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マンモトーム生検

[管理番号:2462]
性別:女性
年齢:55歳
はじめて質問させて頂きます。
どうぞよろしくお願い致します。
1月末に胸の痛みでしこりに気付き、検診に行きました。
触診では良性ものだろうということでしたが、エコーでちょっと怪しいということになり細胞診の検査をし、結果クラスⅤでした。
しこりの大きさは1cmです。
その後マンモグラフィー、造影MRIを受けましたがマンモには映らず、MRIも位置がC’領域ということもあってか影が映ってる位でグラフにはされていませんでした。
主治医の先生がおっしゃるにはほぼ癌に間違いはないけれど、手術で取ってみたら良性だったということを避けるためにと、明日エコー下でのマンモトーム生検を受けます。
温存で大丈夫ということで、手術の日は一応3月○日に予定を入れています。
この生検は単に癌であるという確定だけのためにするものでしょうか?
それともある程度癌の種類とか、術前に有効なことがわかるのでしょうか?
エコーではリンパは腫れていないので転移はないでしょうと言われましたが、場所がリンパに近いのでとても不安です。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「主治医の先生がおっしゃるにはほぼ癌に間違いはないけれど、手術で取ってみたら良性だったということを避けるためにと、明日エコー下でのマンモトーム生検」
⇒これは正しい判断です。
 細胞診でクラス5でも「偽陽性が1%」あります。
 診断は「組織診で行うべき」なのです。
 
「この生検は単に癌であるという確定だけのためにするものでしょうか?それともある程度癌の種類とか、術前に有効なことがわかるのでしょうか?」
⇒最大の目的は「確定診断」ですが、組織診なので「癌の性質(サブタイプ)」もわかります。
◎サブタイプとは?
 組織検査(針生検や手術標本)などで以下の3点を調べます。
エストロゲンレセプターの発現(ER)
プロゲステロンレセプターの発現(PgR)
HER2蛋白の過剰発現の有無(HER2)
⇒これらの組み合わせで
●luminal type:(ER陽性、PgR陽性、HER2陰性) ホルモン療法が有効(更に増殖指数Ki67の値が低いAと高いBに分けます)
 ♯luminalA(Ki67低値)ではホルモン療法単独を、luminalB(Ki67高値)には(ホルモン療法に加え)化学療法も行う事が多い
● HER2 type:(HER2陽性のもの) ハーセプチンという分子標的薬と通常の抗癌剤の組み合わせを行う
●トリプルネガティブ:(ER陰性、PgR陰性、HER2陰性)通常の抗癌剤を行う
●トリプルポジティブ:(ER陽性、PgR陽性、HER2陽性)ホルモン療法と分子標的薬と抗癌剤の全てを行う
※正式名称はluminal B(HER2タイプ)と言います。
 
「エコーではリンパは腫れていないので転移はないでしょうと言われましたが、場所がリンパに近いのでとても不安です。」
⇒たしかに「腋窩に近い」ことはリスクがどうしても上がります。
 術中に「センチネルリンパ節生検」を行って確認してもらいましょう。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日はご回答ありがとうございました。
マンモトーム生検の結果、非浸潤癌、しこりの大きさは1cm、おとなしい癌ということでした。
予定通り(上旬)日に温存手術を受けます。
生検では非浸潤癌だけれども、実際は浸潤している部分もあるかもしれないということで、
センチネルリンパ節生検はした方がいいということでした。
それは納得したのですが、入院後骨シンチを受けるということです。
術前は細胞診、マンモグラフィー、MRI、マンモトーム生検、採血、心電図、肺気量の検査、胸とお腹のレントゲンを取りました。
骨シンチも非浸潤癌でも浸潤癌かもしれないからという理由で必要なものなのでしょうか?
それとも先生がよくおっしゃられている必要のない検査なのでしょうか?
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「マンモトーム生検の結果、非浸潤癌、しこりの大きさは1cm、おとなしい癌ということでした。」
⇒凄く良かったですね。
 「1cmのしこり」でマンモトームで「非浸潤癌」ならば(術後に)病変全体を検索して浸潤癌が(万が一)見つかったとしても「せいぜい微小浸潤(≦1mm)」となります。
 ♯全体が非浸潤癌の可能性の方が「かなり高い」です。
 
「生検では非浸潤癌だけれども、実際は浸潤している部分もあるかもしれないということで、センチネルリンパ節生検はした方がいいということでした。」
⇒これは私でもそのようにします(ガイドライン上もそうなっています)
 
