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手術先行か術前化学療法先行か、迷っています。

[管理番号:2790]
性別:女性
年齢:49歳
初めて質問させていただきます。
よろしくお願いいたします。
49歳です。
3/(下旬)に、乳腺科クリニックでマンモグラフィー、エコー、細胞診をした結果、
後日乳癌との診断を受け、乳腺科のある病院を紹介してもらい4/(上旬)に初診でした。
初診の際には、CT、血液検査、エコーをし
(中旬)日は骨シンチ(転移なし)、(中旬)日はMRIの予定です。
現在の状況は、
浸潤性乳管癌、硬癌、p63陰性、リンパ管侵襲
ER+100%(score3,score5)
PgR-5%(score2,score2)
HER2陰性(1+)
グレード1、ルミナールB
Ki=22.9
しこり、左胸外側3.8cm、リンパ節転移3~4個位(エコーでは、数個がくっついているようで不明との事)
しこりも、エコーでは境界がはっきりとしない感じの画像でした。
先生もモヤモヤしてると言ってました。
この時点で、担当医からは全摘と腋窩郭清の手術との事。
手術先行か抗がん剤先行かどちらでもいいですとの話を受けて、悩んでいます。
(中旬)日にも担当医に、悩んでる旨を話したところ、MRIの結果を見てからでもいいとの事なのですが…
これまでにも、田澤先生のプラザを拝見して、いろいろな症例にもよるところは納得してますが、私の場合はどうでしょうか?
これまでの田澤先生への質問回答を拝見させていただいていていると、
やはり手術先行の方がとも思うのですが、
担当医に先生ならどちらを勧めますかとの質問に抗がん剤先行ですね。
との事でした。
でも、一応4/(下旬)に手術の日は押さえておきましょうと言って、予定をいれてくれました。
リンパ節の癒着の場合、やはり今後の再発や転移率などは高くなってしまうのでしょうか?
日々、治る!と気持ちを高めてみたり、やっぱり遅かったのか…と落ち込んでみたりと、心が重い毎日です。
他にもいろいろ、聞きたいと思っていたにもかかわらず支離滅裂な文章ですみません。
よろしくお願いします。
是非、先生のご意見をお願いします
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
術前化学療法の適応は「小さくして温存だけ」です。
それ以外の「尤もらしい理由」をつけて「術前化学療法をしたがる医師」が沢山いるのには、少々「うんざり」しています。
○それらの医師は「その尤もらしい理由(何度もQandAでコメントしているので詳細は省きます)を信じている」のか、はたまた「術前抗がん剤をすることで、自分の手術をやり易くしたい」のか解りませんが…
 
「グレード1、ルミナールBKi=22.9」
⇒Ki67=22.9%はルミナールBではありません。
 「Ki67のその値」は所謂「グレーゾーン」であり、核グレード1からは、「むしろルミナールA」ではないかと思います。
「(中旬)日は骨シンチ(転移なし)、」
⇒無駄な検査です。
 
「(中旬)日はMRIの予定です。」「担当医からは全摘と腋窩郭清の手術」
⇒全摘するのに「乳腺のMRIをする」ことの理由は何でしょうか?
 一度聞いてみてください。
 極めて「無駄な検査」が沢山あるようです。
 
「手術先行か抗がん剤先行かどちらでもいいですとの話を受けて、悩んでいます。」
⇒もしも(ご本人が)「小さくして温存」という希望でないのであれば、「術前抗がん剤の適応外」です。
 
「田澤先生のプラザを拝見して、いろいろな症例にもよるところは納得してますが、私の場合はどうでしょうか?」
⇒上記コメント通りです。
 極めてシンプルに考えてください。
 「小さくして温存(ただし、ルミナールAなので抗がん剤が劇的に効くことは期待できませんが)」をご希望されるならば「術前抗がん剤の適応あり」ですが、
 手術は全摘と決めているのであれば「手術先行が当然」です。
 
「これまでの田澤先生への質問回答を拝見させていただいていていると、やはり手術先行の方がとも思う」
⇒その通りです。
 
「担当医に先生ならどちらを勧めますかとの質問に抗がん剤先行ですね。」
⇒おそらく「理由を聞けば」
 「薬の効果が解る」とか「全身の癌細胞を退治して手術」などという「尤もらしい理由」を挙げてくるのでしょう。
 ただし、実際は「抗がん剤をして少しでも小さくして置いた方が、手術が楽」と考えているかもしれません。
 ○いずれにしろ、「正当な理由もなく」術前化学療法を勧める医師を私は認めません。
 
