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肝臓への遠隔転移

[管理番号:3193]
性別:女性
年齢:38歳
いつも拝見させて頂いております。
今月初めに妻(38)が胸のしこりに気付き検査の結果、今月中旬に乳がんと診断されました。
その後CT検査の結果、肝臓に怪しい影があるという事でPET-CTで検査したところ、昨日の診察で遠隔転移との説明を受けました。
肝臓の腫瘍は1cmほどで肝臓の外側の一箇所のみで他に転移はなく、
主治医の話ではガイドラインでは肝臓への転移では手術しない事が
一般的だが腫瘍がひとつだけで手術が可能な場所である事から、
年齢が若い事も考えると胸、肝臓の手術を行い出来る限りの治療をした方が良いのではないか。
との意見を頂きました。
来週にセカンドオピニオンを受ける予定です。
こちらのQ&Aを拝見していて肝臓への遠隔転移の可能性は低いと思っていたので診断にショックを受けています。
化学療法はいずれにせよ行うことになるが術前は基本的に腫瘍を小さくして温存する
目的で行う、ただ術前術後で効果は変わらないのでどちらでも可能とのお話でした。
浸潤が乳頭方向へ広がっている様で温存は難しい様子です。
ちなみに胸のMRIの検査時は
検査中に妻が体調を崩したため中止しました。
肝臓のMRI検査などは行っていません。
胸の腫瘍は2.5cm
リンパ節転移 アリ
肝臓の腫瘍1cm
ホルモン受容体 陽性
HER2 陽性
Ki67 不明
現在はCTとPETの検査結果から肝臓へ遠隔転移との診断ですがやはり間違いはないでしょうか。
今回の診察時は動揺してしまい十分な確認が出来ませんでしたが、今後のセカンドオピニオン、次回の診察で確認すべき事はございますでしょうか。
またこの様な肝臓の手術を行った例をあまり見ませんが田澤先生も同様の治療方針となりますでしょうか。
主治医は可能性に賭けて・・という表現をしていましたが根治の可能性はあるますでしょうか。
体への負担はありますが生存率を上げる事が出来れば手術をお願いしようと思っています。
来週の診察で手術を含め今後の治療を決めていく予定でいます。
内容に不十分な部分もあるかと思いますが先生のご意見を頂戴できましたら幸いです
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
CTとPETでの診断というのはあやしいものです。
是非「肝臓のMRI」を撮影してもらいましょう。
「肝転移はあやしい」ものですが、ここでは「肝転移と仮定して」話を進めましょう。
もしも「肝転移」だとすれば、「血行性転移」であり、(CTやPETで見えなくても)「血液に富む組む組織」である「肝には小さな転移が多発」している可能性を考えなくてはなりません。
考え方としては「全身療法をがっちりやって」しかる後に「残っている部位」を局所療法となります。
この場合には(乳腺のように体表面のものは)「手術で問題ない」わけですが、(手術が高侵襲となる)肝であれば「サイバーナイフやトモセラピーなどの局所照射」も候補となります。
○まずは「肝(リゾビストもしくはブリモビスト造影の)MRI」をしないことには始まりません。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

