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浸潤性進行乳癌 リンパ節転移

[管理番号:2520]
性別:女性
年齢:51歳
初めてお伺いいたします。
宜しくお願い致します。
3月で51歳になる妻に乳癌の診断が出ました。
診断結果は以下です。
【右乳癌 多発リンパ節転移】
進行乳がん
病状説明用紙の文面では浸潤性の乳癌で大きさは1cm程度だが顔つきが非常に悪い(T1)。
リンパ節転移(Level2以上)-鎖骨下・鎖骨上・傍胸骨(N3)、
脳・肝臓・骨・子宮・卵巣 遠隔転移は無し(M0)
T1N3N0 StageⅢCと診断されています。
転移は6か所に見られました。
3月中旬以降から治療に入る予定ですが、治療方針は妥当なものかお伺いさせてください。
①薬物療法
ホルモン剤・分子標的剤では効果が期待できない為に抗がん剤
(K67 90%以上)を週1回3週に投与、以後1週間空けて再び3週間投与を続ける。
パクリタキセル・アバスチン
②手術
抗がん剤治療後に原発とみられる乳癌を切除
③放射線療法
術後に開始
このような方針を伺いました。
主治医の先生によると、乳癌自体は小さいが転移が多く、あまり経験の無い症例との事でした。
初めての事でもあり本人はもちろん家族もとても不安で心配です。
宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
cT1, cN3C, cStageⅢC
私であれば、(術前抗がん剤の適応はなく)手術先行(乳房切除+腋窩鎖骨下郭清)
術後放射線(トモセラピーで鎖骨上及び胸骨傍リンパ節をターゲット)
術後化学療法(アンスラサイクリン+タキサン)です。
「抗がん剤(K67 90%以上)を週1回3週に投与、以後1週間
空けて再び3週間投与を続ける。パクリタキセル・アバスチン」

⇒bevacizumab(アバスチン)の適応は「手術不能又は再発乳癌」です。
 質問者はそのどちらにも当てはまっていないので「適応外」となります。
 通常の「アンスラサイクリン+タキサン」とします。
 
○問題は「手術で摘出しない鎖骨上及び傍胸骨リンパ節」の考え方です。
 あくまでも「領域リンパ節」であり、「遠隔転移」ではありません。
 局所療法として「手術+放射線(トモセラピーが最適)」、全身療法としてはスタンダードな「アンスラサイクリン+タキサン」とします。
 
「乳癌自体は小さいが転移が多く、あまり経験の無い症例」
⇒時々あります。
 ただ、リンパ節は「あくまでも局所」だということを忘れてはいけません。