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ki-6724.7%化学療法は必要

[管理番号:2260]
性別:女性
年齢:55歳
初めまして。
12月中頃血性乳頭分泌があり、1月に総合病院にて検査を受けました。
先日最終結果がでました。
乳頭腺管がん
大きさ10mm
リンパ節転移無し
エストロゲン陽性
プロゲステロン陽性
KI6724・7%
HER2陰性
温存はできないとのことで、乳房全摘+ホルモン療法で良いと思っていたのですが、KI67、24.7%と高いので、化学療法いれたほうがよいとのことでした。
手術をした後数値が変わるときもあるとのことでした。
私としてはなるべく、副作用があるので受けたくないのですが。
田澤先生のご意見をお聞きしたいのです。
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
cT1b(10mm), cN0, luminal(Ki67=24.7%よりluminal A相当)
⇒十分な早期乳癌です。
 心配ありません。
 
「温存はできない」
⇒「腫瘍径は10mmと小さいのに温存できない」ということは「MRIでの拡がりが大きい」ということなのでしょう。
 
「乳房全摘+ホルモン療法で良いと思っていたのですが、KI67、24.7%と高いので、化学療法いれたほうがよいとのことでした。」
⇒「Ki67=24.7%」を「高い」と表現していますが、そんなことはありません。
 所謂「グレーゾーン」です。
 St. Gallen 2015 の実際のvotingでは「Ki67の境界は20-30%の中にある」とする意見が最も多かった事を明記しておきます。
 つまり、質問者は「luminal AとBの境界線上」な訳で、「高いから抗がん剤という位置には居ない」ことが解ります。
 
「私としてはなるべく、副作用があるので受けたくないのですが。」
⇒もしも閉経後であれば、「ホルモン療法=アロマターゼインヒビター」の効果が
「閉経前のタモキシフェンよりも高い」ので、より「ホルモン療法だけで良い」となります。
 かなり「化学療法による上乗せ効果は限定的」となります。
 
「田澤先生のご意見をお聞きしたいのです。」
⇒「グレーゾーン」では「患者さん本人の意志が(より)尊重されるべき」です。
 その意味では「文句無しに」ホルモン療法単剤となります。