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右胸がいつもと違う

[管理番号:30]
性別:女性
年齢:45歳
 先日生理が終わった後、セルフチェックのために胸をさわったところ、右胸にコリッとしたものを感じました。
 しかしその後4日か5日経ったころにはそれが小さくなってきて、いつもと変わらない感じに戻ってきました。受診した方がいいのでしょうか?
 
 昨年11月に受けたがん検診(マンモグラフィー)は異常なしでした。
 

A.回答

 こんにちは。田澤です。
 「元に戻ったとは言え、一度はコリッとしたしこりを自覚した。大丈夫だろうか?」と気になるのも当然と思います。
 それでは回答します。

回答

 様子を見てください。
 これからも自己検診を続けて、もし再度「コリッ」と気になる事があれば、その時には「機を逃さずに」受診する事がベストです。
 
◎症状からすると、乳腺症であると思います。
 ※乳腺症については「トップページ」の「良性疾患」を参照してください。
 日常診療の中で、頻繁にある症状であり心配は無いと思います。
 
 実際の診療では、超音波が有効であり、乳腺症であるのか腫瘍であるのかは通常区別できます。(区別しずらい時には針生検など行います)
 「現に、しこりがある時」に受診してもらえれば、そのしこりを直に検査し、「それは、乳腺症ですよ」と確信をもって診断できるのですが、「4~5日前にあったけど、今は無い」と言われると、超音波をすることで「腫瘍は無い」事はわかっても、●そのしこりは何だったのか?までは確認ができません。
 それが、「しこりが消える前に受診」がベストであるという理由です。
 
 

参考にしてください。

女性ホルモン(特にエストロゲン:E)は卵巣から分泌されて子宮内膜に作用し、結果として「生理の周期」を形作りますが、同様に乳腺にも大きな影響を及ぼします。

①生理前
 Eの分泌量が増加
・子宮内膜は肥厚(厚くなる)
・乳腺組織も増殖(乳腺が張る、痛みがでる)
②生理 
 Eの分泌量が減少
・肥厚した子宮内膜が剥がれ落ちる(この現象を生理という)
・乳腺組織も退縮が始まる
③生理後
 Eの分泌量が徐々に回復
・子宮内膜は徐々に厚くなってくる
・乳腺組織も柔らかい状態から徐々に増殖(徐々に乳腺が張ってくる)

 このような周期の中で、①生理前に「しこり?もしくはコリッとした硬さ」を自覚し、②生理~③生理後に乳腺が退縮し「しこり?や硬さの消失」が起こる事が乳腺症で良く見られます。
 ただ、30代後半以降(特に40代半ば以降の方に多いのですが)卵巣機能の低下が始まる事で、この周期が不完全となり●生理自体の周期に狂いは無くても、乳腺の張りや痛みなどが変化をしてくるのです。
 日常診療をしていると、この年代の方でそのような症状が出る方は非常に多いです。勿論超音波にて確認していますが、全く正常な乳腺組織です。