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浸潤性小葉癌の術後補助療法について

[管理番号:971]
性別:女性
年齢:72歳
 
 

質問者様の別の質問

質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。
質問者様の別の質問は下記をクリックしてください。
管理番号:1001「腫瘍径と放射線照射の適応」

 
 
今年の5月末に、72歳の母が右胸の浸潤性小葉癌の診断され、7月に右乳房全摘術を受けましたが、術後補助療法について悩んでいます。
【病理結果】
組織型:浸潤性小葉癌
浸潤径:6.2cm×2.5cm
波及度:f
脈管侵襲:ly(-)v(-)
Nuclear grade:1
リンパ節転移:SLN(1/2)、Level 1(0/10)
ER >90%、PgR>90%、HER2 score 0、Ki-67 5~10%
センチネルリンパ節に転移があったことと、術前診断より浸潤径が大きかったため、再発転移のリスクを減らすために、ホルモン療法の他、放射線と抗がん剤(三ヶ月)をすすめられています。母は、ホルモン療法と放射線療法は何とか頑張ってくれそうですが、抗がん剤は副作用も強いため体力的なことを考えると躊躇してしまいます。抗がん剤をした場合としなかった場合、再発転移率はどのくらいの差(効果)がでるのでしょうか。また、先生でしたらどのようにお考えになりますでしょうか。
よろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 pT3(62mm), pN0, luminalA
 72歳の補助療法ですね。

回答

「抗がん剤をした場合としなかった場合、再発転移率はどのくらいの差(効果)がでるのでしょうか」
⇒僅か1.9%です。
 70歳以上は「データが極めて乏しい」ことも影響しているとは思いますが、核グレードも1だし、それ程の「上乗せ効果」は期待できないでしょう。
 一方でホルモン療法による効果は「18.7%」もあります。
 
「先生でしたらどのようにお考えになりますでしょうか」
⇒私ならホルモン療法単独です。
 理由は
・70歳以上の化学療法については有効性が証明されていない
・リンパ節転移1個、浸潤径62mmはSt.Gallenでも「luminal Aへの抗がん剤投与の根拠とはならない」意見が多い
・Adjuvant!Onlineのデータでも化学療法の追加による「上乗せ効果が僅か1.9%しかない」
○化学療法を勧める根拠に乏しいと言わざるを得ません。
 ご本人が「凄く積極的に頑張りたい」というのでなければ、行うべきではありません。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

骨転移の可能性
性別:女性
年齢:73歳
以前(去年)、管理番号971、1001で質問させていただきました。
73歳の母が右浸潤性小葉癌と診断で、去年の7月に右乳房全摘術を受けました。
術後補助療法として放射線治療を行い、現在、ホルモン剤の内服を継続中です。
【術後病理結果】
組織型:浸潤性小葉癌
浸潤径:6.2cm×2.5cm
波及度:f
脈管侵襲:ly(-)v(-)
Nuclear grade:1
リンパ節転移:SLN(1/2)、Level 1(0/10)
ER >90%、PgR>90%、HER2 score 0、Ki-67 5~10%
先日、右上腹部から背部にかけての痛みがあり、近くの病院を受診しました。
腹部のエコーとCTを行い内臓には大きな異常はないが、CTで骨髄の一部に白い線のようなものがあり気になるとのことで、それが骨折線なのか骨転移なのか手術をした病院で診てもらうように言われ、2週間後に受診することになりました。
術後、定期的に採血とエコーはしているようですが、それについては特に何も言われていないようです。
センチネルリンパ節に一つ転移があったことと、浸潤径が大きかったこともあり骨転移が心配です。
現在、術後1年4ヶ月ですが、骨転移の可能性が高いのでしょうか(術前の骨シンチでは転移はありませんでした)。
またステージ3ということもあり、再発・転移の高リスク状態なのでしょうか。
お忙しいところ申し訳ありません。
よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「CTで骨髄の一部に白い線」「センチネルリンパ節に一つ転移があったことと、浸潤径が大きかったこともあり骨転移が心配」「現在、術後1年4ヶ月ですが、骨転移の可能性が高いのでしょうか」
⇒CTの所見は「骨転移を疑うものではない」ように思います。
「またステージ3ということもあり、再発・転移の高リスク状態なのでしょうか。」
⇒小葉癌では(どうしても)「浸潤径が大きくなる」傾向はあるので、「所謂ステージ3」よりも「予後良好」だと思います。