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広がりがある非浸潤癌について

[管理番号:2851]
性別:女性
年齢:35歳
はじめて相談させていただきます。
経緯を説明します。
○2月末。
初めに自分で右胸にしこりを発見

○乳腺外来を受診。
マンモグラフィでは映らず、エコーで血流があるのと
 形がいびつなことが気になると言われて組織診(3か所)

○組織診では病変は認められるがガン細胞は出ず「DCIS疑い」の結果。
 不安だったので摘出生研を依頼するために大学病院へ

○3月中旬。
MRIで広範囲の広がりを確認(この時点では乳頭は残せると言われる)

○全摘になるので診断を確定させるためマンモトームを実施。

○3月末。
非浸潤癌のとの診断(ホルモン陰性/HER2  +3)

○セカンドオピニオンで行った病院で再度MRI。
 乳頭までガン細胞が広がっていると言われ、HER2タイプなので進行が速いと言われる。
5月上旬に皮下乳腺全摘手術(乳輪乳頭も切除)の予定です。
主治医には非浸潤で皮下全摘であればその後は無治療で大丈夫。
再発率は非常に低いと言われています。
しこりは他にはなく、マンモトームしての診断なので
もし浸潤していても微小浸潤とのことで安心していましたが
セカンドの先生はホルモンが効かないHRE2タイプということを非常に気にしていて
念のため術後にハーセプチンをやった方が良いと言われました。
また、胸筋に密着している、脇の方にもかなり広がっていることも気にしてい て
非常に不安になっています。
今からあれこれ心配していてもしかたがないのですが
セカンドと主治医の先生の意見が違うので戸惑っています。
<質問1>
非浸潤でしこりの部分のマンモトームで浸潤が確認されなかった場合でも
大きく浸潤していることはあるのでしょうか?
<質問2>
微小浸潤があった場合でホルモン陰性の場合はハーセプチンはした方が良いのでしょう
か?
<質問3>
非浸潤部がHER2タイプ、ホルモン陰性だった場合、浸潤部分も同じタイプの
ことが多いのでしょうか?
小さな子供がいますので出来るだけリスクを取りたくありません。
田澤先生のご意見をお聞かせください。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
まず強調したいのは非浸潤癌で「HER2タイプ」など気にする必要がないということ
そもそも本来「非浸潤癌でHER2を検索すること自体が、適応外」であり、本来「許されない」診療なのです。
あくまでも「浸潤癌へ移行しやすい、(つまり)微小浸潤を伴いやすい」と理解してください。
○非浸潤癌のサブタイプなど、全く無視してください。
抗HER2療法は必ず「浸潤径>5mm」でなかれば行ってはいけません。
HER2タイプの非浸潤癌で行うことは「絶対にありえない」ことだし、
微小浸潤でも行ってはいけません。
♯微小浸潤の場合に「ハーセプチンのみ使用しようとする」医 師が散見しますが、「全くエビデンスのない治療」であり、「適応外として非難されるべき」です。
「しこりは他にはなく、マンモトームしての診断なのでもし浸潤していても微小浸潤とのことで安心」
⇒それで正解です。
 
「セカンドの先生はホルモンが効かないHRE2タイプということを非常に気にしていて念のため術後にハーセプチンをやった方が良いと言われました。」
⇒絶対に従わないでください。
 とんでもない「非常識な医師」です。
 自分の独自な考えも「度を超すと」有害です。
 
 
「また、胸筋に密着している、脇の方にもかなり広がっていることも気にして 」
⇒この医師は本当に「外科医」なのでしょうか?
 乳房全摘するわけだから、「そんなこと、全く無関係」です。
 私には「馬鹿馬鹿しい」としか、言いようがありません。本当に外科医ですか???
 
「非浸潤でしこりの部分のマンモトームで浸潤が確認されなかった場合でも大きく浸潤していることはあるのでしょうか?」
⇒その確率は「非常に低い」です。
 
「微小浸潤があった場合でホルモン陰性の場合はハーセプチンはした方が良いのでしょうか?」
⇒適応外です。
 絶対にやってはいけません。
 
「非浸潤部がHER2タイプ、ホルモン陰性だった場合、浸潤部分も同じタイプのことが多いのでしょうか?」
⇒そんなことはありません。
 ただ、「微小浸潤」の場合には「病変が小さすぎて浸潤部分での判定不能」のことがあります。
 そのため「結果として非浸潤癌のサブタイプをあてはめられる」ことはあります。
 ただし、「微小浸潤はサブタイプを気にする必要は全く」ありません。
○私には、その「セカンドオピニオンの医師」がとても奇異に思えます。(申し訳ありませんが)