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超音波で見つかった線維腺腫

[管理番号:857]
性別:女性
年齢:42歳
 
 

質問者様の別の質問

質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。
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管理番号:1014「治療等についての質問

 
 
昨年8月に、乳腺専門の個人クリニックで超音波検査(検査は検査技師・読影は乳癌専門医)を受けたところ、異常なしでした。
今年7月に別のクリニックで超音波とマンモグラフィー(検査は検査技師・読影は乳癌専門医)を受けたところ、8ミリの線維腺腫(疑い)・カテゴリー3(良性の可能性が高いが悪性を否定できない)との結果で、半年後に再検査を受けてくださいとのことでした。
昨年はなかった線維腺腫が40代で新たにできるということは、大きさから考えても、癌か悪性葉状腫瘍の可能性が高いでしょうか?
また、半年を待たずに再検査をしようと思っていますが、以下の点について教えてください。
・昨年異常なしと言われた個人クリニックは、必要があれば当日に針生検も行えるようです。こちらで再度超音波とマンモトーム生検を行うか。または多少予約待ちがあるとしても、今年受けたクリニックと提携している、乳がん患者を多く診ている大病院でマンモトーム生検をお願いするか。
どちらがよいでしょうか?
・個人クリニックは病理を外注しており、大病院は常駐の病理医がいます。常駐の病理医がいるほうが、病理結果の正診率は高いでしょうか?
・マンモトーム生検の結果、線維腺腫だった場合は、その後の経過観察はどの程度の間隔で受ければよいでしょうか?個人クリニックでの経過観察でも大丈夫でしょうか?
・線維腺腫と良性葉状腫瘍は、マンモトーム生検だけでは判別が難しいのでしょうか?
線維腺腫だったとの結果でも、良性葉状腫瘍の可能性も捨てきれない場合は、やはり経過観察しかないのでしょうか?
お忙しいところ恐れ入りますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 「fibroepithelial tumor(線維腺腫や葉状腫瘍など)」について、良く勉強していらっしゃいますね。
 以下の点は、とても私の考え方に合致します。
①40代であらたにできた「線維腺腫?」様所見は 「葉状腫瘍や癌(8mmの大きさがあれば、形状で癌かどうかは区別がつきそうです)」を念頭におかなくてはならない
②昨年8月のクリニックで受けた際に「異常なし」となっているが、「検査が技師さん」なので、「もしかすると見落とし」があり、「昨年にも同じ所見があった可能性」も考慮している(その辺も認識されているようにお見受けしました)
③線維腺腫と良性の葉状腫瘍は針生検(マンモトームも含め)では区別が難しい 
♯冒頭で敢えて「fibroepithelial tumor」と記載したのは、(線維腺腫と葉状腫瘍を区別できずに)「針生検での病理結果がfibroepithelial tumor 葉状腫瘍を否定できない」となる事が多いのです。

回答

「昨年異常なしと言われた個人クリニック」「乳がん患者を多く診ている大病院」「どちらがよいでしょうか?」
⇒実情を知らないので、非常に答えにくいところです。
 ただ、私の想像では
 「必要があれば当日に針生検も行える」個人のクリニックの医師の「技術は信頼できる」と思います。
◎「針生検の技術」は「数」なのです。
 「その日のうちに行う」ということは、それだけ(診療に支障なく)「スムーズに針生検を行える自信がある」ことを示していると思います。
 また、「その日のうちに行う」ということは「それだけ、針生検を手軽に考えている⇒(そうすると)自然と件数も増えてきます」
 それでは「乳がん患者を多く見ている大病院」はどうか?
 おそらく、多くの医師が居て、「1人1人の診断技術はそれ程高く無い」と思います。(中には、技術が高い医師もいるかもしれませんが)
 若い医師(もしかすると研修医や認定医を目指している医師)などの「経験の場」とされる事も十分に考えられます。
 ♯大学病院ほどには、「そのリスクは高くはない」かもしれませんが、「大病院であればある程」注意が必要です。
 ★結論として、「手軽に針生検を行うクリニックの医師」が責任をもって行う方が「安心」と思います。
     