「リンパ節の癒着の場合、やはり今後の再発や転移率などは高くなってしまうのでしょうか?」
⇒手術して病理結果がでるまで「余計な心配」は止めましょう。
 根治する確率の方が高いのですから…
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日は、まとまりのない内容と質問に回答いただきありがとうございました。
意思決定の日まで(中旬)に時間がなく、やはり新たな追加質問をさせてください。
前回の先生の回答で、全摘を考えているならば手術先行とのことを受けて、やはり手術先行と思うものの、
管理番号225「術前化学療法が先か、手術が先か。」の回答で、術前化学療法を強く勧めるケースとして、N2の場合はサブタイプに関係なく。
とあるのを見ると、私の場合ki値が22.9
なのでルミナールAに近いとなると、やはり術前化学療法では?と思ってしまいます。
ただ、エコーで見た感じでは、リンパ節転移の個数がはっきりしないといわれています。
質問① リンパ節転移の個数は、切ってみないとわからないのでしょうか?
次回MRIしますが、そこでリンパ節も見えるのでしょうか?
MRIは、乳頭からのしこりの距離がはっきりするとの事で受ける予定です。
初診の時点では、乳頭が残せる温存も可能かもしれないとの事だったので。
質問② 仮に、リンパ節転移の個数が少なくN2でなかった場合は手術先行でよいですか?
質問②-1 ルミナールAでもN2の場合は、術後化学療法は必要になりますか?
質問③ 先ほどの、術前化学療法を強く勧めるケースで、手術による取り残しのリスクとありますが、術前化学療法でリンパ節を小さくしないとリンパ節に取り残しのリスクということでしょうか?
腋窩郭清では、担当医の技術も重要とも田澤先生は言っていますが、そこは担当医を信じるしかないと思ってはいるものの、やはり取り残しは避けたいです。
質問④ グレードが現時点では1ですが、術後に変わる可能性もあると言われています。
グレードが2や3になって再発率が高いとなると、今後の治療などに影響というか何がわかるのでしょうか?
毎日、考えがまとまらずいろいろな情報を見ては、希望が見えたりマイナス情報を見ては落ち込み、後悔し落ち着かない日々です。
もし、乳頭温存としても将来、局所再発は避けたいので、今の時点ではやはり全摘と思っています。
(この考えも、コロコロと変わるのですが)
よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
このメール内容を読んで気づいたことがあります。
乳癌取り扱い規約の罠です。「管理番号225「術前化学療法が先か、手術が先か。」も読み返してみましたが…」
臨床的ステージ分類
 cN1 (腋窩リンパ節転移が)可動性がある(つまり、周囲と固着していない)
 cN2(    〃    )固定している(リンパ節どうしや、周囲と固着してい
る)
病理学的ステージ分類
 pN1(腋窩リンパ節転移が)1-3個
 pN2(   〃     )4-9個
○私が「N2の場合は、術前抗がん剤がいい」といっているのは、あくまでも
「cN2」のことです。
  つまり「周囲の組織と固着していることにより、手術的に摘出できない可能性
(腋窩静脈などを合併切除するわけにはいきませんから)」を考えてのコメントで
す。
 それに対して今回のメール内容を拝見すると「リンパ節個数4個以上、つまり
pN2」と勘違いされているようです。
 
「質問① リンパ節転移の個数は、切ってみないとわからないのでしょうか?」
⇒解りません。
 その意味では「cN1だと思っていた⇒(手術してみたら)pN2となった」というケー
スはめずらしくはありません。
 
「次回MRIしますが、そこでリンパ節も見えるのでしょうか?」
⇒MRIで「リンパ節は見えます」が、「転移性のリンパ節の判断はMRIよりも、
むしろ超音波ですべき」と思います。
 
「質問② 仮に、リンパ節転移の個数が少なくN2でなかった場合は手術先行でよいですか?」
⇒冒頭でコメントしたように(抗癌剤を先行すべきとした)「N2とはcN2のこと」
です。
 「ガッチリ動かない様な、凄いリンパ節」でも無い限り「手術先行でいい」ので
す。
 ♯リンパ節転移の個数が10個でもそれ以上でも、手術で安全にとれる」のです。
 
「質問②-1 ルミナールAでもN2の場合は、術後化学療法は必要になりますか?」
⇒その通りです。
 
「問③ 先ほどの、術前化学療法を強く勧めるケースで、手術による取り残しのリスクとありますが、術前化学療法でリンパ節を小さくしないとリンパ節に取り残しのリスクということでしょうか?」
⇒cN2の場合はそうなります。
 リンパ節転移の個数が多いだけ(pN2でもpN3でも)では、「取り残しの心配はあり
ません。
「質問④ グレードが現時点では1ですが、術後に変わる可能性もあると言われています。グレードが2や3になって再発率が高いとなると、今後の治療などに影響という
か何がわかるのでしょうか?」

