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再発、ルミナールA、筋肉浸潤においての抗がん剤治療について

[管理番号:1192]
性別:女性
年齢:50歳
6年前に非浸潤がん(皮下乳腺全摘+同時再建インプラント)
無治療 経過観察中でした。
今年、6月 局所再発してしまいました。
生検での所見では、
R
VAB
Ca(+)3/4
Invasive carcinoma(+)
Scirrhous~Invasive cribriform
muscle invasion(+)
NA:2,MC:1=NG:1
Ki67:low(<10%)
7月に局所手術。病理の所見では
腫瘍の大きさは、10mm×5mmでInvasive ductal carcinomaの再発に矛盾しない浸潤癌。
筋肉に浸潤。剥離面陽性(#E,F,andG)
すぐに追加切除した結果、明かな癌組織はなしでした。
現在、放射線治療中(50グレイ照射予定)
オンコタイプスコア 12
ER+ スコア8.2
PR+ スコア7.8
HER2- スコア8.7
●筋肉に浸潤していた
●オンコタイプスコア 14 の中間リスクに近い低リスク
の2点から抗がん剤をやるべきか?(ハイリスクでしたら、TCと思っていました。)
中間リスクに近い低リスクなので、経口タイプ(TS-1かゼローダ)とも思います。
主治医は、放射線が終わったら、ホルモン治療だけで大丈夫と言っています。
本来なら再発しないはずの非浸潤癌からの再発、本当に無治療でよかったのか?
そんなことも過り、今回の治療について悩んでいます。
あと、2週間ぐらいで次の治療です。
ご意見を聞かせていただけると大変助かります。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「非浸潤癌で乳腺全摘」後の「局所再発」ですね。
乳房全摘後の「局所再発」であれば、(今回もそうですが)
手術時に「大胸筋膜表面に残っていた癌」が、大きくなっていく訳ですから、『大胸筋浸潤として局所再発するのが、典型的』です。
術後6年で「1cmの浸潤癌」であれば、『手術時に残っていた非浸潤癌が(時間をかけて)浸潤癌として大きくなった』と考えるのが妥当です。

回答

「筋肉に浸潤していた」
⇒これは「質問者の勘違い」です。
 乳房全摘後の「局所再発」であれば、「大胸筋に浸潤」するのが当たり前です。
 「進行して、大胸筋にまで浸潤した」という意味では全く有りません。
 
「本来なら再発しないはずの非浸潤癌からの再発、本当に無治療でよかったのか?」
⇒これも「質問者の勘違い」です。
 これはあくまでも「局所再発」であり、「乳房切除術後の局所再発」は『手術時に残っていた癌が(時間をかけて)大きくなった』わけです。
 つまり「浸潤癌とか非浸潤癌」とは関係の無い話です。
 「非浸潤癌が本来再発しない」というのは「局所再発ではなく、血行性(遠隔転移)もしくはリンパ行性(リンパ節転移)」の事です。
 ♯ 今回は「無治療で良かったか?」という問題ではなく、「局所療法としての手術が不完全だった」ということです。
 「全身療法の問題」ではありません。
 
「ご意見を聞かせていただけると大変助かります」
⇒これはただの「局所再発」です。
 担当医と同様の意見です。
 局所療法として「放射線照射の追加」
 全身療法としては「ホルモン療法で十分」と思います。
 
○純粋な「局所再発」(手術時に残っていた癌が増大)と(癌が全身を巡っての)「遠隔転移再発」を混同してはいけません。
 全く意味合いが異なるのです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

お忙しいところ、わかりやすく解説していただき、大変助かりました。
放射線治療後は、ホルモン療法一本で頑張っていこうと思えるようになりました!
実は、遠方のため、転院したばかりで、現在の主治医とは、まだ一回しかお会いして
いません。
今までの主治医からは、局所再発だけど
筋肉に浸潤ということを重きに捉え、まずは、TCからの提案でした。そして、経口タ
イプの抗がん剤も考えられますと。放射線治療も再建してるので、不安で迷いました
が、セカンドを受けたりしながら、放射線治療は必要と判断しました。今、思うと、
色々な治療方針を提案されて受け止められなくなっていたのかもしれません。少し風
呂敷を拡げすぎて悩んでいたようにも思えます。
そして、転院先では、抗がん剤はいらない。やる意味がないとのことであまり説明も
ありませんでした。半ば、経口タイプの抗がん剤ならやってみようかな?と思ってい
た矢先に、今度は不要ですとのこと。少し混乱してしまいました。そんな中、田嶋先
生のサイトが目にとまりました。
ありがとうございました!
前主治医は、あの時、抗がん剤をやっておけばよかったと思わないように、今回の浸
潤がんからもしかしたら散ってしまってるガンを根絶させるために、最強の予防とい
うことだったのでしょうか。このことをむしかえすとまた出口のないトンネルに入っ
てしまいそうなので、やめときます。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「局所再発だけど筋肉に浸潤ということを重きに捉え」
⇒「重きに捉え」とありますが、それは「誤り」です。
 乳房切除後の「局所再発」が「筋肉浸潤」するのは当たり前です。
 
 乳房切除術後の局所再発で「皮膚か筋肉に浸潤していない」状況は殆ど無いでしょう。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

お忙しいところ、ご返答大変恐縮です。
何度も同じようなことを聞いてしまっているようで
申し訳ございません!!
田澤先生にも今の主治医にも
ホルモン療法のみの治療をすすめられ、
お陰さまで私も納得して、ホルモン療法にいけそうです。
ありがとうございました。
先日、今までの病理結果等の書類を整理しておりましたところ、
再発時の病理に
Invasive carcinoma(+)
Scirrhous~Invasive cribriform
muscle invasion(+
の横に【硬癌~浸潤性微小乳頭癌】と明記されていました。
硬癌~浸潤性微小乳頭癌は、よくないタイプで抗がん剤適応なのでしょうか?
ルミナールAであれば、意識する必要はないでしょうか?
来週始めからホルモン療法です。
とても心配で再度メールさせていただきました。
また、私の回りには
非浸潤がん→局所再発(ルミナールA)※→遠隔転移(肝転移、肺転移)
浸潤癌(ルミナールA)※→遠隔転移(肝転移)
という方がいます。
2人の方の共通点は、浸潤癌と診断された段階※では
手術、放射線のみで抗がん剤をしていませんでした。
本当にわずかな可能性なのかもしれません。
そのたまたまをどう処理していいか、、、
どの治療でも100%はないんですよね。
年1のPET検査ともう片方のチェックはかかさずに
していこうと思います。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
いろいろと気になるのは仕方が無いことです。

回答

「硬癌~浸潤性微小乳頭癌は、よくないタイプで抗がん剤適応なのでしょうか?」
⇒全く無意味です。
 組織型で「治療方針を左右される」ことは無いのです。
 
「どの治療でも100%はないんですよね」
⇒その通りです。
 たとえ「10年無再発90%」という「好条件」でも「逆に言えば10%は再発」してい
るのです。
 予後の良い癌と言われている「乳癌」ですが、「100%はない」のです。