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薬の副作用と効き目

[管理番号:407]
性別:女性
年齢:43歳
初めまして。
1年前、乳がんで全摘手術を受けました。
ステージ1(浸潤径6mm)、ルミナールA、グレード2、Ki67 4%、だったので術後はノルバデックスとリュープリンのみの治療です。
ホルモン治療の副作用でホットフラッシュが多いと聞きますが、私は全くありません。
ホットフラッシュが強く出るほうが薬が効いているとの情報を知り、自分には効いていないのかと不安です。
薬の代謝能力?を調べる方法があるそうですが、調べるべきでしょうか?
主治医は副作用と薬の効き目に関係はないと思うと言っていますが・・・
田澤先生はどうお考えでしょうか?
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 pT1b(6mm), pN0, luminal A, にて「内分泌療法」中ということですね。
 それでは回答します。

回答

「主治医は副作用と薬の効き目に関係はないと思うと言っています」
⇒関係はありません。
 これは「化学療法の方にもあてはまることですが… 副作用が強い方が効果がある訳ではない事を、術前化学療法の患者さんで経験しています」
 副作用は「あくまでも、薬(この場合はノルバデックスやリュープリン)の副作用を起こす部位への作用」に過ぎません。
★薬の効果は「癌細胞の感受性」によるものであり、「luminal A」ということで、その点は保障されています。
 
◎pT1b(6mm), pN0, luminal Aというのは極めて「再発リスクが低く」私の経験でも「再発した症例を全く思い描けない位」です。
 心配する必要はありません。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

私の質問に迅速に丁寧に回答いただき、本当にありがとうございました。
心配しなくても良いとの事で安心しました。
ただ、過去のQ&Aを読んでいて、新たに心配になった事があり再度質問をさせていただきます。
1年前、1㎝程のしこりがあり、針生検で非浸潤性乳癌と診断されました。主治医は「小さいし非浸潤だから」と温存を勧めましたが全摘を希望しました。乳頭乳輪を残す方法もあると言われた為、乳頭乳輪温存皮下乳腺全摘術を受けました。(再建はしてない)
でも術後の病理結果で浸潤6mmが見つかりました。
浸潤癌にはこの術式は適応にならないと後で知り、主治医に乳頭切除をお願いしましたが、必要ないと言われ、せめて放射線をと相談しましたが、意味がないと言われ結局そのままホルモン治療のみです。
過去の先生の回答を読むと、乳頭部分の乳腺(放射線治療なし)、針生検後の皮膚を残す事はそれなりのリスクがあるとの事で、やはり残すべきでは無かったと後悔しています。
幸い再発転移なく先日1年を迎えましたが、今後乳頭や皮膚から再発する可能性は高いのでしょうか?
また再発した場合はすぐにわかるのでしょうか?
脂肪が少ない痩せ型の為、再発したら肋骨や胸壁に浸潤するのでしょうか?再切除するべきでしょうか?
グレード2なので不安です。
お忙しい所、何度も質問してすみません。
よろしくお願いいたします。
病理結果 ER70%、PgR80%、HAR2 1+、乳管内進展1㎝のうち浸潤径6mm、グレード2、リンパ転移なし、脈管侵襲なし
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 前回の記載では「全摘手術」との事でしたので「通常の乳房切除」を想像していましたが、「乳頭乳輪温存乳房切除」だったという事ですね。
 それでは回答します。

回答

「浸潤癌にはこの術式は適応にならないと後で知り」
⇒それは誤解です。
 「早期乳癌である事」と「腫瘍が乳頭から離れている事」が適応条件です。(浸潤癌でも十分適応あります)
 質問者の「1cmのしこり」の位置が「乳頭から十分離れていた」から「この手術をしている」筈です。
 なので、 質問者の場合には「十分に適応」があります。
 
「主治医に乳頭切除をお願いしましたが、必要ないと言われ、せめて放射線をと相談しましたが、意味がないと言われ結局そのままホルモン治療のみです」
⇒結局「手術前と異なる事」は「6mmの浸潤」だけです。
 『6mmの浸潤が見つかった』だけでは「乳頭切除や放射線照射は必要ない」と主治医が考えても無理は無いでしょう。
 
「今後乳頭や皮膚から再発する可能性は高いのでしょうか?」
⇒「乳頭乳輪温存乳房切除」の長期データは乏しいのですが、「腫瘍が乳頭から十分離れていれば」乳頭からの再発はまず無いでしょう。「皮膚からの再発も同様」です。
 現実には、ほとんどの患者さんが「質問者よりも不利(浸潤径が1cm以上)な条件であるのにかかわらず」この術式を選択しています。
 ★もし質問者のケースで再発の可能性が高いようなら『乳頭乳輪温存乳房切除の適応となるケースがあまりにも少なくなって、術式として成立しない』事になるでしょう。
 
「再発した場合はすぐにわかるのでしょうか?」
⇒乳頭や皮膚は表面にあるので「すぐに解ります」心配ありません。
 
「脂肪が少ない痩せ型の為、再発したら肋骨や胸壁に浸潤するのでしょうか?」
⇒その前に筋肉(乳頭乳輪なら、大胸筋、 針生検部位が十分外側なら、前鋸筋)に浸潤するでしょう。
 
「再切除するべきでしょうか?」
⇒(繰り返しになりますが)質問者のケースで「再切除すべき」としてしまうと、「乳頭乳輪温存乳房切除術の適応は誰もいなくなってしまう」でしょう。
 状況からすると、「再切除は不要」と思います。
 ただ、「どうしても気になる、より完璧を目指したい」のであれば、「乳頭乳輪部及び針生検部の皮膚を切除する事」を再度担当医に要求してもいいと思います。(簡単な手術です)