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抗がん剤の必要性

[管理番号:618]
性別:女性
年齢:45歳
初めまして、宜しくお願いします。
自分でしこりに気づき、4月中旬から検査が始まりました。
結果、トリプルネガティブでMIB-1(Ki-67)陽性率は50-60%
①右C領域 乳頭から10時方向 乳頭からの距離68mmの部位に 不整形、境高高エコー帯を持つ 10.6×11.7×10.0mm低エコー腫瘤あり。 内部に大胸筋にはおよんでいない。
②上記SOL ①と乳頭を結ぶライン上、①との距離14mmの部位に サイズ4.0×2.9×3.3mm低エコー腫瘤あり。娘腫瘤の疑い。
腋の所、右側に10mm弱のリンパ門のある楕円形のリンパ節数個。
胸骨傍、鎖骨下、鎖骨上にリンパ節腫大なし。
との結果でリンパの所に針を刺して調べて、リンパ転移なし、ステージ1という結果がでました。
手術をして術中のリンパ検査で転移が認められなければ、化学療法はやらない人もいる。
或は術前化学療法をして抗がん剤の効き目を確かめる方法もある。
という風に説明を受け、主人は目に見えないがん細胞を叩いてしまったほうがいいという事で術前化学療法を選び、1回目を受けました。今週末に2回目を予定しています。
EC療法3週毎×4回とタキサン系毎週×12回 その後手術 →放射線治療  との事です。
近所に住む寝たきりの親の介護もあり、私自身が長年パニック障害を患っており、何もかもが不安でいっぱいです。抗がん剤によってパニック発作は増えないか等々。
現在、主人には通院のたびに有休をとって一緒に病院に付き添ってもらっています。
(パニック発作が不安で一人で病院に行けない為)
今回教えて頂きたいのは このタキサン系の抗がん剤について 今の段階でやらなくても良いか、 行った場合とやらなかった場合の転移・再発率のパーセンテージ。
タキサン系の副作用の末梢神経障害がものすごく不安で、この末梢神経障害が後遺症として残るパーセンテージを教えて頂きたい。
(知人で、つい最近治療を終えられた方がいて、包丁が持てない、本がめくれない、家事はできない、歩くのにスポンジの上を歩いているような感覚、という様な事を伺ったのでものすごく心配です。 タキサン系の抗がん剤は終わって1年近く経ってる今でも完全に感覚が戻っていないようで。)
更に、残り3回のEC療法は行うべきか。
EC療法もあと3回でも精神的にキツイ気がして、そして更にタキサン系12回 は精神的にもつかなと
乳がんの診断をされたけど、気持ちが未だについていけずにまいっています。
どうぞよろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 cT1c(11mm), cN0, triple negativeで術前化学療法中を開始したところですね。
 腫瘍径からすると(最初から温存可能なので)、私ならば「手術先行」を勧めるところですが…

回答

「このタキサン系の抗がん剤について 今の段階でやらなくても良いか、 行った場合とやらなかった場合の転移・再発率のパーセンテージ」
⇒アンスラサイクリンのみの場合とアンスラタキサン併用の場合との「再発率の差」はAdjuvant!Onlineだと3.4%となります。
 因みにアンスラのみ:8.9%再発リスクを減らす
 アンスラタキサン併用:12.3%再発リスクを減らす
 
「タキサン系の副作用の末梢神経障害がものすごく不安で、この末梢神経障害が後遺症として残るパーセンテージ」
⇒報告を記載すると
・Weekly PTX(12回)程度で 末梢神経障害の頻度
→NCCTG N9831試験 GroupAにおいて
感覚性神経障害:13.4% 運動性神経障害:3%の発現率
また別の報告では
EC→weeky PTX±Trastuzumabを施行の51例中
感覚性神経障害65%、運動性神経障害10%それぞれ発現。
感覚性神経障害の遷延は化療後1年で73%、2年で65%に認められた。
運動性神経障害の遷延はなし。
 
「更に、残り3回のEC療法は行うべきか」
⇒先に挙げたAdjuvant!Onlineによると、「全く化学療法をしない場合の再発率は26.9%」となります。
 これに「アンスラのみ」行うと18%となり
 「アンスラタキサン併用」にすると14.6%となります。
 最終的には、これらのデータから「ご本人が決断」するべきものです。
 
 

 