⇒グレードの影響はそれ程でもありません。
 考え過ぎです。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

前回、前々回と不安なあまり、いろいろと質問をさせていただきましたが、素人の私にも丁寧にわかりやすく答えていただきありがとうございました。
前回では手術先行かどうかの迷いがありましたが、田澤先生の回答を参考にし家族とも相談の上、28日に左胸全摘と、腋窩郭清手術を無事終了しました。
そして、この度病理結果が出ましたので、更に質問させてください。
腋窩郭清時に、予定ではレベル2だったのですが、予想以上にリンパ節腫大?(肥大?)があったようで、レベル3まで郭清したと言われました。
腋窩郭清後のリバビリも翌日から徐々に始めており、順調に回復して今のところ浮腫も無く、腕も肩くらいまでは上がるようになってきています。
病理結果
Invasive ductal carcinoma,scirrhous type with Invasive micropapillary conponent, pT3,f,ly(+),v(-),EIC(-),extensive PVI(+),
浸潤径5.8×3.3cm,surgical margin: negative
肉眼的に不整な白色領域が広範囲に広がっている。
組織では核腫大、核の濃染を示す異型上皮がいびつな小腺腔あるいは小胞巣、微小乳頭状構造を形成し、背景に繊維化を伴って浸潤増生している。
腫瘍は脂肪織にも浸潤している。
浸潤胞巣は広範囲に点在し、中央の割面では5.8×3.3cmの範囲に広がっている。
硬癌の像であり、浸潤性微小乳頭癌の成分も混在している。
乳管内進展は目立たないが、脈管侵襲像を散見し、乳房内リンパ節1個
を含む合計16個のリンパ節に腫瘍の転移をみる。
断端は陰性である。
Nuclear grade 2(Nuclear atype 2,Mitotic count 2) Histological grade II (Tubular formation 2,Nuclear atype 2,Mitotic counts
2)
リンパ節合計 16/22
Level I(12/18) ,Level II(3/3),乳房内リンパ節(1/1)
ER(+)(100%:strong)
PgR(-)(<5%:intermediate)
Her2(-):Score 0
CK5/6(-)
MIB-1:50%
①この病理結果から、どんな事がわかるのでしょうか。
教えてください。
②レベル3までの郭清もしくは、脂組織にも浸潤とか、硬癌、脈菅侵襲、リンパ節転移16個、浸潤径も当初よりかなり大きいので、所見の文言からみると再発率も高く、かなり悪いのではないですか?
③担当医からは、病理ではステージ3bだか3aです。と言われました。
本当は3bですよね。
④抗がん剤は、FEC×4回、タキサン×4回を3週間毎の予定と言われました。
明後日からする事になってます。
その後、放射線治療ですがこちらの病院はリニアックです。
田澤先生は
いつもトモセラピーを勧めていますが、リニアックでも大丈夫でしょうか。
検査結果が出る度に、どんどん悪い状況になっていくようで、涙がとまらず未来も無いように感じています。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「①この病理結果から、どんな事がわかるのでしょうか。教えてください。」
⇒pT3(58mm), pN3(16), pStageⅢCとなります。
 luminalB(Ki67=50%)です。
 
「②レベル3までの郭清もしくは、脂組織にも浸潤とか、硬癌、脈菅侵襲、リンパ節転移16個、浸潤径も当初よりかなり大きいので、所見の文言からみると再発率も高く、かなり悪いのではないですか?」
⇒そのために抗がん剤は必須(ゴールデンスタンダードであるアンスラサイクリン+タキサン)です。
 ただ、抗がん剤をすれば根治の可能性はぐんとあがります。
 遠隔転移がないのだから、根治を狙いましょう。
 
「③担当医からは、病理ではステージ3bだか3aです。と言われました。本当は3bですよね。」
⇒pN3だから3Cとなります。
 
「④抗がん剤は、FEC×4回、タキサン×4回を3週間毎の予定と言われました。」
⇒それでいいのです。
 アンスラサイクリン+タキサンです。
 ECではなく、FECであることが少し気になりますが、FECの方が慣れたレジメンなのでしょう。
 
「いつもトモセラピーを勧めていますが、リニアックでも大丈夫でしょうか。」
⇒予防照射なので「リニアックでも大差ない」が、SC(鎖骨上領域)にきっちり線量が入るようにしてもらいましょう(その分、咽喉痛はありますが…)