「個人クリニックは病理を外注しており、大病院は常駐の病理医がいます。常駐の病理医がいるほうが、病理結果の正診率は高いでしょうか?」
⇒これは関係ありません。
 「外注」の場合はむしろ「乳腺に強い」病理医による診断が選ばれている可能性があります。
 その病院の「常勤の病理医」が「乳腺に強いかどうか?」は不明です。
 ♯乳腺病理は「特殊」であり、専門性が必要と言われています。
 
「マンモトーム生検の結果、線維腺腫だった場合は、その後の経過観察はどの程度の間隔で受ければよいでしょうか?個人クリニックでの経過観察でも大丈夫でしょうか?」
⇒「この場合」は最低限「線維腺腫か良性葉状腫瘍」と考えると「8mm」であれば、最初は「6ヵ月」が妥当です。
 勿論「個人のクリニックでも安心して」経過観察できます。
 超音波で「病変を新たにみつける」ことは難しくても、(あると解っている)「病変を確認して比較する」ことは非常に容易なのです。
 
「線維腺腫と良性葉状腫瘍は、マンモトーム生検だけでは判別が難しいのでしょうか?」
⇒その通りです。
 冒頭から記載しているように「fibroepithelial tumor 線維腺腫が最も考えられます。良性の葉状腫瘍も否定できません」というような病理レポートになりがちです。
 実際に私の経験では(術前に、マンモトームで)「線維腺腫」の診断だったのに「摘出してみたら、葉状腫瘍」のようなことは日常茶飯事です。
 
「線維腺腫だったとの結果でも、良性葉状腫瘍の可能性も捨てきれない場合は、やはり経過観察しかないのでしょうか?」
⇒「摘出」することもできます。
 「8mm」程度ならば、局所麻酔下に「30分程度」で摘出できます。
 不安な場合には「摘出」してもらいましょう。
 
 

 

質問者様から 【質問2 マンモトーム生検について】

田澤先生、早速のご回答ありがとうございます。
とてもわかりやすく説明していただき、こういった掲示板があることに感謝します。
先ほど気が付いたのですが、個人クリニックでは「針生検にかかる時間は10分程度」と書かれていました。
別の病院のHPより、超音波下マンモトーム生検は通常45分~60分かかるとあったので、マンモトーム生検はしていないのではないかと思います。
針生検ではなく、マンモトーム生検を希望していますので、できれば最初から田澤先生に検査していただけたらと考えています。
その場合、大体いつ頃の検査が可能でしょうか?
それと、葉状腫瘍は刺激すると悪性化して増殖する可能性もあるというようなことを、実際に治療された方のブログで読んだことがあります。マンモトーム生検をすることで、そういった可能性はないのでしょうか?
また、線維腺腫と良性葉状腫瘍は区別がつきにくいとのことですが、線維腺腫と境界性や悪性葉状腫瘍も区別がつきにくいのでしょうか?
お忙しいところ、追加の質問で大変申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 マンモトーム生検(この場合は超音波ガイド下)については、診察した同日に行っています。
 検査自体は20分程度でしょう。

回答

「マンモトーム生検を希望していますので、できれば最初から田澤先生に検査していただけたらと考えています。その場合、大体いつ頃の検査が可能でしょうか?」
⇒私は外来診察のまま「マンモトームを」行っているので「外来予約日」となります。
 
「葉状腫瘍は刺激すると悪性化して増殖する可能性もある」
⇒これは(中途半端に)摘出した際に、「再発をするとグレードが高くなる」ことは事実です。
 「刺激」という表現が何を意味するのか不明ですが、「組織診」をすることで「悪性化する」ことを証明することはできない筈です。
 
「マンモトーム生検をすることで、そういった可能性はないのでしょうか?」
⇒そう言った例は知りませんが…
 ただ、実際には「マンモトーム生検で葉状腫瘍」ならば「必ず摘出」するので、そのような事が起こるのかは不明です。
 
「線維腺腫と境界性や悪性葉状腫瘍も区別がつきにくいのでしょうか?」
⇒区別できます。
 実際に私が経験したケースは以下となります。

  • (マンモトームで)線維腺腫⇒(摘出で)良性葉状腫瘍
  • (マンモトームで)良性葉状腫瘍⇒(摘出で)境界悪性葉状腫瘍
  • (マンモトームで)境界悪性葉状腫瘍⇒(摘出で)悪性葉状腫瘍

 ♯実際にこれらの事があるので、「摘出の際には」1ランク上の「マージン」で行っています。