質問者様から 【質問2 タキサン系抗がん剤の必要性】

田澤先生、早々にご回答いただき有難うございました。感謝申し上げます。
化学療法を行った時と行わなかった時のパーセンテージがもっと劇的に違うかと思っていました。
この数字は専門家から見たら大きいのですか?
EC療法を1回か2回でやめたとして、「中途半端に行うのなら初めからやらない方がよかったのに」 という事にはなりますか?
また、田澤先生でしたら私の場合、どのように治療を勧められますか?
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 化学療法の効果は10%前後ですね。
 これが「リンパ節転移」となると20%を超えてきます。

回答

「この数字は専門家から見たら大きいのですか?」
⇒10%前後では「必ずしも大きい」とは思いません。
 早期の場合には「化学療法の恩恵も小さい」のです。
 
『EC療法を1回か2回でやめたとして、「中途半端に行うのなら初めからやらない方がよかったのに」 という事にはなりますか?』
⇒そんな事はありません。
 おそらく「薬剤量の分」だけ、効果はあるでしょう。
 
「田澤先生でしたら私の場合、どのように治療を勧められますか?」
⇒私であれば、『術前化学療法の必要は無い』ので、
 手術を行い、「その結果で再度、ECの残り」を行うか?を相談します。
 「痺れ」を考えると「タキサンの上乗せは不要」でしょう。
 
 

 

質問者様から 【質問3 タキサン系抗がん剤の必要性】

田澤先生、毎回迅速なご回答を有難うございます。
EC療法2回目は保留にし行いませんでした。
予定日の2~3日前から「蚊取り線香のけむりを吸い込んでいるような臭い感と、胸が喘息の手前の様な変な違和感や少しのからっ咳」があって気になったからです。
こういう様な臭い感 というのは臭覚障害の一つでしょうか?
抗がん剤を続けるかは今週末にもう一度主治医と相談をしてこようと思っています。
どちらにしても手術を行わなければならないのであれば先に手術をと思えてきました。
出掛けられないのが最大の問題にも改めて感じました。(セカンドオピニオンで田澤先生の受診ができたらどんなに良かったかと。)
手術先行で術中検査においてリンパ節に転移がなければ化学療法をしない方向でと思えてきました。そのかわり、パニック障害の治療を重視しようかと。
ただ、他の方のQ&Aを読まさせていただいて、今後について少し考えてしまいました。
お忙しいとは思いますが何点か質問をさせてください。
田澤先生は「目に見えない癌に対して予防のため」に抗がん剤は勧められますか?
トリプルネガティブの場合、「再発してしまった後に確実に有効と安心できる治療がない」
とありましたが、今化学療法を行わなければ再発・転移の時点でアンスラタキサンを行ない、効果を望めるという事はありませんか?
それとも再発・転移に対してもっと緊張感をもたないといけないですか?
田澤先生の経験上、今の私のデータからリンパ節転移の有無に関してはありそうですか?
放射線治療に対して副作用を教えていただけませんか?
(晩期障害では「心毒性、肋骨骨折」などという文を見つけましたが 将来的に心毒性があるのですか)
質問が前回と重複してしまうかもしれませんが、もう一度質問させてください。
私のデータが出た時点で、田澤先生でしたらどのような治療計画を立てられますか?
色々と申し訳ありませんが、どうぞ宜しくお願いします。
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 cT1c(11mm), cN0, triple negativeで術前化学療法中(ECを1回終了後)でしたね。

回答

「こういう様な臭い感 というのは臭覚障害の一つでしょうか?」
⇒そうだと思います。
 
「田澤先生は「目に見えない癌に対して予防のため」に抗がん剤は勧められますか?」
⇒この手の表現は「良く使われる」ものであり、時に大変都合良く使われます。
 
 まるで「乳癌では、すでに全身に癌細胞が巡っている」それをまずは叩きましょう!みたいに「術前化学療法を勧める」根拠とする医師も数多いです。
 ○この表現はとても誤解を招き易く、「乳癌は一生治らない」とか「術前化学療法を行ったけど完全寛解とならなかったから必ず再発する」などの「極端な悲観論」に繋がっているようです。
 事実を以下に示します。(術後の状態として)
 ①(治療をしなくても)再発しない群
 ②(治療をすることで)再発を免れる群
 ③(治療をしても)結局再発する群
 参考のために、質問者の状況でこれらがどの程度の割合になるのかと言えば
 ①が71%
 ②が12%
 ③が15%
となります。
 何が言いたいかと言えば…
 そもそも、『目に見えない癌など最初から存在しない人が71%いる』という事実です。
 
