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がん患者の禁止事項

[管理番号:1058]
性別:女性
年齢:38歳
田澤先生こんにちは。
お忙しい中みなさんのどんな小さな質問にも丁寧に回答されている様子を見て本当に誠実な先生だなぁと日々思っています。
私は術後一年半ほど経っており、日常生活も元に戻りつつあります。
ただ日常の生活をする中でがん患者であるからやってはいけないのかなぁと思うことがあります
例えば温泉など脱衣所に
『悪性腫瘍のかたは入浴できません』などと書かれていることが多々あります。
また私はもともと脚が冷えて浮腫みやすくよくリンパマッサージや普通のマッサージに通っていましたが、そこでも最初の問診票みたいなもので
『悪性腫瘍のかたは施術できません』
となっていることがあります
エステサロンなどのHPを見るとリンパマッサージなど(機械で)体の中から温めたりリンパを流すと血流が良くなり
細胞が活性化してがん細胞も活性化し進行を促進するとありました
その理論でいくと温泉や岩盤浴など代謝を促進するものが良くないのかともとれるのですが…
それは本当のところどうなのでしょうか
エステやマッサージ、温泉などに行くのが自分にとって楽しみの一つであったのでこれから先
我慢しなくてはいけないのかと思うと残念です
みなさんがまさに現在の治療のことで先生に相談されているのにくだらない質問ですみません
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 「癌患者の禁止事項」ですね。
 私も、時に「温泉などで、そのような掲示を見る」と、正直少し苦笑してしまいます。
 全く「非科学的」な表現です。
 そもそも一口に「癌患者」といっても「根治してしまっている。もしくは全く体内に癌が無い人」もあれば、「担癌状態であっても生理機能が全く正常な人」「生理機能に異常をきたしている人」「余命が短い状態の人」まで実に様々です。
 2人に1人が生涯で癌になる時代に「もはやナンセンス」と言えます。
 強いて言えば「担癌状態であり、生理機能に異常をきたした状態」の人を想定とした「表示」となっていると考えて差し支えないでしょう。

回答

「リンパマッサージなど(機械で)体の中から温めたりリンパを流すと血流が良くなり細胞が活性化してがん細胞も活性化し進行を促進する」
⇒誤りといっていいです。
 かなり抽象的な表現で「尤もらしい内容」に見えますが、「この理論でいくと、健康になること=癌を元気にする」のようになり、「癌患者は不健康にしなさい」という馬鹿馬鹿しい事になります。
 以前、(10年位前までは)「腋窩郭清を無条件にガッチリしていた」ので「術後に患肢のリンパ浮腫予防」で「機械で腕のマッサージ」を病棟でやっていたことを思い出しました。
 「リンパ液の流れをよくする」と「リンパ節転移が拡がる」みたいな俗説が本当なら、大変なことです。
 
「温泉や岩盤浴など代謝を促進するものが良くないのかともとれるのですが」
⇒気にする必要はありません。
 健康でいることが「免疫力アップ」であることは間違いありません。