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妻の葉状腫瘍について

[管理番号:2766]
性別:女性
年齢:50歳
 田澤先生におかれましては、ますますご活躍のこととお喜び申し上げます。
 本来ならばセカンドオピニオン制度を利用して先生にご相談させて頂かなければならないところですが、私たちは地方の田舎に住んでいるため、まずは、メールでご相談させていただくことをお許しください。
 私の妻のことでメールさせていただきました。
 妻は50歳、子どもは3人です。
 2015年7月、職場の人間ドックのマンモグラフィでは異常がなかったのですが、2016年1月中旬の町ぐるみ検診のマンモグラフィで要精検になりました。
 2月下旬、乳腺科のある総合病院で再検査を行い、マンモグラフィとエコー検査をしていただき、異常が認められたため、即日、エコー下での針生検をしていただきました。
 2週間後に夫婦で検査の結果を聞きに行きました。
 検査の結果は癌ではなく、葉状腫瘍というものでした。
 主治医の先生が言われるには、「大きさは4ミリで、悪性ではないが良性とも言えない○○○○○○の葉状腫瘍ですね。
癌ではないが経過を見ていく必要があります。
 半年ごとのエコー検査と1年ごとのマンモグラフィ検査を行いましょう。
急にしこりが大きくなるようなら、すぐに診察に来てください。
」ということでした。
(○○○○○○の葉状腫瘍とは、その時良く聞き取れなかった言葉です。)
 この時、私たち夫婦は、癌ではないことにほっとしており、葉状腫瘍についてはあまり気にしておりませんでしたので、上記の聞き取りにくかった○○○○○○を主治医に聞き直しませんでした。
 しかし、帰宅後、インターネットで葉状腫瘍を知らべてみると、大変稀な病気で、恐い病気であることに気づきました。
そこで、葉状腫瘍についてお詳しい田澤先生にご教示いただけたらとメールいたしました。
(1)エコー下針生検で、4ミリの葉状腫瘍が良性か境界型であるか
 判別できるのでしょうか。
(太い針でバチンと大きな音がしたらし
 いですが、マンモトーム生検かどうかは不明です。
 回数は1回です。)
(2)もし、4ミリの葉状腫瘍であってもエコー下針生検で判別がつ
 くのであれば、主治医が言った「悪性ではないが良性とも言えない
 ○○○○○○」とは、境界型を指すと考えてよいのでしょうか。
 それとも針生検では、4ミリの葉状腫瘍が良性か境界型であるかの
 判別できないので、「良性もしくは境界型」と言われたのと理解し
 ていいのでしょうか。
(3)もし境界型の葉状腫瘍であった場合、肺などの他の臓器に転移
 する可能性はないのでしょうか。
(4)インターネットで調べたところ、葉状腫瘍は良性も悪性も摘出
 することが原則のようですが、うちの妻の場合は、良性または境界
 型の葉状腫瘍ではあっても、4ミリと小さいことから、半年ごとの
 エコー検査と1年ごとのマンモグラフィ検査で様子を見るという方
 針でよいのでしょうか。
(5)あるいは針生検で判別できない良性か境界型を判断するために
 様子を見ているのでしょうか。
(6)私たち夫婦の聞き洩らしであり、実は境界型であることが確定
 していた場合は、4ミリであっても、すぐに摘出手術をした方がよ
 いでしょうか。
(7)病院でもらった説明書では、葉状腫瘍は1センチの余裕をみて
 切除するとなっておりますが、田澤先生のご経験上では、良性、境
 界型、悪性の場合、それぞれ何センチの余裕をもって切除すること
 が望ましいとお考えでしょうか。
(8)針生検の診断結果に誤りがあり、実は悪性である可能性はある
 でしょうか。
 長々と書き誠に申し訳ありません。
 大変お忙しいこととは存じますが、何卒ご教示のほど、よろしくお願い申し上げます。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「(1)エコー下針生検で、4ミリの葉状腫瘍が良性か境界型であるか 判別できるのでしょうか。」
⇒正確ではありません。
 「境界悪性の可能性がある」という程度の筈です。
 
「(太い針でバチンと大きな音がしたらし いですが、マンモトーム生検かどうかは不明」
⇒これは(マンモトームではなく)「バネ式針生検」です。
 
「(2)もし、4ミリの葉状腫瘍であってもエコー下針生検で判別がつくのであれば、主治医が言った「悪性ではないが良性とも言えない ○○○○○○」とは、境界型を指すと考えてよいのでしょうか。」
⇒「境界悪性」もしくは「良性もしくは境界悪性」だと思います。
 
 
「それとも針生検では、4ミリの葉状腫瘍が良性か境界型であるかの判別できないので、「良性もしくは境界型」と言われたのと理解していいのでしょうか。」
⇒その可能性は「十分に」あります。
 
「(3)もし境界型の葉状腫瘍であった場合、肺などの他の臓器に転移する可能性はないのでしょうか。」
⇒100%ありません。
 葉状腫瘍は「大きさが重要」です。 「4mmでは、悪性はまずないし、転移などとんでもない」ことです。
 
「(4)インターネットで調べたところ、葉状腫瘍は良性も悪性も摘出することが原則のようですが、うちの妻の場合は、良性または境界 型の葉状腫瘍ではあっても、4ミリと小さいことから、半年ごとのエコー検査と1年ごとのマンモグラフィ検査で様子を見るという方針でよいのでしょうか。」
⇒摘出すべきです。
 組織検査で「線維腺腫、ただし良性の葉状腫瘍も完全には否定できない」というのであれば、経過観察でいいですが、葉状腫瘍(良性とはいいきれない)であれば、当然摘出すべきです。
 
「(5)あるいは針生検で判別できない良性か境界型を判断するために 様子を見ているのでしょうか。」
⇒「小さい」から油断しているのではないかと「想像」します。
 
「(6)私たち夫婦の聞き洩らしであり、実は境界型であることが確定していた場合は、4ミリであっても、すぐに摘出手術をした方がよいでしょうか。」
⇒(良性とはいいきれない)「境界悪性の可能性がある」という状況では「摘出すべき」なのです。
 
「(7)病院でもらった説明書では、葉状腫瘍は1センチの余裕をみて切除するとなっておりますが、田澤先生のご経験上では、良性、境 界型、悪性の場合、それぞれ何センチの余裕をもって切除することが望ましいとお考えでしょうか。」
⇒良性 1cm
 境界悪性 2cm
 悪性  これは、そもそも「温存すべきか?」という相談をしなくてはなりません。「乳房全摘も視野」に入れるべきなのです。
 
「(8)針生検の診断結果に誤りがあり、実は悪性である可能性はあるでしょうか。」
⇒ありません。
 「その大きさ」で「悪性はない」と思います。