 「目に見えない癌が存在している」人はそもそも27%にすぎません。
 その内で「目に見えない癌に対しての抗がん剤をすることで予防になる人は「全体で12%」となります。
 「目に見えない癌が存在しているけど、抗がん剤は無効となる人」が15%となります。
 
○「目に見えない癌に対しての予防のため」というと、「必ず癌が体中に存在している」という誤解を与えますので、
 『(このまま無治療では27%の再発リスクがありますが)それを15%に減らすために、抗がん剤を勧めますか?』となります。
 ⇒勧めます。
 但し、12%は「劇的に高い数値」では無いので「ご本人の副作用に対する懸念」と「天瓶にかける」こととなるでしょう。
 
「今化学療法を行わなければ再発・転移の時点でアンスラタキサンを行ない、効果を望めるという事はありませんか?」
⇒残念ながら、(術前にしろ、術後にしろ)「予防投与として用いる場合」と「再発治療として用いる場合」では効果が全く異なります。
 
 何故なら「相手の大きさが全く異なる」からです。
 「再発してから用いても」ある程度の効果はあるとは思いますが、「効果は限定的であり、通常根治までは望めない」のです。
 それに対して「術前or術後」行う場合には(無治療ならば再発するケースで)「12/27=44%もの高率」で根治を生み出しているのです。
 ○「術前術後に用いた場合」と「再発してから用いた場合」では圧倒的な根治度の差(44% vs 0%)が生じています。
 
「それとも再発・転移に対してもっと緊張感をもたないといけないですか?」
⇒化学療法の効果は「転移再発後」には限定的であることは上記で示した通りです。
 
 つまり「どうせ化学療法をするなら」 術前or術後がいいのです。
 
「田澤先生の経験上、今の私のデータからリンパ節転移の有無に関してはありそうですか?」
⇒「腋窩細胞診をして陰性」だった筈ですから、「リンパ節転移はありません」
 
「放射線治療に対して副作用を教えていただけませんか?」
⇒「放射線皮膚炎」が主たるものです。時に放射線宿酔もあります。
 
 あとは「放射線肺臓炎」には照射後3,4カ月~6カ月後などに注意が必要です。
 晩期障害はご指摘の通り「心毒性、肋骨骨折」であり、将来的に問題となります。
 
「私のデータが出た時点で、田澤先生でしたらどのような治療計画を立てられますか?」
⇒手術先行⇒化学療法EC(質問者の場合には痺れの問題でDTXはやりません)⇒温存乳房照射
 
 

 

質問者様から 【質問4 タキサン系抗がん剤の必要性】

田澤先生 毎回迅速かつ丁寧なご回答をくださいまして本当にありがとうございます。
先週は代診の先生でしたので、先日主治医に 自分自身のメンタル面・家庭の状況等の為、主人が休みをとりやすい夏休み期間を利用して手術を行ってしまいたい旨お話してきました。
「ガイドラインに沿ってEC療法を始めたのにそこからそれていく・・・・」と不機嫌な様子になってしまったので何も質問をできずに帰ってきました。
なので申し訳ありませんが教えて頂きたいのですが宜しくお願いします。
話の後にエコー検査を しました。  EC療法1回目の前は
①右C領域 10.6×11.7×10.0mm ①と乳頭を結ぶライン上娘腫瘤の疑い 4.0×2.9×3.3mm で、
この数値が 9.3×7.7×5.4mm   娘腫瘤の疑い 3.1×2.3mm 境界不明瞭
との数値でした。  コメント欄には 右腋窩にリンパ門がはっきりしないリンパ節5mmを認めるとありました。
1回目のEC療法から4週後、効果としてこの数値はいい方ですか?
「境界不明瞭」とありますがどういう事でしょうか、心配することはありませんか?
「リンパ門がはっきりしないリンパ節5mm」というのはリンパに転移のことでしょうか?
6月中旬に1回目の化学療法を行って以来そのままなのですが、8月上旬に手術だと進んでしまいますか?
1度化学療法を行ったことで期間をあけてしまうと、かえってがん細胞の増殖力が強まってしまうという事はありますか?
血管痛についてですが、1週間後からはじまり未だに治りません。更に物を持とうとすると最近は腕まで痛くなってきました。
血管痛とはこういうものなのでしょうか?
長いと治るまでにどのくらいかかりますか?
癌が右側で腕は右利きですが、術後 腕や指先の動きは今と変わらずに大丈夫でしょうか?
心配な事ばかりで色々質問をしてしまいますが、どうぞ宜しくお願いします。
 

