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ルミナールAタイプの化学療法について

[管理番号:1105]
性別:女性
年齢:43歳
6月に乳癌と診断されて、現在術前化学療法中です。
色々なサイトで乳癌のことを調べている中で、こちらのページにたどりつき、相談させて頂きたく思いました。
宜しくお願い致します。
現在わかっている自分の状態です。
病期分類:Ⅱb
しこりの大きさ:2.5cmと1cm+細かい初期癌 それらが繋がっているような状態
リンパ転移:確認出来るものが3個
サブタイプ:ルミナールA
グレード:1
ホルモン感受性:陽性(エストロゲン95%、プロゲステロン100%)
HER2発現性:陰性(1+)
Ki-67:10%
今後の治療の予定としては、FEC療法3ヶ月→タキサン療法3ヶ月→手術→ホルモン療法となっています。
術前化学療法を受けることが決まったのは、マンモトーム生検を受ける前で、主治医の2回目の診察の時でした。
その時は癌告知で混乱していたのと、知識が無かったのもあり、深く考えずに受け入れて7月から治療がスタートしたのですが、その後サブタイプが判明し、色々調べるうちに、自分の癌に抗癌剤治療の効果があるのか疑問に思うようになりました。
私の癌は、まだら状に拡がっているそうで、温存療法にもっていける可能性は無いと言われています。
主治医が術前化学療法をすすめた理由としては、2つ。
1つは、6月の時点で、手術の空きが8月まで無く、何もしないよりは治療を早く始められるということ
2つ目は、抗癌剤の効きを判定しやすいということです。
リンパ転移はわかっているものが3つですが、もっと多い可能性もあるとのことで、抗癌剤治療を追加するかしないか、微妙なラインにあるのは理解しております。
ただ、こちらのQ&Aでの過去の質問や他の色々なサイトの情報を読んでいるうちに、ルミナールタイプの術前化学療法のリスクについて考えるようになり、先日の診察の時にタキサン療法を省略出来ないか、主治医に相談してみました。
主治医としては、リンパ転移がもっと多いかもしれないこともあり、FECの効果があっても無くてもタキサン療法もすすめたいとのことでした。その後エコーとCTの検査をして結果は今週末聞き、タキサン療法をどうするかは、その時相談することになっています。
私としては、タキサン療法は受けたくないと思っているのですが、その理由としては、アマチュアではありますが、日常的にギターを弾いており、副作用の痺れが出た場合、精神的なストレスに耐える自身がないからです。これは主治医にも伝えています。
FECの副作用は、吐き気は軽くてすんでおり、脱毛等のストレスも自分の中で解決出来ており、今週末4回目の点滴で終了となります
先生にご意見をお聞きしたいのは、今後、術前タキサン療法をやらない、又は、手術後にタキサン療法をやってからホルモン療法という私の希望が妥当なものであるのかどうかです。タキサン系をやらないことによって、FECの効果が半減するようなことがあるのかどうかも知りたいです。
お忙しいところ、申し訳ありませんが、ご意見頂けますようよろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 ルミナールAで術前化学療法をしているようですが、「FEC4回している間」に「毎回、超音波で評価」してもらっていますか?
 術前化学療法は「効果が無い時には、腫瘍を増大させ、場合によっては手術不能となる」リスクのある治療という認識が必要です。
 特にルミナールAでは要注意と言えます。(明らかに効果が落ちるのです)
 「抗癌剤の効きを判定しやすい」というのは(私が最も嫌う)「無責任」な考え方です。
 そもそも、「術前術後に適応がある薬剤はアンスラサイクリンまたはタキサン、或いは両方」と厳しく規定されています。「抗がん剤の効きを判定」してどうするつもりなのか? (別の薬剤への変更は保険適応上できません) 
 「効きが悪いから、辞めましょう」というのは「術前ならば当たり前(腫瘍が増大して手術不能となるから)」ですが、「術後補助療法として本当に正しいのでしょうか?」
★その薬剤を(術後に)やっておけば「防げたかもしれない微小転移があるかもしれない」のです。
 そもそも本来「小さくして温存」するための「術前化学療法」を『予後を改善させるために行う術後補助化学療法』と一緒にするから「誤りが起こる」のです。
 腫瘍が小さくならなくても、(その薬剤を術後に使用することで)「予後を改善させる可能性はある」のです。

