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抗がん剤治療中の転移

[管理番号:964]
性別:女性
年齢:38歳
 
 

質問者様の別の質問

質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。
質問者様の別の質問は下記をクリックしてください。
管理番号:994「遠隔転移に対する局所療法」

 
 
はじめまして。
宜しくお願いします。
昨年12月乳がん発覚。
細胞診検査の結果
右乳房に2.2cmの腫瘍
Ki67 65%
HER2 陰性
ホルモン受容体 陽性
グレード3
骨・多臓器に転移なし
主治医からは抗がん剤治療は術前・術後どちらでもいいと言われたので、術前を選択しました。1月から約半年(FEC×2回、AC×2回(好中球減少の為、FEC→ACへ変更)、ドセタキセル×4回)体調を崩した事もあり順調とはいきませんでしたが、7月中旬に8回目の抗がん剤治療を終えました。
先日、手術前の検査で肝臓と骨に転移の疑いがあり、再度、肝臓MRIと骨シンチをしました。骨転移はありませんでしたが、肝臓に1.5cmの腫瘍が見つかりました。
正直、抗がん剤治療中に転移する事があるのかと信じられませんでしたが、主治医から可能性はゼロではないと言われました。転移があるのであれば、手術は中止してホルモン治療で維持していきましょうという事でした。その後、全身PET-CTを行った結果、肝臓に集積は見られず、骨・肝臓ともに転移なしという診断結果が出ました。
主治医の話では、これが悪性の腫瘍か血管腫か判断が出来ず、肝生検は腫瘍の場所が血管の近くで腫瘍の大きさもまだそれほど大きくはないので難しいとの事でした。
結果、予定通り乳房全摘出手術を行い、肝臓の腫瘍は経過観察でという事になりました。
最後の抗がん剤からすでに1カ月経過していて、何もしていない状況に不安を感じ、2週間前からホルモン療法(ノルバデックス20mg)を始めました。手術は9月中旬の予定です。
≪質問≫
①肝臓の影が腫瘍かどうかハッキリ分かる方法はないか。経過観察で3か月放置しておいても問題ないのか。
②乳房切除手術はするべきなのか。
長々とすいません。
宜しくお願いします。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 私はよく、「術後、抗がん剤中に転移再発は起きない」とコメントします。
 それは事実です。
 ただ、「術前抗がん剤」は「意味が全く異なります」
 「術前抗がん剤」は「目に見える腫瘍を体に残した状態」での治療だからです。
 つまり、「もしも抗がん剤が無効な場合」癌を体に放置した状態で数カ月を過ごす事になるのです。
★術前抗がん剤にはリスクがある。「抗がん剤が必ず効くという前提をしてはいけない」というのはそういう事なのです。

回答

「肝臓の影が腫瘍かどうかハッキリ分かる方法はないか」
⇒肝生検しないのであれば、「画像診断」しかない訳ですが…
 肝腫瘍の「質的診断」目的としてはMRIが最強と言えます。
 質問者が行ったMRIは(当然造影MRIだとは思いますが)「造影剤はリゾビストもしくはブリモビストどちらでしょうか?」
 「別の造影剤で再度MRIを施行する」という方法があります。
    
「経過観察で3か月放置しておいても問題ないのか」
⇒診断が付かない以上、経過観察も仕方がないとは思います。
    
「乳房切除手術はするべきなのか」
⇒これは当然すべきです。
 理由は2つ
 ①肝腫瘍が「転移と断定」できない
 ②少なくとも多発転移では無い以上、十分コントロール可能なので、局所治療として乳腺は切除すべきです。(腫瘍を体においておいていい事はひとつもありません)