田澤先生から 【回答4】

 こんにちは。田澤です。
 EC療法を術前に行って、2回目を保留にしていっと思います。

回答

「1回目のEC療法から4週後、効果としてこの数値はいい方ですか?」
⇒あまり効果ははっきりしていないようですが、1回目としてはこんなものでしょう。
 通常、術前抗がん剤は2回目の後くらいから「数値として」でます。
 
『「境界不明瞭」とありますがどういう事でしょうか、心配することはありませんか?」』
⇒心配ありません。
 もともと「癌」は境界不明瞭です。
 抗がん剤の効果で「解りにくくなってきた」という可能性もあります。
 
『「リンパ門がはっきりしないリンパ節5mm」というのはリンパに転移のことでしょうか?』
⇒違います。
 
 もともと「リンパ門がはっきりしないリンパ節」だったので細胞診をしている訳ですが、すでに 細胞診で「リンパ節転移転移は無い」事はすでにわかっています。
 気にする必要はありません。
 
「6月中旬に1回目の化学療法を行って以来そのままなのですが、8月上旬に手術だと進んでしまいますか?」
⇒もともと、抗がん剤をすると、その後手術まで1か月空けますので、「8月上旬であれば」全く問題ありません。
 
「1度化学療法を行ったことで期間をあけてしまうと、かえってがん細胞の増殖力が強まってしまうという事はありますか?」
⇒全くありません。
 
「血管痛とはこういうものなのでしょうか?長いと治るまでにどのくらいかかりますか?」
⇒血管痛の典型的症状です。
 治るのに半年以上かかる場合もあります。(質問者の場合は1回だけなので、それほどはかからないと思いますが…)
 
「癌が右側で腕は右利きですが、術後 腕や指先の動きは今と変わらずに大丈夫でしょうか?」
⇒手術による運動障害はありません。
 大丈夫です。
 
 

 

質問者様から 【質問5 タキサン系抗がん剤の必要性】

田澤先生、お忙しい中お世話になっております、有難うございます。
そして、他の方のQ&Aも大変に勉強させていただいています。
手術を1週間後に控えていますが、気になることがあるので教えて頂ければ幸いです。
腫瘍(しこり)についてですが、体を起こした状態では触り心地がだいぶ小さくなった感じなのですが、横になって触ると、ベターッと広がったというか、そら豆がくっついている様な触り心地です。
これは、がん細胞が形を変えて大きくなっているという事でしょうか?
時々腫瘍部分がヅキヅキと痛むような感じがしたり、乳房内の腫瘍でない部分がヅキヅキしたりする時があります。
癌細胞が広がってしまっているのか心配になってしまいました。
どういった事が考えられるのか教えて頂きたいのですが。
それと、よく腫瘍径という文字を目にしますが、腫瘍の大きさとはまた違うものですか。
どうか宜しくお願いします。
 

田澤先生から 【回答5】

 こんにちは。田澤です。
 術前化学療法としてECを1回行い、「手術予定」ですね。

回答

「体を起こした状態では触り心地がだいぶ小さくなった感じなのですが、横になって触ると、ベターッと広がったというか、そら豆がくっついている様な触り心地」
⇒抗がん剤の効果で(崩れて)小さくなっていると思います。
 
「これは、がん細胞が形を変えて大きくなっているという事でしょうか?」
⇒違うと思います。
 
「腫瘍部分がヅキヅキと痛むような感じがしたり、乳房内の腫瘍でない部分がヅキヅキしたりする時があります。」
⇒乳房痛の原因を特定する事は困難です。
 腫瘍自体が「抗がん剤の影響」で痛むこともありますし、正常乳腺が「女性ホルモンの影響」で痛む事もあります。
 
