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74歳の母の乳がんについて

[管理番号:2139]
性別:女性
年齢:74歳
大変貴重なHPをありがとうございます。
昨年11月に乳がんが発覚し、12月上旬に右全乳房切除術を受けました。
高齢であることも考え、抗がん剤治療を受けるべきか否か迷っております。
先生なら受けることをお勧めいたしますでしょうか。
*腫瘍の大きさ 2.6cm+α 周囲に伸展像あり
*進行程度Ⅱa
*リンパ節転移なし
*核グレード2
*脈管侵なし
*切除断端陰性
*ER:0%、PgR:0%
*HER2(3+)
*Ri−67 30%
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT2(26mm), pN0, pStage2A, HER2 type
抗がん剤をすべきか?ですね。
考え方としては2つの側面があります。
①年齢
②HER2 typeでの抗がん剤(抗HER2療法)の期待される効果
この2つを考慮すると、「私は抗HER2療法を勧めます」
まず「年齢」ですが、「74歳」であれば「抗HER2療法の非アンスラサイクリンレジメン」であれば「副作用として」十分許容範囲とはなります。
次に「やるだけの価値」ですが、『抗HER2療法は最もやるだけの価値がある治療』と言えます。
○「70歳以上での術後抗がん剤の有効性は不明」なので、例えば「ルミナールBでの抗がん剤」とか「トリプルネガティブでの抗がん剤」はお勧めしませんが、『抗HER2療法は別格』なのです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

管理番号:2139 74歳の母の術後治療について
先日はお忙しい中回答いただきまして本当にありがとうございました。
今週には決定の予定なのですが、未だに抗がん剤治療をするか否かで迷っており、先生のQ&A等で抗HER2療法について調べているのですが、今一度質問させていただきたくメールさせていただきました。
①以前、先生にお勧めしていただいた「抗HER2療法」に使用する薬品名とそれぞれの期間(回数)を教えていただけたらと思います。
いくつかのパターンがありましたら、そちらも合わせて教えていただけたらと思います。
(またそのパターンによる違いも教えていただけたらと思います。)
②抗HER2療法をした場合としない場合の再発率はそれぞれどのぐらいでしょうか。
母の現状は下記になります。
現状:74歳、12月に右全乳房切除術済
*腫瘍の大きさ 2.6cm+α 周囲に伸展像あり
*進行程度Ⅱa
*リンパ節転移なし
*核グレード2
*脈管侵なし
*切除断端陰性
*ER:0%、PgR:0%
*HER2(3+)
*Ri-67 30%
たびたび本当に申し訳ありません。
お手数おかけいたしますが、何卒よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「以前、先生にお勧めしていただいた「抗HER2療法」に使用する薬品名とそれぞれの期間(回数)を教えていただけたらと思います。いくつかのパターンがありましたら、そちらも合わせて教えていただけたらと思います。(またそのパターンによる違いも教えていただけたらと思います。)」
⇒「アンスラサイクリンレジメン」と「非アンスラサイクリンレジメン」がありますが、74歳であれば「非アンスラサイクリンレジメン」でいいと思います。
「抗HER2療法の非アンスラサイクリンレジメン」
 ①パクリタキセルとハーセプチンを毎週投与(12回)⇒ハーセプチン単剤(14回)
  これは、ハンドブックにあるスタンダードレジメンとは異なり「AC療法を行わない」やり方です。
  「最初の12回の毎週通院」は「通院は大変」ですが、「副作用は格段に楽」です。
  その後のハーセプチン単剤には副作用はありません。
 ②ドセタキセル+エンドキサン+ハーセプチン(4回)⇒ハーセプチン単剤(14回)
  これは、「全て3週毎通院」となります。
  ①と比較すると「通院回数が少ない」ことが利点ですが、「副作用は①よりは、やや強い」
  と言えます。
  効果に関しては①との直接比較はありませんが、「パクリタキセル(毎週12回)
=ドセタキセル(3週投毎投与4回)」と考えると②の方が「エンドキサン分」上乗せされると思います。
③ドセタキセル+カルボプラチン+ハーセプチン(6回)⇒ハーセプチン単剤(12回)
  これも「全て3週毎通院」となります。
  カルボプラチンが唯一乳癌の適応を通る使い方です。
 
「②抗HER2療法をした場合としない場合の再発率はそれぞれどのぐらいでしょうか。」
⇒抗HER2療法をしない場合 3年再発率 26% ⇒抗HER2療法をした場合 3年再発率13%
  ♯再発率を半分にします。