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腫瘍があるといわれました。

[管理番号:1300]
性別:女性
年齢:38歳
はじめまして。よろしくお願いいたします。
先月就寝時に胸に痛みを感じ、9/○○に受診しました。
しこりは、授乳の時から胸全体が被さるような固いものがあったのですが、
乳がんのしこりは、もっと小さいものだと思い、気にしていませんでした。
エコーにて見てもらったところ、「3.5センチの腫瘍がある」と言われました。
胸の上から触ってみるともっと大きい気がします。本当に乳房全体という感じなのです。
最初、触診の時に先生も「なんだこりゃ?」とおしゃってられました。
(乳がん・子宮がん検診も行っている婦人科の病院です。)
脇の下もエコーで見て測ってられました。
家に帰ってから見てみると、確かに脇の下にも丸く動くものがあります。
明日、乳腺専門医の先生がおられる病院を受診します。
ところで、今までは、横になるとしこりが痛むだけだったのですが、
「腫瘍がある」と言われて以来、とても体がだるくて、
常に胸がドーンと重く、脇の下もつっぱった感じ、背中も痛くなり、
ちょっとした痛さにも敏感になってしまいます。精神的なものでしょうか?
あと、「腫瘍がある」=「乳がん」ということでしょうか?
質問という質問もないのですが、ここ最近夜も眠れず、
明日の受診も待てずに先生にメールしてしまいました。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「3.5センチの腫瘍」「脇の下にも丸く動くもの」
⇒文章からは「乳癌を疑う」ものです。
リンパ節に腫大があるとすれば「転移か炎症性か」どちらかとなります。
「肉芽腫性乳腺炎のような疾患では、炎症性に(反応性)リンパ節腫大も起こりえます」
乳癌とは決めつけられませんが、「乳癌の可能性を第1に考えて検査を勧めるべき」
であることは間違いありません。
必ず組織診が必要です。
 
『「腫瘍がある」と言われて以来、とても体がだるくて、常に胸がドーンと重く、脇
の下もつっぱった感じ、背中も痛くなり、ちょっとした痛さにも敏感になってしまい
ます。精神的なものでしょうか?』
⇒(ご本人のおっしゃるように)精神的なものだと思います。
 
『あと、「腫瘍がある」=「乳がん」ということでしょうか?』
⇒「腋窩リンパ節が腫大している」ことからは、「乳癌か、炎症性疾患なのか」どち
らかです。
 肉芽腫性乳腺炎など「腫瘍を形成するタイプの炎症性疾患」は頻度が低いので「頻
度からすれば、乳癌を第1に疑わなくてはならない」と言えます。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

お忙しい中、お返事いただきありがとうございます。
早速で申し訳ないのですが、
紹介先の病院では、
超音波検査→マンモグラフィー→触診診察→針生検の流れでした。
調べてもらったところ、
しこり5センチ…
脇の下もやはり腫れているとのこと。
病理検査の結果で、ホルモン剤か抗ガン剤か、どちらが効くのか調べ、ガンを小さく
してから取り出すとの話でした。
質問ですが、やはり5センチともなると、すぐには取り出せませんか?痛みがあるの
で、先に取りたいし、術前術後に抗ガン剤も避けたい気持ちがあります。
また小さくしてから取り出すとは、どれくらいの大きさまで、それにはどれくらいの
期間が掛かるのでしょうか。
しこりの大きさに愕然とし、また現時点での他臓器転移がとても怖いです。
体もしんどく、いつまで仕事が続けられるのか…。
来週頭に、検査結果とCTを撮ります。
1週間が本当に長いです。
よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「ガンを小さくしてから取り出すとの話」
⇒ここでも「術前化学療法」を「無闇に勧めている」ようです。
 本来術前化学療法は「温存術を望むけれど、現時点では腫瘍が大きくて温存術がで
きない。 それならば(効果がないリスクは承知の上で)抗癌剤で小さくして温存を
狙う」場合にのみ適応があります。
 ○現時点で「5cm」ということですから、「現時点では温存術ができない」事は間
違いないと思いますが、「小さくして温存を希望しているのでしょうか?」
 もしも『乳房全摘を考えているのであれば、(変なリスクを負わずに)手術先行
すべき』です。
 