「腫瘍径という文字を目にしますが、腫瘍の大きさとはまた違うものですか」
⇒「腫瘍の大きさ」というと、通常「画像所見での」腫瘍の大きさをいいますが、
 「腫瘍径」というと、一般的に「顕微鏡学的に、浸潤している範囲=最大浸潤径」のことをさします。
 
 

 

質問者様から 【質問6 タキサン系抗がん剤の必要性】

田澤先生こんにちは。
お忙しいところ申し訳ございませんが、再度質問をさせてください。
6月のEC1回後に8月上旬に手術先行に変更し、無事に終わり病理結果をもらいました。
(もともとは 1.2×0.8×1.0㎝の不整形腫瘤、EC療法1回)
5.2×5.1×2.9㎝大の部分切除検体が提出。
肉眼的に 0.8㎝×0.6×0.5㎝大の白色調充実性腫瘤がみられた。 組織学的に腫瘤には、クロマチンの増量した腫大核を有するN/C比の高い多角形腫瘍細胞が、繊維性間質の増生を伴い、充実胞巣状、索状、小胞巣状に浸潤増殖する像がみられる。 一部の癌巣中心部に壊死を伴い、癌巣周囲のリンパ球浸潤がやや目立つ。 浸潤性乳管癌の像で、硬癌を混じた充実腺管癌の像と考える。 腫瘍細胞の核異型スコアは2点、 核分裂像スコア3点で核グレードはGrade3相当である。 癌細胞の乳腺周囲脂肪織への浸潤が認められるが、 リンパ管・静脈浸潤、乳管内進展は明らかでない。 切除断端への腫瘍細胞の露出は認められない。 化学療法によると思われる変化は明らかでなく、治療効果はGrade0と考える。
という病理結果でした。
「癌巣周囲のリンパ球浸潤がやや目立つ」ことや
「核グレードはGrade3」
トリプルネガティブであること 等から化学療法を強く勧められました。
「娘腫瘤の疑い」に関しては、良性だったのかも・・・・と。
 
「化学療法によると思われる変化は明らかでなく、治療効果はGrade0と考える」については1回しか行っていないから0 と出たのかも・・・・との事・
センチネルリンパ節生検は 0/3
質問ですが。
「組織学的に腫瘤には、クロマチンの増量した腫大核を有するN/C比の高い多角形腫瘍細胞が、繊維性間質の増生を伴い、充実胞巣状、索状、小胞巣状に浸潤増殖する像がみられる」
というのは結構増殖力の強いものですか?
「癌巣周囲のリンパ球浸潤がやや目立つ」 となると再発・転移の可能性も高くなりますか?
私は先日教えて頂いた パーセンテージを参考に、リンパなどの転移がなければ放射線治療は行い、「化学療法はしなくても再発・転移しない群 70%」にかけてみようと思っていました。
もし今回化学療法を行うとしてもタキサン系はやらない考えでいます。
以前いただいたパーセンテージは、この病理結果でも変わることはありませんか?
補助化学療法は術後遅くてもいつ頃までに始めるものですか?
先に放射線治療を行ってはいけないのですか?
(ガイドラインによる標準治療については理解してるつもりですが、諸事情があるので)
 長くなってしまいましたが、どうか宜しくお願いします。
 
 

田澤先生から 【回答6】

 こんにちは。田澤です。
 無事に手術が終了して何よりです。
 ypT1b(8mm), ypN0 十分な早期です。

回答

「結構増殖力の強いものですか?」
⇒癌の表現としては全く普通です。
 
『「癌巣周囲のリンパ球浸潤がやや目立つ」 となると再発・転移の可能性も高くなりますか?』
⇒これも全く関係ありません。
 特に珍しいものではありません。
 
「以前いただいたパーセンテージは、この病理結果でも変わることはありませんか?」
⇒変わりません。
 化学療法は「術前に行っても、術後に行っても同じ」なのです。
 
「補助化学療法は術後遅くてもいつ頃までに始めるものですか?」
⇒これも良く効かれますが、特に決まりはありません。
 
 半年が目安でしょう。
 
「先に放射線治療を行ってはいけないのですか?」
⇒大丈夫です。
 確かに「ガイドライン的には化学療法先行」ですが…
 やはり「化学療法するかを迷っている」患者さんには、時に放射線照射中に「考える時間」を設けます。
 
 

 

