Site Overlay

骨転移判断

[管理番号:1368]
性別:女性
年齢:50歳
はじめまして。
全てのQ&Aを確認していないのですが、質問させてください。
治療経緯
2014年
8月 人間ドック
   構築の乱れ
10月 浸潤性小葉ガン
   ※ 骨転移は否定的だが要経過観察
11月 右乳房全摘、リンパ節郭清
病理結果
ER    80%
PgR   90%
HER2   1+
Ki67    5%
リンパ   Ⅰ 15/15、 Ⅱ 5/5
グレード1
12月 ホルモン治療 ゾラデックス ノルバデックス
2015年1月 抗がん剤 FEC×4 DTX×4
主治医は放射線治療の必要無
セカンドオピニオンでは必要
7月 他の病院で、放射線治療のため受診
   CT、MRI、PET-CT
放射線の病院での結果
多発骨転移が存在していたが科学療法とホルモン治療で改善
今は、ガンは無
しかし、今は、放射線よりもゾメタ、ランマークの治療が良い
結果を主治医へ
今は、ガンが存在しないので追加治療は必要無
質問
骨転移はどのような診断結果の時から治療を開始するのでしょうか?
骨への予防としての治療はないのでしょうか?
今は、ガンが無くても多発骨転移が存在していたということで、放射線治療除外になるのでしょうか?
浸潤性小葉ガンで、リンパ転移が多いと、余命は年単位になるのでしょうか?
今は、総合病院に通院していますが、ガン指定病院へ転院が良いのでしょうか?
回答よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
このメールを読んで一番問題に感じたのが、2014年10月の時点で「骨転移は否定的だが要経過観察」となっていますが、これは(術前検査として行った)「骨シンチ(もしくはPET)の結果」でしょうか?
それが、術後(2015年7月、他の病院を受診した際に)「多発骨転移が存在していたが化学療法とホルモン治療で改善」とされているところです。
「術前診断の際(2014年10月)に骨転移は否定的」となっているので、普通に考えれば(骨転移が存在していたが治療で治癒したと考えるよりは)『最初から骨転移は存在していなかった』と考える方が普通です。
これを「わざわざ、最初は骨転移有⇒治療で骨転移無としている理由はおそらく、術前の骨シンチでの骨転移?という所見が術後化学療法後のPETで消失したから」だと思いますが、それは「読み過ぎ」と考えるべきでしょう。
★私は一切「今回の画像を見ている訳では勿論ありませんが…」骨転移が存在していたという根拠に乏しいのではないでしょうか?

回答

「骨転移はどのような診断結果の時から治療を開始するのでしょうか?」
⇒画像所見で明らかとなった時点です。
 質問者のケースで言えば、「2014年10月に行った検査で否定的とは言え、疑われた時点」に「その部位(骨シンチもしくはPETで所見のある部位)を狙ってMRI(場合によっては単純レントゲン)を撮影するのです。
 そのMRIもしくは単純レントゲンで「明らかな骨転移の所見」を認めた場合に「骨転移の診断」となります。
 ♯骨シンチやPETは「あくまでもスクリーニング検査」と言えます。確定診断には「MRIもしくは単純レントゲン」が必要なのです。
 私が、このメールを読んだ限りでは「骨転移の確定診断がされていない」まま「状況証拠のみ」で「骨転移が存在していたに違いない」としているように見えます。
 
「骨への予防としての治療はないのでしょうか?」
⇒予防では治療は適応外です。
 骨転移の「確実な診断」が無い限り、「ゾレドロン酸(ゾメタ)やデノスマブ(ランマーク)の適応外」なのです。
 
「今は、ガンが無くても多発骨転移が存在していたということで、放射線治療除外になるのでしょうか?」
⇒ここが「今回の問題点」だと思います。
 そもそも「多発骨転移が存在していた」という見解は正しいのでしょうか?
 私は「リンパ節転移が4個以上」あるので、通常通り「放射線治療の適応」と考えます。(乳癌学会、推奨度A)
 
「浸潤性小葉ガンで、リンパ転移が多いと、余命は年単位になるのでしょうか?」
⇒リンパ節転移は「あくまでもリスク因子のひとつ」に過ぎません。
 明らかな「ルミナールA」なので「ホルモン療法を長期投与」することで「根治」を狙いましょう。
 
「総合病院に通院していますが、ガン指定病院へ転院が良いのでしょうか?」
⇒必要ありません。
 「ガン指定病院」が優れているというのは「勘違い」です。
 質問者が「そのような病院に通院しているという事」自体に「満足感を得る」タイプであれば構いませんが。