「それは納得したのですが、入院後骨シンチを受けるということです。」
⇒全く困ったものです。
 絶対に「転移などありえません」
無駄な医療被曝です。
 担当医は何故「骨シンチ」などしようとしているのでしょうか?
 おそらく、その施設の「ルーティーン検査」であり、「乳癌で手術というセットに入っている」のでしょう。
 一度、担当医に問い詰めてみてください。
 『先生は、本当に必要だと思って骨シンチを行おうとしているのですか? もしも自分の家族でも骨シンチをしますか?』と。
 全く無駄極まりない検査です。
 
「骨シンチも非浸潤癌でも浸潤癌かもしれないからという理由で必要なものなのでしょうか?」
⇒全く無用です。
 
「それとも先生がよくおっしゃられている必要のない検査なのでしょうか?」
⇒無駄「そのもの」の検査です。
○そのような「無駄な検査をルーティーン化」していることだけで、(質問者には悪いですが)其の医師の資質が問われます。(まさか、本気で骨転移の可能性を危惧している訳ではないでしょうが…)
 もしも施設として「乳癌患者は例外なく骨シンチを術前にする」などとしているようであれば、「その施設そのものの資質に疑問」があります。
 ♯本気で患者さんのことを考えれば「医療被曝」や「経済的負担」、更に話を広げると(保健医療における)「医療財政の圧迫」という問題があるのです。
 もう少し真剣に考えてほしいものです。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

いつもありがとうございます。
3月8日予定通り温存で手術を受け、31日から放射線治療開始の予定です。
前回骨シンチの質問をさせて頂いたのですが、私の早とちりでした。
入院説明の際、看護士さんが「入院後RI検査を受けて頂きます」と言ったのを、以前

シンチのことをRIというと聞いたことがあって、入院後骨シンチを受けるの?と勘違

してしまいました。
実際はセンチネルリンパ生検のための注射のことで、骨シンチはなく、ドレーンもな

の手術でした。
先生の貴重なお時間を無駄に使ってしまい申し訳ありませんでした。
でもその時の回答の中で、先生に生検の結果が非浸潤癌だったことに対し「凄く良
かっ
たですね。
」と言って頂いたので、私の癌はそのレベルなんだ!と手術までの日をとても
穏やかに過ごすことができました。
本当に感謝しています。
先日病理の結果が出ました。
腫瘍径0.8×0.8の非浸潤性乳管癌
病期分類:T is N 0 M 0 stage 0
リンパ節転移:0/3(センチネルリンパ生検)
ホルモン受容体 エストロゲン  陰性
        プロゲステロン 陰性
脈管侵襲 陰性
断端 陰性
核異型度 3
HER2 3+
Ki-67 70%
主治医の先生の説明では、手術では腫瘍はすべて取り除けたということでした。
非浸潤癌なので、サブタイプは気にしなくていいと理解しました。
治療も放射線治療のみです。
Ki-67の値がすごく高く、悪性度も高かったのでびっくりしたと同時に、浸潤してな
くて
よかったとほっとしたのですが、また新たな不安が出てきました。
非浸潤癌の場合、乳房内再発の際も悪性度が高いから再発しやすいということはない

でしょうか?
再発しやすいとしたら、率としてはどのくらいなのでしょうか?
それともそもそも悪性度と乳房内再発率は関係ないのでしょうか?
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
骨シンチはしなかったとの事。
とても良かったです。
○病変全体で「非浸潤癌」でしたね。
 それであれば、非浸潤癌のサブタイプなど(今すぐ)忘れましょう。
「非浸潤癌なので、サブタイプは気にしなくていいと理解しました。」
⇒正しい理解です。
 
「治療も放射線治療のみ」
⇒これも正しいです。
 むしろ「8mmの非浸潤癌で十分にマージンがとれているから、放射線も省略しますか?」という話題がでてもおかしくありません。
 
「Ki-67の値がすごく高く、悪性度も高かったのでびっくりした」
⇒そんな事は「きれいさっぱり」忘れましょう。
 
 
「非浸潤癌の場合、乳房内再発の際も悪性度が高いから再発しやすいということはないのでしょうか?」
⇒ありません。
 
「再発しやすいとしたら、率としてはどのくらいなのでしょうか?」
⇒再発率など存在しません。
 根治と考えてください。
 「8mmの非浸潤癌が再発」など「聞いた事もありません」
 
「それともそもそも悪性度と乳房内再発率は関係ないのでしょうか?」
⇒その通り無関係です。
 乳房内再発のリスク因子は「断端陽性」です。
 8mmの非浸潤癌で「十分なマージンがある」のであれば、忘れてもいいです。