質問者様から 【質問7】

田澤先生すみません。
質問を追加させてください。
一般的に今後の経過観察はどういう間隔で行うのですか?
5年・10年生存率と何年くらい経てば、まずは一安心できるのですか?
今まで診察されてきた中で、一番遅くに再発・転移が見つかった方で何年後の方がいらっしゃいましたか?
すみません宜しくお願いします。
 

田澤先生から 【回答7】

 こんにちは。田澤です。
「一般的に今後の経過観察はどういう間隔で行うのですか?」
⇒これは「その医師により」かなりバリエーションがあります。
 私が行っている例では
・3カ月に1回の診察、超音波、採血マーカー
・1年に1回のマンモグラフィー
 
「5年・10年生存率と何年くらい経てば、まずは一安心できるのですか?」
⇒10年生存率は90%くらいです。
 10年経つと、一安心です。
 その後の再発は「全体からみれば微々たるもの」です。
 
「今まで診察されてきた中で、一番遅くに再発・転移が見つかった方で何年後の方がいらっしゃいましたか?」
⇒20年位です。
 ただ「極端に頻度が少ない」ことに注意が必要です。
 
 

 

質問者様から 【質問8 転移】

性別:女性
年齢:47歳
田澤先生 お忙しいところ質問させてください、宜しくお願いします。
先週、血行性の転移が見つかりました。
腫瘍マーカーは骨の値が6.3以外正常値です。
ステージ1の告知から4月で3年目を迎えます。
両肺には大小様々な結節が多発している。
胸水はない。
心嚢水はない。
肝臓の6Sには直径5mm程度の淡い低吸収結節がみられるが、転移巣の可能性もある。
撮影範囲内の骨に異常はない。
との造影CT検査結果が出ました。
昨年10月末に高熱が出て、出血が半端ではなく貧血がもの凄かったので子宮筋腫を見る為に造影CTを行った時の所見には、肝臓に関しては「問題ない」と書かれていましたので、進行が早めなのかが気になっています。
父の介護度5の介護もあり、膀胱瘻を増設していて慢性膀胱炎の為、血管も取れにくくなっているので、補液の為にCVポートをつけるかとの話話もあり、その場合自分で父のところに通って点滴をつないだりという事もこの先行っていく事になるかと思っています。
質問ですが、エレベーターのないマンションに住んでいる事と、この先父の点滴の事、楽器を弾くのが趣味な事(この先弾けなくなっても生きがいもない)があるので、手足・目などにできる限り影響のない抗がん剤を希望したいのです。
(3年ほど前にトリプルポジティブで再発予防の抗がん剤をされた知人、今でも痺れが残っているとの事)
ドセタキセルとゼロータとTS-1のパンフレットが渡されました。
この3つの中ではどの抗がん剤が手足・目に副作用が少ないですか?
さすがに転移ともなると今更ですが抗がん剤治療をしなければと考えました。
温存手術後からの食生活と運動不足には後悔しています。
血糖値がずっと高めでした。
いきなりステージ4の告知はかなりつらいものがありましたが、今後は適度なウォーキングと食生活(先週からチョコレートやケーキ等甘い物はやめました)に気をつけながら生き延びていきたいです。
根治は100%ないですか?
がんとの共存という文字をよく見かけますが、この先どんな風な状態での生活が待っているのですか?
一番怖い言葉ですが、余命は?
今年の3月から何とか癌患者に対しての「光免疫細胞療法?」の治験が始始まるというのを先日テレビで見ましたが、2~3年後にはその治療法のの承認がおりて、私の様な転移した患者にも適用になりそうですか?
すみませんが宜しくお願いします。
 

田澤先生から 【回答8】

こんにちは。田澤です。
肺転移とのことですね。(肝の5mmは評価は無理です)
お気持ち、お察しします。
「ドセタキセルとゼロータとTS-1のパンフレットが渡されました。」「この3つの中ではどの抗がん剤が手足・目に副作用が少ないですか?」
⇒副作用についてのお気持ちは解りますが…
 「優先順位」を考えれば、まずは「効果を狙うべき」と思います。
 「ゼローダやTS-1」など経口抗がん剤を再発の第1選択に使う考えは私にはありません。
 ○効果と副作用のバランスを考えれば
  Bevacizumab + paclitaxelもしくはeriblinがいいと(私は)思います。
「根治は100%ないですか?」
⇒遠隔転移での10年生存率は5%程度と言われています。
 
