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術後の治療方針について

[管理番号:3281]
性別:女性
年齢:27歳
はじめまして。
いつも参考にさせて頂いております。
5月に左胸温存手術と腋窩腫瘍切除を行いました。
検体の大きさ:180×160
腫瘍径(浸潤癌):5×5×5
腫瘍径(乳管内成分含む):60×15×10
浸潤性乳管癌(硬癌~充実線管癌)
f(+)、s(-)
ly(+)、v(-)
切除断端:浸潤成分 陽性、乳管内成分 陽性
核グレード3
pN1(2/2)
pT1aN1(sn)ステージⅡA
ki-67 38%
HEA2 2+ FISH陰性
ER 陽性 90%以上
PR陽性20~30%
オンコタイプDX、結果待ちです。
今後の治療について以下お伺いしたいです。
1.現在ホルモン治療、ゾラデックスのみです。
2年の予定です。
治療後妊娠希望です。
飲み薬との併用は必要ないのでしょうか?
2.来週から放射線治療が始まります。
主治医は胸を脇だけで良いとのことでしたが、
放射線科の先生は鎖骨までかけた方がいいとのことで、意見が食い違い一度延期になりました。
主治医には好きにしていいと言われましたが、鎖骨までかけるべきでしょうか?
3.現段階の病理結果で抗がん剤は必要だと思われますか?
主治医にはやりたくないならやらなくても良いと言われましたが、年齢的に再発の不安もあり、オンコタイプDXをお願いしました。
よろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「5月に左胸温存手術と腋窩腫瘍切除を行いました。」
⇒「腋窩郭清」の誤りですね?
pT1a, pN1, pStage2A, luminal type(Ki67=38%)
 
「飲み薬との併用は必要ないのでしょうか?」
⇒当然「タモキシフェン」が必要です。
 おそらく「Oncotype DXの結果」待ちというつもりなのでしょう。
 もしも「化学療法をする」となると「タモキシフェンは休薬するから」とりあえず、結果がでるまでは始めないという意味だと思います。
 「化学療法をしない」と正式に決定したら当然「タモキシフェン+LH-RHagonist」の併用となる筈です(LH-RHagonist単独治療はありません)
 
「鎖骨までかけるべきでしょうか?」
⇒ここは注意が必要なところです。
 注目したのは腋窩郭清「2/2」という記載です。
 ○pT1aN1(sn)ステージⅡAという記載からは、質問者は「センチネルリンパ節生検」を行ったことを示しています。
  ただし、「2個しかとっていない」ということは追加郭清が省略されている?ようにも思いましたが、質問者の「5月に左胸温存手術と腋窩腫瘍切除を行いました。」という記載からは「追加郭清した」ようでもあります。
  実際のところは、どうなのでしょうか?
  つまり「センチネルリンパ節生検でセンチネルリンパ節として2個調べて2個転移
⇒追加郭清はしなかった」のか、「センチネルリンパ節生検でセンチネルリンパ節として1個調べて転移⇒追加郭清して1個だけ追加した」のかどちらでしょうか?
  どちらにしても「腋窩郭清が不十分な可能性」が残るため「腋窩の照射は必須」となります。
  そこで「鎖骨上への照射が必要か?」は本来「きちんと腋窩を評価(本当にいくつ転移があるのか?)」して4個以上転移があれば検討するべきところです。
  質問者の場合には「本当に2個だけなのか、それとも他にあるのか?」の判断材料に乏しいわけです。
   「2個だけだろう」と考えれば「鎖骨上は不要」
   「4個あるかもしれない」と考えれば「鎖骨上も必要」となります。
 
「3.現段階の病理結果で抗がん剤は必要だと思われますか?」
⇒オンコタイプDXしているのだから、それで判断しましょう。
 ただし「敢えて、現段階」としてコメントするとしたら…
 「Ki67=38%はルミナールBとして化学療法すべき」となります。