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術後の治療と不妊治療について

[管理番号:3308]
性別:女性
年齢:32歳
いつもこちらを拝見し、たくさん勉強させて頂き勇気づけられています。
2年前より数個の微小円形~集簇性石灰化で経過中でした。
その際エコーでは嚢胞のみ。
去年9月に再度マンモを撮り、去年に比べて見るとほんの僅かではあるが石灰化が少し増えているようの見えたので聞いたのですが、変化なしとのことでエコーもしませんでした。
今年の6月になり血性の分泌、単孔だったため受診。
受診時は分泌は無く、マンモにて経過観察中の石灰化が微細線状に変化している、エコーでも境界不明瞭な低エコー域、中に石灰化、血流ありという事で、精密検査の出来る大学病院へ。
そこでも分泌は止まっており、針生検をしました。
その結果
浸潤性乳管癌
ER:100%
PgR:100%
HER2:1+
Ki-67:20%
浸潤経1mm
核グレード1
広範囲に非浸潤癌あり
エコーではリンパへの転移はないだろうという診断でした。
その際、今後の検査予定にCTと骨シンチとの記載があり、こちらのQ&Aで必要の無い検査であると再三言われていた事と、上記詳細もこちらから聞かないと教えてくれず、全摘手術の話のみで、早く全部取ってしまおうという事で、専門病院へ転院しました。
私自身もエコーの時点で乳頭下から乳管内、広範囲に広がっているだろうと言われていた為、取り残し等の可能性を少しでも無くしたく全摘、再建でと考えていました。
しかし転院先の専門病院では、大学病院では全摘と言われたようですが、温存の選択はないのか造影剤ありのMRIで調べましょうという事でした。
他には乳腺に関する検査はマンモ、エコーのみでした。
転移、再発、予後などはいくら計算したところで、自分がどちらに入るかはその時になってみないとわからない事なので、一切考えず、病気と向き合い理解する事が治療の第一歩、後悔せず納得いく治療をする事だけを考えています。
(昨年9月にエコーをしなかった事をとても後悔している為、同じ事は繰り返したくない)
そこでお聞きしたいのが、まだ手術をしてないので、確実な病理診断では無い事は理解していますが、針生検の結果と同等だった場合の術後の治療についてです。
ER、PgRともに100%という事でホルモン治療は必須かと思いますが、ちょうど数ヶ月前より婦人科にてタイミング療法をし始めたところでした。
ですので術後は妊娠を優先し、その後ホルモン治療がベストだと考えていますが、私の状態でも特に問題無いでしょうか?
また、結果は聞きに行けていないのですが黄体機能不全がありそうで、そちらの治療もしながらでないと妊娠は難しいと思うのですが、やはりその治療は出来ないものでしょうか?
あとやはり専門病院は混んでおり、手術が2ヶ月後という事が引っ掛かります。
私の様な場合、2ヶ月後でもステージ等の変化はまず無いと考えていて良いでしょうか?
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「マンモにて経過観察中の石灰化が微細線状に変化している、エコーでも境界不明瞭
な低エコー域、中に石灰化、血流あり」「浸潤性乳管癌 ER:100% PgR:100% HER2:
1+ Ki-67:20% 浸潤経1mm 核グレード1 広範囲に非浸潤癌あり エコーではリン
パへの転移はないだろう」
⇒典型的な「①非浸潤癌の進展⇒②石灰化形成⇒③微小浸潤(腫瘤非形成性病変)」という流れですね。
 ②の段階での診断が理想的ではありましたが…
 そのクリニックでは「ステレオガイド下マンモトーム生検(ST-MMT)の設備はあるのですか?」(もしも無いとしたら)「それ故に」いたずらに「石灰化を経過観察で引っ張りすぎた」となります。(やはり、石灰化はST-MMTのある病院で経過をみるべきとなります)
 それにしても「殆どが非浸潤癌」と言う状況なのに(ルーティーンのように)「CTと骨シンチ」という大学病院にはあきれ果てます。
 
「まだ手術をしてないので、確実な病理診断では無い事は理解していますが、針生検の結果と同等だった場合の術後の治療についてです。」
⇒その通りです。
 しかも「浸潤径次第」では「ホルモン療法さえ、本当に必要か?」というレベルにもなりえます(微小浸潤の際などは、ほぼ非浸潤癌と同等に考えるべきです)
 
「術後は妊娠を優先し、その後ホルモン治療がベストだと考えていますが、私の状態でも特に問題無いでしょうか?」
⇒全く問題ありません。
 
「また、結果は聞きに行けていないのですが黄体機能不全がありそうで、そちらの治療もしながらでないと妊娠は難しいと思うのですが、やはりその治療は出来ないものでしょうか?」
⇒問題はありません。
 以前のQandAにもありましたが…
 「不妊治療が乳癌に悪影響を及ぼす」と言う証拠がありません(否定的な論文の方が多い)
  
「私の様な場合、2ヶ月後でもステージ等の変化はまず無いと考えていて良いでしょうか?」
⇒その通りです。
 2カ月待ちは許容範囲です。