「やはり5センチともなると、すぐには取り出せませんか?痛みがあるので、先に取
りたいし、術前術後に抗ガン剤も避けたい気持ちがあります」
⇒(ご本人が、乳房全摘を了解するのであれば)直ぐに手術すべきです。
 担当医に「手術先行の意思」を伝えましょう。
 もしも担当医が「リンパ節転移があるから、術前化学療法が必要」などという事を
言ったら「リンパ節は手術で摘出してください」と言ってあげてください。
 
 ★担当医から「色々な(適当な)理由を挙げて」で術前化学療法を執拗に勧められ
ても「手術先行にすべき」です。
 「抗がん剤は必ず効くとは限らない。もしも効かなかったならば手術不能となる
こともある」から「手術先行にしたい」と担当医に伝えてください。
 
「また小さくしてから取り出すとは、どれくらいの大きさまで、それにはどれくらい
の期間が掛かるのでしょうか」
⇒全く不明です。
 術前化学療法は「必ず効果があるとは限らない」ことに注意が必要です。
 
  
「しこりの大きさに愕然とし、また現時点での他臓器転移がとても怖いです」
⇒大丈夫です。
 初期治療の時点で「遠隔転移などありません」
 
「体もしんどく、いつまで仕事が続けられるのか」
⇒手術をしてしまえば、すぐにでも仕事復帰できます。
 深刻に考える必要はありません。
 乳癌は「根治の可能性が高い」のです。
○初期治療が最も大事です。
 担当医と良く話し合い、「納得いく、治療を選択」しましょう。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

いつも拝見しております。
よろしくお願いいたします。
10月頭にがんと告知されてから、10月末に手術、11月下旬にCVポートを入れ、そのまま1回目の抗がん剤治療に入りました。
術前抗がん剤を薦められていましたが、先にこのサイトで先生に質問していたお蔭で、先に手術が出来て良かったです。
さて、病理検査の結果が全部出ていないため、
先生から聞いたり、薬剤師さんのメモ書きなどを参考に今わかっていることを書きます。
ステージ  :ⅢA
腫瘍の大きさ:4.6cm
リンパ節転移:4か所
ER +80%
PgR +60%
Her2 +
Ki-67 >30%
今後の治療はEC療法4回→ドセタキセル+ハーセプチン4回→ハーセプチン開始後1年後
その後は、ホルモン療法5年+注射2年 と言われています。
先生も同じような抗がん剤を選択されますでしょうか?
また、放射線治療は言われていないのですが、行った方がよいのでしょうか?
最後にこれだけの情報では足りないかもしれませんが、
再発率、生存率などわかりましたら、
教えてください。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
無事に「手術先行」となり良かったです。
「術前抗がん剤を薦められていましたが」
⇒何故、其れほどまでに「術前抗がん剤」をしたがるのか理解不能です。
 個々の患者さんの状況(抗癌剤が効かなかった際に、病勢進行して遠隔転移をしたり手術不能となる可能性など)を無視した「思考停止」のルーティーン作業でしょうか?

