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術後のTC療法について

[管理番号:2614]
性別:女性
年齢:44歳
田澤先生
はじめまして。
乳癌と診断されて以来、ずっとこのページで勉強させていただいています。
先日温存手術を受け、術後病理検査の結果、以下の通りでした。
腫瘍経 1.4cm程度の乳頭腺管癌 断端陰性
Er Pgr ともに90%以上
Her2(-)
MIB-1 ? 22.9%
センチネルリンパ節転移 2/2(+)1,(++)1
level1まで郭清(転移なし 0/8)
核グレード1
術前の検査でリンパ節転移はおそらくないと思われていたので、不安でたまりません。
主治医からは、ルミナールタイプではあるが、リンパ節への転移があること、Mib1がグレーゾーンであることから、化学療法(+放射線、ホルモン療法10年)を勧められました。
また年齢が若めであることから、TC6クールを提案されました。
一度は決断したものの、副作用を考えると通常の4クールから2クール増やすことに迷いが出てきました。
そこで田澤先生に伺いたいのですが、
(1)TC4クールを6クールに増やすことで上乗せ効果は期待できるでしょうか。
(2)2クール追加することで副作用が重くなることはあるでしょうか。
(3)「ケモブレイン」について非常に心配しております。
副作用として説明は受けておらず、TCのパンフレットにも記載はありませんが、起こり得る症状でしょうか?
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1c(14mm), pN1, luminal, NG1
十分な早期乳癌です。
「また年齢が若めであることから、TC6クールを提案されました。」
⇒??
 44歳が「特に若年」というわけではないのに、「何故6クールなのか?」
 全く理解できません。
 
「(1)TC4クールを6クールに増やすことで上乗せ効果は期待できるでしょうか。」
⇒そのようなデータはないでしょう。
 
「(2)2クール追加することで副作用が重くなることはあるでしょうか。」
⇒それはありそうです。
 TCを6クールしたことはありませんが…
 
「(3)「ケモブレイン」について非常に心配しております。」「起こり得る症状でしょうか?」
⇒良く解っていませんが、少なくとも(もしも、あっても)「一次的なもの」という印象を持っています。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生
先日術後のTC療法について質問した者です。
前回の質問にお答えいただきありがとうございました。
またいくつかお伺いさせて下さい。
?術前の画像診断では、リンパへの転移は認められないと聞いていましたが、実際は2個もありました。
ステージが上がり、リンパ節郭清も必要となったことにショックを受けています。
腫瘍経が比較的小さく、NG1(異形2分裂像1) と「おとなしいタイプ」とされる癌でも転移は珍しくないことでしょうか?
転移があったことで予後は大きく変わりますか?また、根治は期待できますか?
?MIB1-index 22.9%はルミナールA、Bタイプのグレーゾーンだと思いますが今からオンコタイプDXを受ける価値はありますか?
主治医からは、やはりグレーの結果が出る可能性が高い、と言われています。
手術から既に一ヶ月近く経っており、結果がでるまで無治療になる不安もあります。
?化学療法を受けた場合、再発転移率はどれくらい変わりますか?
グレーゾーンですが、仮にルミナールAだとしたら、化学療法をしない選択もあると知り迷っています。
上乗せがあるようなら、化学療法にトライしたいと思っています。
田澤先生ならどのような治療を選択されますか?
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「腫瘍経が比較的小さく、NG1(異形2分裂像1) と「おとなしいタイプ」とされる癌でも転移は珍しくないことでしょうか?」
⇒「大人しい癌」でも時間が経てば「リンパ節転移は起こりえる」のです。
 
「転移があったことで予後は大きく変わりますか?また、根治は期待できますか?」
⇒「リスク因子の一つ」にすぎません。
  勿論「根治の可能性の方が高い」です。
 
「MIB1-index 22.9%はルミナールA、Bタイプのグレーゾーンだと思いますが、
今からオンコタイプDXを受ける価値はありますか?」
⇒あります。
 どうしても迷うならば「選択肢の一つ」としてもいいのです。
 
「手術から既に一ヶ月近く経っており、結果がでるまで無治療になる不安」
⇒luminal typeなのですから、「ホルモン療法を開始」してもいいと思います。
 
「化学療法を受けた場合、再発転移率はどれくらい変わりますか?」
⇒5%です。
 やはり、「ルミナールAでは、上乗せ効果は小さい」ように思います。
 「腫瘍径5cm以上またはリンパ節転移陽性」の閉経前ルミナールAでは「化学療法によるベネフィットは無い」とSABCS 2015でも発表されています。
 ○(他は同条件でも)リンパ節転移4個以上となると「上乗せは9%」となります。
 
「田澤先生ならどのような治療を選択されますか?」
⇒上記理由により「ホルモン療法のみ」とします。