Site Overlay

乳腺症について

[管理番号:1791]
性別:女性
年齢:32歳
 
 

質問者様の別の質問

質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。
質問者様の別の質問は下記をクリックしてください。
管理番号:1721「乳腺症について

 
 
先日は、乳腺症についてご回答ありがとうございました。
①あれから診察に行き生理前に脇横がツーンとする事、両方ゴツゴツしたものが少し当たる事を伝え超音波して頂きました。
技師によるエコーで回答と触診は医師からでしたが、悪い物はなかったですよ、そこは乳腺ですね、との事でした。
新しい先生になっており以前の、授乳中だから見えないとかも言われず気になることがあれば授乳中でも妊娠中でもエコーならわかるからすぐに来てくださいねとおっしゃって頂きました。
乳腺症とかでもないですか?と聞くと、う~ん、、といい、私が他にも矢継ぎ早に質問をしていくのではっきり聞けず気になるのですが、悪い物はなかったとの事だったので、次が1月に毎年定期検診をしているので予定通り1月に行きまた聞いてみようと、思います。
乳腺症で特に悪い物でなければ患者に余計な心配をさせないように異常なしという事もあるのでしょうか?また、生理前の乳腺の痛みなどは乳腺症という名前がつかない事もあるのでしょうか?
医師がエコーして下さるところがあると良いのですが。
②今年1月にマンモをしましたがまた来年1月にする予定です、30代初めから毎年マンモというのはいかがでしょうか?北斗さんの件で雑誌でマンモのし過ぎではと書いてあり被爆の量が心配です。ただ石灰化なども気になるので支障がなければ毎年エコーとマンモを受けたいです。
③質問の内容が変わりますが乳がんと授乳の関係です。
乳がんリスクとして、初潮が早い、閉経後、授乳歴がない・短いなどよく見かけます、要するに生理の回数が関係しているのでしょうか?
上記の内容ですと生理が止まっている・生涯の回数が少ない方がいいと感じるのですが、私は産後の生理が比較的早く再開するのですがそれでもやはり授乳を続ける事は乳がんリスクを軽減できるのでしょうか?何を調べてもそこが、書いていないので気になります。
宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「新しい先生になっており以前の、授乳中だから見えないとかも言われず気になることがあれば授乳中でも妊娠中でもエコーならわかるからすぐに来てくださいねとおっしゃって頂きました」
⇒私も賛成します。
 全ての乳腺外科医が「このような姿勢であれば」妊娠出産授乳中に「癌を進行させてしまう悲劇」も少なくなるでしょう。 とんでもない話です。
 
「乳腺症で特に悪い物でなければ患者に余計な心配をさせないように異常なしという事もあるのでしょうか?また、生理前の乳腺の痛みなどは乳腺症という名前がつかない事もあるのでしょうか? 」
⇒これは「意外と大事なこと」です。
 乳腺の「硬さ」と「痛み」に分けて説明します。
①乳腺の硬さ
 「月経前には高エストロゲン状態となり、その刺激で乳腺が張り、乳腺に痛みがでる」
 そして、「月経期」には「低エストロゲン状態となり、乳腺への刺激がなくなり、乳腺の張りがとれ、乳腺の痛みが改善する」
 この繰り返しの中で、徐々に「乳腺の線維化」がおきて「乳腺が硬くなります」
②乳腺の痛み
 「月経前の高エストロゲン状態が乳腺への刺激となり痛くなる」
⇒「月経期」には「低エストロゲン状態となるので乳腺への刺激が消失し痛みが改善」
 これを繰り返します。
 ただし、「30歳代後半」になってくると「卵巣機能が不安定となり、乳房痛が月経周期とシンクロしなくなってくる」
 この年代になってくると、「若いころは月経過ぎると乳房痛が改善したけど、今回は月経が過ぎても乳房痛が継続しているので心配になって来院」となるのです。
それでは「乳腺症」とはどういう概念か?
 ⇒まずは「病気」ではありません。 文字通り、あくまでも「○○症」というのは「病気ではなく、症状を指しています」 例)便秘症、下痢症、多汗症、あがり症  それでは「どういう症状のことを」乳腺症と定義するか?
  それが①乳腺の硬さと②乳腺の痛みなのです。
  我々乳腺外科医が「画像診断をもとに診断」すると「線維化を起こした固い乳腺」を乳腺症と診断しますし、
   「乳房痛症状」を「乳腺症」と表現したり、「エストロゲンによる刺激症状」とか「卵巣の衰え(不安定)」などとも表現するのです。
 
★以上をご理解いただいた上で回答しますと
 担当医は「(技師が撮影した)エコー写真で典型的な線維化の強い豹文様所見をみつけられなかった」ので、画像診断上「乳腺症」という表現は避けた
 ただ「乳房痛」という症状を「○○症」という(症状としての)「乳腺症」と表現してもいいのです。(実際にそういういい方をする医師も多いです)
 正確に表現するには「エストロゲン刺激による症状」なのです。(画像上、線維化が強くないと画像診断上は乳腺症とはいえず、正常乳腺となります)
 
「30代初めから毎年マンモというのはいかがでしょうか?」
⇒石灰化や被爆に対して「良く理解」されていますね。
 勿論「歳とれば、被爆してもいい」という訳ではなく、ここは「効果と副作用(被爆)のバランス」と言えます。
 そのバランスでいうと
 「20歳代」超音波のみ(基本的に定期検診は不必要ですが、気になる場合には超音
波を毎年)
 「30歳代」超音波のみ(但し、ご本人が心配されているように石灰化の問題がある
ので2年に1回程度のマンモ)
 「40歳代~60歳代」マンモと超音波  この年代が「乳癌の高リスク帯」です。
 「70歳以降」マンモのみでOK マンモで「小さい腫瘍」も十分見えてきます。 
 ♯40代前半よりは70代前半の方が「実は多い」事実に注意が必要
「乳がんリスクとして、初潮が早い、閉経後、授乳歴がない・短いなどよく見かけます、要するに生理の回数が関係しているのでしょうか?」
⇒鍵は「エストロゲンレベル」です。
 単純に「生理のある期間=エストロゲンの高い状態の期間」の長さなのです。
 「生理がある=生理前の高エストロゲン状態がある」期間が長いと「高エストロゲンによる乳腺への刺激=癌化のリスク」が長いこととなります。
 「初潮が早い」=「生理のある期間が長い」
 「授乳」=「プロラクチンによるエストロゲン抑性=生理がとまる」
 ○つまり「授乳が長い」とそれだけ「エストロゲン抑性状態が継続=癌化のリスク低下」となるのです。
 
「私は産後の生理が比較的早く再開するのですがそれでもやはり授乳を続ける事は乳がんリスクを軽減できるのでしょうか?」
⇒その通りです。
 「授乳の継続」が「エストロゲンの低下」を持続させ、それが「乳癌リスクを低下」させるのです。