 最初から「根治を狙う」という考えではなく、「寛解を維持する」⇒その先に(もしかすると)「根治があるかもしれない」と考えましょう。
「がんとの共存という文字をよく見かけますが、この先どんな風な状態での生活が待っているのですか?」
⇒やり方次第という面があります。
 「きちんとした効果のある治療」を行い、「寛解状態」を得た上で、それを「維持する」であれば、「身体が元気な状態での生活」をおくることができるとは思います。
「一番怖い言葉ですが、余命は?」
⇒それは全く解りません。
「今年の3月から何とか癌患者に対しての「光免疫細胞療法?」の治験が始始まるというのを先日テレビで見ましたが、2~3年後にはその治療法のの承認がおりて、私の様な転移した患者にも適用になりそうですか?」
⇒免疫療法が標準療法となるとは(現時点では)考えにくいです。
 
 

 

質問者様から 【質問9 転移】

性別:女性
年齢:47歳
田澤先生 おはようございます。
いつもお忙しい中有難うございます。
申し訳ございませんが質問をさせてください。
今年1月定期検査で肺転移が見つかり治療が始まりました。
結局、ドセタキセル3週に1回の治療が始まり、今日で2回目終了1週間後となります。
薬が効いている間はこの薬でという事でしたが副作用が凄くて先行き不安になりました。
1回目投与の時は、極度の便秘・下痢・尿意が2週間なし、38.4度の発熱1週間、口内炎・両足が痛くて4日間不眠・倦怠感等々で2回目は
は減量投与してくれましたが、気持ち悪さ・口内炎・倦怠感・少し動くと心臓がバクバク・日中横になる時間も増え、少し動いても食べ物を食べても体が締め付けられる感じで苦しいし、目が見えにくくなったのと耳が高音の聴こえが少し違うのと、2回目投与時頃から手先のしびれが始まってしまいました。
転移の告知の時から食事をかなり気を付け、お菓子類は全部やめ、野菜をなるべく摂るようにしましたが、2回目投与の血液検査の結果でもともと高めでHbA1c7.2位だったのが8.0まで上がっていてびっくりしました。
これは投与時の吐き気止めと投与後のデカドロン3日分が影響しているのですかしているのですか?
この先長い治療になるのに、1回目2回目からここまで副作用が凄いのと、もう痺れがでてきてしまった事と、このペースだと体の調子が良い時時がないまま次の投与になり、ただ1日をどうにか過ごしているという状態状態で、「なるべく副作用が出ないように生活の質を落とさないように長長い期間薬と付き合う」という最初の話とはほど遠く、再発治療も皆さんこんな大変なご苦労をされているのでしょうか。
何回か行った後、検査で薬の効きを評価するとの事でしたが、だいたい何回終わった頃に検査をするのですか?
もしも画像上寛解?となった場合、薬は休むのですかそれとも続けるのですか? 
そして再度画像にでてきてしまった場合は同じ薬を投与するのですか?
田澤先生でしたら私の様な場合、どのような治療をされますか?
(体重はこの1か月半弱で8~9㎏落ちました。
炭水化物も減らしています)
すみませんが宜しくお願いします。
 

田澤先生から 【回答9】

こんにちは。田澤です。
「再発治療も皆さんこんな大変なご苦労をされているのでしょうか。」
⇒前回、回答したように…
 Bevacizumab + paclitaxelもしくは、eriblinであれば話は全く違います。
「だいたい何回終わった頃に検査をするのですか?」
⇒化学療法中は採血をするので、其のマーカーの動きを参考にします。
 マーカーが安定していれば画像診断(CTなど)は「半年」が目安です。
「もしも画像上寛解?となった場合、薬は休むのですかそれとも続けるのですか?」
⇒ある程度継続(それは患者さんの有害事象の程度によります)した上で、(その抗癌剤は休止して)維持に入ります。(完全に休薬もしくは傾口抗癌剤などに)
「そして再度画像にでてきてしまった場合は同じ薬を投与するのですか?」
⇒「効いている状態で休薬」なら…
 そうなります。
「田澤先生でしたら私の様な場合、どのような治療をされますか?」
⇒前回の回答をコピペします。
 『○効果と副作用のバランスを考えれば
  Bevacizumab + paclitaxelもしくはeriblinがいいと(私は)思います。』