回答

「先生も同じような抗がん剤を選択されますでしょうか?」
⇒そうします。
 「アンスラサイクリン+タキサン」が「抗HER2療法のスタンダード」です。
 
「また、放射線治療は言われていないのですが、行った方がよいのでしょうか?」
⇒おこなうべきです。
 通常は「ドセタキセル+ハーセプチン」と「ハーセプチン単剤」の間に行います。
 リンパ節転移4個であれば、放射線治療は推奨度Aとなります。
 
「最後にこれだけの情報では足りないかもしれませんが、再発率、生存率などわかりましたら、教えてください」
⇒核グレードの情報が無いと解りません。
 そんなことよりも「最も効果の期待される」抗HER2療法の完遂を目指して頑張りましょう。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

田澤先生。
こんにちは。
いつもお世話になります。
さて、現在手術→4回のEC療法→先日、1回目のドセタキセル+ハーセプチン+リュープリン注射をしてきました。
タモキシフェンも開始です。
EC療法では、3回目と4回目にジーラスタの注射をしましたが、予定通りにりに進んでおります。
ドセタキセルの副作用なのか、味覚は大丈夫なのですが、口に物を入れると舌がピリピリしてます。
さて、前回の質問で、リンパ節に4か所転移があったので、放射線は必要ですか?
という質問を田澤先生にし、4個以上は放射線は推奨度Aとのお返事をいただきました。
主治医の先生に確認したところ、する予定はないとのこと。
レベルⅠが3/15、レベルⅡは0/7(分母数うる覚えですが・・・。)Ⅲのリンパのリンパ節はとっていません。
残りの1つは、CTを見せてもらいながら説明を受けたのですが、大胸筋と小胸筋の間のリンパ節に1/2 とのことでした。
ここは、レベルⅡの範囲とは別のところなのでしょうか?
この場合もリンパ節4個転移となって、放射線治療が必要なのか、それとも部位が離れているから放射線治療をしないのか。
そこまでは質問することができませんでした。
(一回放射線はしないといわれているので、なかなか聞きにくくて・・・)
私の説明ではわかりにくいかもしれませんが、田澤先生はどのように考えられますで
しょうかえられますでしょうか?
また、ステージⅢAと言われていますが、上記の1/2のリンパ節転移と
腫瘍径4.6センチから判断されているのでしょうか?
抗がん剤治療中は転移・再発はありえますか?と質問したところ、ないこともないようで、体調が悪いときは、こちらからの申告。
また術後6かか月にCTを撮るといわれました。
田澤先生も同じような経過観察をされるでしょうか?
前回の質問では、核グレードがわからないから、再発率などはわからな
いといわれましたが、一応覚悟を決めておきたいので、
一番グレードが良くないものでは、
再発率は何パーセントぐらいになるとかは教えていただくことはできますか?
再発しやすいとはいわれているのですか・・・。
ER +80% , PgR +60% ,HER2 +3, Ki-67>30% , ly1, v0 です。
お忙しいのに長々と申し訳ありません。
とりあえず、あと1年のハーセプチンの完遂まで頑張りたいと思います!
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
大胸筋と小胸筋の間のリンパ節に1/2 とのことでした。ここは、レベルⅡの範囲とは別のところなのでしょうか?」
⇒Rotter(胸筋間リンパ節)といい、レベルⅡリンパ節です。
 
「この場合もリンパ節4個転移となって、放射線治療が必要なのか、それとも部位が離れているから放射線治療をしないのか。」
⇒「リンパ節転移4個」となります。
 やはり、放射線照射の適応となります。
 
「私の説明ではわかりにくいかもしれませんが、田澤先生はどのように考えられますでしょうか」
⇒リンパ節転移4個だから、当然「放射線照射適応」となります。
 
「また、ステージⅢAと言われていますが、上記の1/2のリンパ節転移と腫瘍径4.6センチから判断されているのでしょうか?」
⇒その通りです。
 pT2(46mm), pN2(4個), pStageⅢAとなります。
 
「また術後6かか月にCTを撮るといわれました。田澤先生も同じような経過観察をされるでしょうか?」
⇒CTは不要です。
 3カ月に1回の「採血、腫瘍マーカー」「エコー」
 1年に1回のマンモグラフィーです。
 
