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非浸潤がんと言われたのにリンパ節転移疑い?

[管理番号:831]
性別:女性
年齢:31歳
エコー、マンモの結果を診て針生検に進み、その結果非浸潤がんと言われました。
「非浸潤であれば取り切ればほぼ完治が望める」というような説明を受けたので、その時はあまりショックも受けず、手術日程まで決めてしまいました。約一か月半後です。
「次に造影剤を入れたMRI検査によってがんの範囲がわかって手術方針が決まるが、エコーを見る限り広範囲の恐れがあるので全摘になるかも」ということでしたが、全摘でも同時再建すればいいのかな、くらいに思っていました。
ところが今日結果を聞いてきたところ、「MRIで脇の部分にまで白く広がって見える部分があったので、もしかしたら広範囲での浸潤がんの可能性があるかもしれない」とのこと。
なので術中にセンチネルリンパ節生検、場合によっては郭清を行う。
(「もし見つからなくても少し多めに取っておいた方が安心かなと思う」と言われたのでほぼ郭清になりそうで、そこはかなり疑問です)
また、その結果によっては術後放射線治療になる可能性もあるので、同時再建はおすすめできない、と言われました。
最初に言われたよりもどんどん大それたことになっていくので、色々不信感を抱いてしまっています。
失礼なのですが主治医の先生が乳がん認定医ではない若めな先生なのもなんだか気になってしまい…
きちんと説明はしてくれるのですが、詳しい病理結果などは教えてもらえませんでした。
長くなってしまったのですが、私への診断と主治医の治療方針(センチネル生検・郭清もほぼ行う予定、同時再建はすすめない)は妥当と考えられますか?
過度に悪い方に診断されているとは考えられませんか?
手術した後に「そこまでするほど悪い状態ではなかったのに全摘してリンパ節も失うはめになった!」なんてことにならないか不安でたまりません。
手術日まであまり時間がなく、後に引けないような気がしてセカンドオピニオンも時間がかかりそうなのでどうすればいいか本当に迷っています。
先生のご意見を伺えたらとても助かります。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 質問者の不安は良く解りました。
 明らかに問題があると言える部分が散見されます。
 特に「腋窩郭清」に関しては「明らかな誤り」と言えるものです。

回答

『「広範囲での浸潤がんの可能性があるかもしれない」とのこと。なので術中にセンチネルリンパ節生検、場合によっては郭清を行う』
⇒そもそも(広範囲であろうと狭い範囲であろうと)「針生検での非浸潤癌の診断の場合には、センチネルリンパ節生検は行うべき」です。
 そして「センチネルリンパ節生検の結果、陽性(2mm以上など)の場合には追加郭清」をします。
 
「もし見つからなくても少し多めに取っておいた方が安心かなと思う」
⇒これは完全に誤りです。
 これでは、センチネルリンパ節生検の意味が全くありません。
 正しいセンチネルリンパ節生検の手技に自信がないのでしょうか?
 (無駄な)腋窩郭清は「術後合併症(痛みや患肢浮腫など)のリスク」を負う事となります。
 厳に慎まなくてはなりません。
 
「その結果によっては術後放射線治療になる可能性もあるので、同時再建はおすすめできない、と言われました。」
⇒これも誤りです。
 「術中センチネルリンパ節転移陽性」の際には、再建を中止するとか「術前に話し合いをしておけば良いだけの話」です。
 最初から「適応外」とするのは誤りです。
 
「主治医の先生が乳がん認定医ではない若めな先生なのもなんだか気になってしまい」
⇒主治医のコメントを見る限り、「全ての診療に対して、完全に自分のものにしていない」ような印象です。
 また「センチネルリンパ節生検に自信がない」ようにも思えます。
 
「詳しい病理結果などは教えてもらえませんでした」
⇒病理レポートをもらうべきです。
 
「私への診断と主治医の治療方針(センチネル生検・郭清もほぼ行う予定、同時再建はすすめない)は妥当と考えられますか?」
⇒センチネルリンパ節生検は行うべきです。(針生検での非浸潤癌の診断は、最終病理で浸潤癌となる可能性があるからです。ただし広いからとか、狭いからなどは無関係です)
 郭清は「センチネルリンパ節生検の迅速病理診断の結果」で決めるべきです。
 最初から「郭清を行っておいた方が良い」などは言語道断です。(しかも、術前針生検で非浸潤癌の診断なのに)
 同時再建は「術中に、センチネルリンパ節生検の結果、転移陽性ならば中止する」とか取りきめておくべきです。
 (術前針生検で非浸潤癌の診断なのに)最初から諦めるべきではありません。
 ★いくつかの病院では「リンパ節転移陽性」でも「ティッシュエキスパンダー留置」はそのまま行い、「数カ月後、シリコンへ入れ替えてから」放射線治療を行っているようです。
 
「そこまでするほど悪い状態ではなかったのに全摘してリンパ節も失うはめになった!」
⇒その通りです。
 私が心配するのは、まさに「この点」なのです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

お忙しい中、迅速なご回答本当にありがとうございました。
センチネルリンパ節生検について必須であることに納得でき、またやはり主治医の言った「多めに取った方が…」という意見は誤りであると先生にご指摘いただけて、自分の中でモヤモヤしていたものがスッキリしました。
同時再建についても、最初からあきらめるべきではないと言っていただけて救われる思いがしました。
まだこの年齢で未婚なのもあり、「現時点では非浸潤と言われているのに、それではあまりにも失うものやリスクが多すぎるのではないか」ととても不安で悲しかったのです。
セカンドオピニオンを躊躇していましたが、やはりこのまま色々と主治医に対して不安な状態で手術に進んでは後悔しかねないので、検討してみようと思います。
こういった場で先生のご意見をいただけて本当に精神的に救われました。
ありがとうございました。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 正しい理解、正しい決断だと思います。
 「初期治療で躓くと、あとで間違いなく後悔します(間違った治療をされても気付かないまま、過ごしている方たちも大勢いそうですが…)」