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術前化学療法について 

[管理番号:4096]
性別:女性
年齢:48歳
いつも拝見させていただき、大変勉強になっています。
ありがとうございます。
先月、手術を受け細胞診結果をいただきました。
いままでの経過は、12月末に腫瘤を自覚し3月より術前化学療法開始、11月手術となっています。
細胞診の結果をどのように理解すればよいか教えてください。
腫瘤を自覚してから受診までに(5年前より定期検査をクリニックで年1~2回していて、細胞診も時々していました。
今までは陰性でした。
次回は4月の予定でしたが、12月に腫瘤を発見というか痛みを感じたので、1月に予約の連絡をしましたが、クリニックに空きがなく受診が2月になりました)どんどん大きくなっていったと思っていますが、そんなに急に大きくなることがあるのでしょうか。
一般的には年単位で大きくなると言われていますし、先生のサイトでも見かけたと思います。
細胞診、針生検の結果と腫瘍が受診時にかなり大きくなっていたことで、術前化学療法となりました。
効果がなく標準治療から外れて治療をすすめ、TCは効果があり手術になりました。
(かなり小さくなったと感じましたが途中から効かなくなり増大傾向がみられ急に手術になりました)
私は術前化学療法は必要であったと理解しています(NCCNのガイドラインを見ました)が、間違っていたのでしょうか・・・今さら仕方ないですが・・・
今後は放射線治療を予定していますが、今後の治療はどのようなものがありますか。
病理の結果だけでは無理かとも思いますが、先生のお考え、アドバイスを教えていただけたらと思います。
主治医はきちんと説明をしてくれる方なので、自分でも考えて、自分で決めて治療は進めているつもりです。
ですが、やはり先生のコメントを見ていてぜひ一度伺ってみたいと思いました。
よろしくお願いします。
診断名: Invasive micropapillary carcinoma,
rt.breast
所見:
Intrinsic subtpe:Basal-like
ER:Score 0
PgR:Score 0
Her2:Score 0
Ki-67 labeling index:70~80%前後
右ACEBD区,~9x7cm.,invasive micropapillary carcinoma>scirrhous
ca,f,EIC(-),ly3,v1 Nuclear Grade3[nuclear atypia score:3+mitosis score:3=total score6] LN:level Ⅰ(+)[34/35],levelⅡ(+)[5/5],右鎖骨下(+)[9/9]
TNM:pT3,pN3c,cM0[Stage ⅢC]
組織学的治療効果:Grade 1a
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「細胞診の結果をどのように理解すればよいか教えてください。」
⇒「腫瘤を自覚してから受診までに(5年前より定期検査をクリニックで年1~2回していて、細胞診も時々していました。今までは陰性」のことですか?
 大変残念なことです。
 「細胞診の技術は(針生検以上に)医師によってバラつきがある」というコメントで察してください。
 ♯決してあってはいけないことですが、どの医師にあたるかで左右されるのは悲しい事です。
「そんなに急に大きくなることがあるのでしょうか。」
⇒invasive micropapillary carcinoma, NG3 とあるので、比較的増大傾向があったようです。
「私は術前化学療法は必要であったと理解しています(NCCNのガイドラインを見ました)が、間違っていたのでしょうか」
⇒私は「温存目的」以外の術前化学療法は認めていません。
 強いて言えば「手術待ちが長い」場合に、(その間限定で)行うことはあります。
(患者さん自身が不安な場合)
 質問者は腫瘍径が大きく「温存を希望するべきではない」状況だったわけですから、「手術先行すべき」だったと思います。
 ♯もしも手術枠の関係で、「手術待ちが長い」状況ならば、「手術日程をFIX]して、(それに合わせた)「化学療法なら勿論構わない」わけですが…
「今後は放射線治療を予定していますが、今後の治療はどのようなものがありますか。」
⇒放射線治療だけです。
 術前に化学療法したのだから(当然)術後には行いません。
 (術後療法としての)「適応外薬剤」は決して行ってはいけません。