お世話になります。
先週、肝臓の遠隔転移について質問させていただいた者です。
昨日セカンドオピニオンを受けてきました。
セカンドオピニオンを受けた先生のご意見では専門医から見ると手術という選択はなく
化学療法が中心になるだろうと言う事で内容は
前回田澤先生から頂いた「肝臓への転移を仮定した場合」とほぼ同じご意見でした。
肝臓への転移についてはCT、PETの画像を見ると間違いないと言われました。
肝臓のMRIの話もしましたが、検査をしても追加で得られる情報は少ないので必要ないのでは。
との意見でした。
今回のセカンドオピニオンを受けて大学病院へ転院するつもりですが
妻も診断を受け入れており
転院先で不要と言われた場合でもMRI検査を強く希望するべきか迷っています。
PETの診断では明らかという説明を受けましたがやはり肝MRIを受けるべきでしょうか。
依頼した先生は以前、近隣の病院で乳腺科専門医として勤務し
個人でクリニックを開業された先生で丁寧な対応で評判が良いと聞いてセカンドオピニオンを依頼しました。
妻の病状について資料を見る限りの病状説明と自分が担当医だった場合の治療方針など
細かく説明をして頂きました。
その先生は個人開業医なので治療を受け持つ事は出来ないが
現在通院中の病院は乳腺の専門医はいないはずなので
自分がいた大学病院で専門医の治療を勧めたいとのお話でした。
住んでいるのは地方ですが専門医がいる病院はそれほどなく、通院も可能な場所にあるその大学病院であれば自分が連絡を取る事も出来るので今後もフォローも出来るとの事です。
今回の説明を聞いて自分たちが色々と理解不足だった事も分かりました。
現在の担当医へはその後、看護士さんを通じて連絡を取りましたが、院内で話し合った結果、
手術を視野に入れながらまずは化学療法をしていくという意見になったようです。
前回と重複する様な質問で申し訳ありませんがアドバイスの程よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「PETの診断では明らかという説明を受けましたがやはり肝MRIを受けるべきでしょうか。」
⇒私は実際に、そのPETを見ている訳ではないので
「PET所見を見た上でMRIは不要と言っている医師に対してアドバンテージは無いかもしれませんが」MRIを撮影してもいいとは思います。
 いつも思いますが…
 (本来不要である)「乳癌の診断にはMRIを用いたがる」のに、(診断に必須である)「肝腫瘍の診断に、MRIを躊躇する」のは本末転倒です。
「手術を視野に入れながらまずは化学療法をしていくという意見」
⇒ここでいう「手術」とは「肝転移(と仮定して)に対する手術」のことですか?
 肝腫瘍が1cm程度ならば(乳癌に対する手術を視野に入れながら)「まずは化学療法」という方針がいいでしょう。
 
以下は「肝転移と仮定」して…
 ●前回のメール内容から「HER2陽性」とあります。
  抗HER2療法により「かなりの効果(もしも肝転移ならば、ひとまずは完全に消失もありそう)が期待」できます。
 「抗HER2療法」⇒「肝転移の消失」⇒「乳癌の手術」⇒「ハーセプチン単剤+ホルモン療法」による維持が「最も理想的な流れ」となります。
 もしも抗HER2療法で「肝転移の消失が得られなかった」場合には、放射線照射による局所療法の併用(手術ではなく)も考慮すべきです。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

いつもお忙しいところご回答頂きありがとうございます。
何度か肝臓への転移についてお聞きしました。
その後大学病院へ転院して肝臓MRIの検査もしましたがやはり1cmほどの転移と
の診断
となりました。
先月19日より抗がん剤治療を開始、3週間に一度の通院でFEC療法6メニ
ューの予定です。
HER2陽性、ホルモン受容体陽性なのでFECの後は抗HER2療法に
なると聞いています。
FECはECにしても効果は同じと聞いたと主治医に質問しました
が、まだレジメンがないとの事でした。
局所療法については様子を見てとの事で未定で
す。
担当医からはステージ4なので10年持てば・・という様なお話でした。
再発でなく初期治療
で1cmの転移で良くて10年というのはなかなか受け入れ難いのですが田澤先生も同
様の治
療方針、予後の予測となりますでしょうか。
ステージ4で初発と再発では違いはあるでしょ
うか。
条件によっては転移があっても完治(寛解?)も可能との記事を見た事もあります
がその様な可能性はあるのでしょうか。
ご回答の程、よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
本当に肝転移なのかは、抗ガン剤を始めた以上は「抗ガン剤による効果があるのかどうか?」も参考になります。
♯局所(乳腺の腫瘍)が小さくなっているのに「肝にある腫瘍は変化無い」ようなら、「肝転移では無い?」という可能性も考えます。
術前抗がん剤をしている以上は、局所(この場合は乳腺)の状況に注意して、効果がないようなら(手術不能となる前に)「乳腺の手術だけでもしてしまう」という対応が必要です。
○それと、「抗HER2療法」としては、『ECよりはHER+wPTXの方が効果が確実』な可能性もあるので、(ECで効果がないようなら)早めに「HER+wPTXへの変更」も視野に入れる必要があります。
「条件によっては転移があっても完治(寛解?)も可能との記事を見た事もありますがその様な可能性はあるのでしょうか」
⇒あります。
 転移性乳癌の10年生存率は5%と言われています。(その半分は根治するでしょう)
 決して勝負は決していないのです。