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抗がん剤治療

[管理番号:2205]
性別:女性
年齢:58歳
田澤先生、こんにちわ。
こちらのページで 乳がんについて勉強し、勇気をいただいています。
ありがとうございます。
しこりを自分で発見し、乳房部分切除、リンパ隔清なし の手術が終わりました。
そこりは19ミリ、リンパ転移もなく早期だと安心していたのですが、病理検査で抗がん剤を勧められてしまいました。
充実性管癌、ホルモン陽性、Her2陰性、グレード3、ki30%です。
どこの病院でも抗がん剤をお勧めすると思います…と言われました。
田澤先生はいかがですか?
抗がん剤治療をした場合と省略した場合の無再発率はどれくらいと思われますか?
また昨年2月初めにマンモで異常なし、同年11月に19ミリ、これは検診で見逃されたということなのかと考えてしまいます。
大きな病院の人間ドックセンターでした。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「しこりは19ミリ、リンパ転移もなく早期」
⇒pT1c(19mm), pN0, pStage1
 問題無く「早期」です。
 
「病理検査で抗がん剤を勧められてしまいました。充実性管癌、ホルモン陽性、Her2
陰性、グレード3、ki30%」
⇒Ki67=30%は「微妙な数値」とは思いますが、「luminal Bとして化学療法を勧める」ことが多いと思います。(患者さん側に「絶対、化学療法はしない」と事前に宣言されていないかぎり)
 ♯ただし、(後述しますが)化学療法による上乗せの数字は高くありません。
 「luminal Bとして化学療法の適応はあります」が「上乗せは○%」です。どうしますか? となります。
「どこの病院でも抗がん剤をお勧めすると思います…と言われました。」
⇒そうだと思います。
 これで「化学療法に全く触れない」としたら、逆に「リンパ節転移があれば抗がん剤、無ければホルモン療法」みたいな「前時代的な診療の医師」と言わざるを得ないと思います。
 
「田澤先生はいかがですか?抗がん剤治療をした場合と省略した場合の無再発率はどれくらいと思われますか?」
⇒前述した通りです。
 「luminal Bとして化学療法の適応」の話はしますが、「化学療法の上乗せが僅か3%」となるので、「強くは勧めません」

無再発率
無治療 29%
ホルモン療法のみ 16%
ホルモン療法+化学療法 13%

 
「また昨年2月初めにマンモで異常なし、同年11月に19ミリ、これは検診で見逃されたということなのかと考えてしまいます。」
⇒「2月の検診がマンモグラフィー」というところがポイントです。
 2月に行った検査が「エコー」であれば「見逃しと思います」が、「マンモグラフィーだった」ので、一概に「見逃し」とは言い切れません。
 ○「マンモグラフィー検査では、小さいものは(見逃しではなく)高濃度乳腺に重なってしまい所見として取れなかった」可能性も十分にあるからです。