「一番グレードが良くないものでは、再発率は何パーセントぐらいになるとかは教えていただくことはできますか?」
⇒(グレード3とすると)3年再発率は20%です。
 ○抗HER2療法は「3年」しかデータがありません。
 
「とりあえず、あと1年のハーセプチンの完遂まで頑張りたいと思います!」
⇒頑張りましょう
 抗HER2療法は「再発率を半分」にする大変有用な治療なのです。
 
 

 

質問者様から 【質問5】

田澤先生、いつもネット上ではありますが、お世話になっております。
さて、今回は転移の件で質問です。
現在、手術より7か月経過しました。
EC療法からドセ、そしてハーセプチン単剤になって2回終了した段階です。
先月、術後半年ということで、CTを撮りました。
結果は、肺に3か所考慮すべきところが見つかった・・・とのこと。
3mmほどのうっすらした影、横隔膜近くなど説明を受けましたが、あまり頭に入らず。
どちらの肺かも覚えていません。
CTを撮る半月前に40度の熱が出て肺炎が疑われ、その際に胸部のレントゲンを撮ったのですが、その時は特に何も指摘されませんでした。
先生は、“風邪で出来るようなものではない。
3か月後再度CTを撮って、大きくなっていたり数が増えていたりしたら治療を変更していかないといけない。
”とのことでした。
ある程度の覚悟はしていたものの、ハーセプチンの治療の間は再発、ましてや遠隔転移しないと心の片隅で思っていたので、ショックは大きいですが、冷静に受け止めていかないといけないと思っています。
さて、質問です。
主治医の先生には、これが転移だったらドセが効かな
かったということになると言われたのですが、ドセだけでなく、ハーセプチンも効いていないということですよね?
田澤先生だったら、まず今後どのような治療を施されますか?
ちなみに、前回、放射線の件で質問したのですが(転移4個、推奨度A)、結局、リンパもゴロゴロしてなかったし、最終手段に取っておきたいということで、放射線治療は行っておりません。
今がもう最終手段のの使い時になるのでしょうか?
そういえば咳がよく出たり、息苦しい感じがしていました。
この時期のアレルギー性の気管支喘息だと思っていたのですが、ぜんそくの薬も効かず・・・。
進行が早いのでしょうか。
長々と書いてしまいましたが、よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答5】

こんにちは。田澤です。
「肺に3か所考慮すべきところが見つかった・・・とのこと。3mmほどのうっすらした影、横隔膜近く」
⇒肺のCTで3mmの影、しかも横隔膜近く
 実際に画像を見ていませんが…
 普通に考えたら「肉芽腫」を疑いますが…
  
「主治医の先生には、これが転移だったらドセが効かなかったということになると言われたのですが、ドセだけでなく、ハーセプチンも効いていないということですよね?」
⇒ここからは「肺転移」だと仮定しての話ですが…
 少し早すぎます。
 ハーセプチンは組み合わせる薬剤により効果は続きます。
 
「田澤先生だったら、まず今後どのような治療を施されますか?」
⇒転移と仮定しての話ですが…
 Pertuzumabを使う場合は「ドセタキセルがfailure」となると一般的なレジメン
(pertuzumab+trastuzumab+DTX)では使いづらく、DTXの替りにPTXを使いたいところです。
  ただし、pertuzumabのエビデンスはCLEOPATRA試験
(pertuzumab+trastuzumab+DTXの組み合わせ)だけなので、やや使いづらい(その施設のレジメン委員会を通っていない)ことがありそうです。
 その意味ではtrastuzumab+(weekly)PTXとすると思います。
 
「放射線治療は行っておりません。今がもう最終手段のの使い時になるのでしょうか?」
⇒放射線照射は、あくまでも「局所療法」です。
 肺転移に胸壁照射は無意味です。
 
「そういえば咳がよく出たり、息苦しい感じがしていました。」
⇒無関係です。
 
「進行が早いのでしょうか。」
⇒考え過ぎです。
 自虐的になるのは止めましょう。