Site Overlay

乳ガン手術後の治療法について

[管理番号:546]
性別:女性
年齢:46歳
4月に乳ガンと診断され、5月に温存手術を受けました。
手術内容としては、2センチ程のしこりの除去ならびにセンチネル生検の結果で腋窩リンパ隔清をしました。
※今は痛みも痺れなどありません。
先日除去した細胞の細胞診結果が下記の様に出ました。
【ルミナルB】
ホルモン感受性+
HER2+
KI67:45%
この結果を受けて、今後の治療法についてのご相談です。
今、主治医からは次の順番と薬で対応するとの事でした。
①ハーセプチン(1年)
②パクリタキセル(15回:約半年)
※①&②を同時進行する
抗がん剤終了後↓
③ホルモン療法&放射線療法
※具体的な薬名や期間は不明
この治療法がベストだが、再発率は45%と言われています。
田澤先生はこの治療法をどの様に思われますか?
また、他の治療法でしたら、どの様な治療法がありますか?
(2015年6月の質問)
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
Luminal B(HER2 type)=所謂「トリプルポジティブ」です。
あらゆる「ターゲット療法」が適応と言う事で「治療は(ご本人にとって)大変ですが、やるだけの価値が大きい」というモチベーションで頑張りましょう。
「再発率は45%」というのは、何の根拠なのか不明ですが、実際は「再発率はもっと低い」でしょう。

回答

「田澤先生はこの治療法をどの様に思われますか?」
①ハーセプチン(1年)
②パクリタキセル(15回:約半年)
※①&②を同時進行する
抗がん剤終了後↓
③ホルモン療法&放射線療法
    ↓
 ②のパクリタキセルは毎週投与(3週連続で1週休薬を5サイクル)だと思いますが、「術後補助療法としては、かなり大変な治療」だと思います。
 あとホルモン療法は「化学療法終了後ではなく、化学療法と同時に開始でいい」と思います。
 放射線照射のタイミングは②のパクリタキセル終了後、1カ月程度空けてから行います。その後、ハーセプチン単剤を行います(ハーセプチンは併用・単剤あわせて1年間)
  
「他の治療法でしたら、どの様な治療法がありますか?」
ハイリスク(リンパ節転移10個以上など)では
 (1)EC(ファルモルビシン+エンドキサン)x4サイクル⇒ハーセプチン+ドセタキセルx4サイクル⇒放射線照射⇒ハーセプチン単剤
これに対し、ファルモルビシン(アンスラサイクリン系といいます)を用いない以下の方法は心毒性が無く、安全な治療と言えます。
 (2)TC(ドセタキセル+エンドキサン)x4サイクル⇒放射線照射⇒ハーセプチン単剤
 (3)TCH(ドセタキセル+カルボプラチン+ハーセプチン)x6サイクル⇒放射線照射⇒ハーセプチン単剤
◎私の感想ではパクリタキセル15回というのは毎週通院が結構大変なので、(質問者の状況がどうなのか不明ですが)
 ハイリスクなら(1)、そうでなければ(2)でいいのではないかと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問2 抗がん剤のクール数について】

田澤先生お忙しい中お返事頂きありがとうございました。
次回の診察の際に田澤先生に提示頂きました治療法を話してみるつもりです。
下記に頂きました【かなり大変な治療だと思う】とは、
副作用的な問題で大変なのか、15クールし続けるという時間的な問題で大変なのか、
どちらの意味で仰られているのでしょうか。
——————————
②のパクリタキセルは毎週投与(3週連続で1週休薬を5サイクル)だと思いますが、
「術後補助療法としては、かなり大変な治療」だと思います。
——————————
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 Luminal B(HER2陽性)タイプ、所謂トリプルポジティブでの補助療法ですね。

回答

「パクリタキセル(15回:約半年) 副作用的な問題で大変なのか、15クールし続けると
いう時間的な問題で大変なのか、どちらの意味で仰られているのでしょうか。」

⇒毎週通院が大変だという意味でした。
 副作用については「weekly」で1回当りのパクリタキセル量が少ないので、「むし
ろ楽」です。
 「通院と副作用」のどちらを優先するかでしょう。
 ちなみにハーセプチンと併用するweeklyパクリタキセルによる補助療法はNEW ENGLAND J(2015年1月)で発表されたばかりのレジメンを参考にしているのだと思います。
 (オリジナルは12回ですが…)