回答

「リンパ転移はわかっているものが3つですが、もっと多い可能性もあるとのことで、抗癌剤治療を追加するかしないか、微妙なラインにあるのは理解しております」
⇒すでに、術前化学療法を開始しているので、「本当の評価」はできなくなっています。
 今更「抗がん剤の適応があるか?」などは評価困難であり、「当初の予定で行う」しかありません。
 
「主治医としては、リンパ転移がもっと多いかもしれないこともあり、FECの効果があっても無くてもタキサン療法もすすめたいとのことでした」
⇒何のための「術前化学療法」なのか?
 その理由であれば、「術後に、じっくりとタキサンを行う」べきです。
 敢えて「危険を冒してまで」術前に行う必然性がありません。
 
「今後、術前タキサン療法をやらない、又は、手術後にタキサン療法をやってからホルモン療法という私の希望が妥当なものであるのかどうかです。」
⇒「手術後にタキサン療法をやってからホルモン療法」とありますが、タキサンとホルモン療法は併用開始で何ら問題はありません(細かい事ですが、やたらと化学療法とホルモン療法を分ける医師が多いのが私には気になります)
 手術後にタキサンを行うべき(ホルモン療法併用)です。
 そうすれば、「腫瘍が増大しているか?など心配せずに」副作用を自分で見極めながら「タキサンを何回まで継続できそうか」(自分で)判断できます。
 
「タキサン系をやらないことによって、FECの効果が半減するようなことがあるのかどうかも知りたい」
⇒そんな事はありません。
 FECだけでも十分な効果があります。その後行うタキサンは「FECへの上乗せ」となります。
 但しFECx6とACx4が同等であり、AC=ECと考えられており、ECx4よりもTCx4の方が効果が高いことを考え合わせるとFEC4回だけで終了よりは、タキサンも(術後に)行っておきたいと(私なら)考えます。
 F:5Fu
 E:ファルモルビシン(アンスラサイクリン)
 C:エンドキサン
 A:アドリアマイシン(アンスラサイクリン)
 T:ドセタキセル(タキサン)
 
 

 

質問者様から 【感想2】

田澤先生、お忙しい中、迅速なご回答ありがとうございました。
田澤先生のご意見を参考に、もう一度自分の希望をまとめ、今週末の診察で主治医と
話し合ってみるつもりです。
超音波での評価は、最初はしておらず、こちらからお願いして、FEC3回目が終わった
後に初めて、超音波とCTの検査をしました。結果はまだ聞いていません。
癌がわかった直後は、私の勉強不足もあり、サブタイプが判明する前に抗癌剤治療を
受けることに同意してしまったのが、そもそもの間違いでした。
これからのことに、不安で一杯ではありますが、良く考えながら慎重に進んで行きた
いと思います。
今後、また迷いが出た時にご相談させて頂きたく思います。
貴重なアドバイスを頂き、感謝しております。
ありがとうございました。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

おはようございます。
以前に術前化学療法について質問させて頂いた者です。
ステージ2B、リンパ転移有、ルミナールAで、術前化学療法中です。
ドセタキセル残り1回で化学療法は終了し、来年1月7日が全摘手術予定となっています。
今の病院での治療の経緯から、今後の治療(手術、放射線、ホルモン療法)に不安があり、田澤先生のセカンドオピニオンをお聞きしたいと思っております。
(最短12/○ということで、既に予約済みです。)
手術予定日まで、少ししか日が無いのですが、可能であれば転院も考えています。
そこでお聞きしたいのですが、もし転院して今後の治療をお願いするとすると、手術まで
待ち時間や検査の日数を考えて、一番早くていつ頃の手術が可能でしょうか?
そもそも、術後にやるべき化学療法を、術前に受けてしまった私を治療途中から受け入れて頂くことは可能でしょうか?
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「もし転院して今後の治療をお願いするとすると、手術まで待ち時間や検査の日数を考えて、一番早くていつ頃の手術が可能でしょうか?」
⇒全般的に混雑はしていますが、有る程度の「緊急性や事情」などを考慮した「枠」はあります。
 秘書へご連絡ください。
 
「そもそも、術後にやるべき化学療法を、術前に受けてしまった私を治療途中から受け入れて頂くことは可能でしょうか?」
⇒「術後にやるべき化学療法」とありますが、術前化学療法の目的(小さくして温存)から外れているということですね。
 ただ「目的から外れている」としても、結果として「化学療法は術前でも術後でも効果は同じ」であり、かつ結果として(術前化学療法中に病勢進行などによる)「不利益が無かった」わけですから問題ありません。
○今からでも「妥当性のある治療」を希望されるなら転院してください。