないか?との疑問や化学療法をしなくても皮下注射をすることは効果があるのか?との疑問も出てきました。多少でも効果があるのであればする意義がありますが副作用もあるでしょうし、悩みはつきません。先生の印象としまして<・u桙ヘ、 :文字化けあり>化学療法をしていなくても皮下注射の効果はあるのでしょうか。上乗せ効果があるのであればやるべきだと思っています。
②乳房変形
いろいろ情報を見聞きして更に悩みが深くなりました。
担当医も先日お話しをお伺いしました江戸川病院の形成外科の先生も、放射線後に再建したらとおっしゃられましたが、それで再建が難しくないのなら良いのですが、いろいろな情報を見ると困難な感じで、更に大きな手術になるのではないか?と不安です。
現状まだ放射線治療を開始していない事や術後のトラブルで傷口からまだ液がでる事、局所再発を考えるにあたり、今手術が最善か困難がともなっても数年後か?で悩みます。それは、今のような状態が想像出来ていたら、全摘をお願いしたのではないか?との思いと、術後ショックを受けた自分と比べ、美容外科でお会いした全摘して再建した患者さんが生き生きしていたこともあると思います。皆さん胸を見せられていましたが、私は見せられません。
そして私のように上部皮膚をとってるが為上部へ上がっていてもエキスパンダーで健側に釣り合うようにのびるのか?またそれは、もし乳首などを残した場合可能なのか?残さないほうがバランスはとれるのか?など悩みはつきません。
美容外科の先生は簡単に乳首など残して健側は釣り上げとおっしゃいましたが、私としては今後健側も年月経過やホルモン治療で形が変わるだろうし、釣り上げの手術はしたくありません。左右のバランス取る為にそこの患者さんは皆さん健側を豊胸していましたが、それによって乳首の位置が上がるのであれば、それぐらいが私としての許容範囲です。
ぐちゃぐちゃな質問で申し訳ありません。
放射線後再建出来る情報は多々ありますが、費用の面でも出来栄えや体への負担面でも不安があります。
悩みを解決するヒントをいただければ、と思います。
 

田澤先生から 【回答15】

 こんにちは。田澤です。
 pT2, pN0, luminal A, ly0, v0ですね。

回答

「腫瘍の大きさが2.9センチだった為、グレードやKi67が低値でも担当医はリスクがあると判断したのかな」
⇒(想像ですが)それ程深く考えてはいないでしょう。
 SOFT試験の結果が出るまでは、我々乳腺外科医は「閉経前」ならLH-RHagonistをやっておく。きっと「いくらかでも上乗せ」がある筈だ。と考えていました。
 その延長線上ではないでしょうか?
 私の想像なので、一度担当医に確認してみてください。
 
「化学療法をしなくても皮下注射をすることは効果があるのか?との疑問」
⇒これは質問者が勘違いしています。
 「化学療法をしたから」LH-RHagonistが有効だったという意味では無く、(化学療法をするほどの)ハイリスクグループでは有効と解釈するべきです。
 
 
「多少でも効果があるのであればする意義がありますが」
⇒「(化学療法をする程の)ハイリスクグループ」でもないし、「35歳以下」でもないので、「全く効果が無い」事が解っているのです。
「化学療法をしていなくても皮下注射の効果はあるのでしょうか」
⇒(化学療法をする、しない)ではなく、(化学療法を選択する位の)ハイリスクグループには効果があるのです。
 
 LH-RHagonistの効果が「化学療法をすることで」良くなる訳ではありません。
 あくまでも「ハイリスクグループ」には効果があったとの事です。
 
「上乗せ効果があるのであればやるべき」
⇒質問者は「(化学療法をやるべき)ハイリスクグループ」では無いので、「上乗せ効果」はありません。
 
「乳房再建について」
⇒申し訳ありませんが、「乳房再建」について形成外科医以上のアイディアはありません。
 私に申し上げられるのは、「全摘後再建」を選択するのか、「現状で納得」するのか。の選択だと思います。
 
○全摘後再建であれば、放射線治療はそもそも不要なので、「今からでも乳房切除⇒再建」するのが最もシンプルです。
 
 

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