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壊死を伴う、が不安です。

[管理番号:2876]
性別:女性
年齢:49歳
乳がんと診断されて1か月半になります。
先生のご説明を読んで日々勉強させていただいてます。
昨年9月にしこりの自覚症状で近くの乳腺クリニックを受診し、マンモ・触診・エコーで良性でしょうが、念のため経過観察ということで、3か月後より細胞診・組織診・外科生検を経て、結果乳がんの診断となりました。
(治療は、別の病院を紹介していただきました)
○所見
 ひだり乳腺腫瘍は、ここにみられる乳腺組織の全体に広がるsclerosing adenosisを認め、所々に拡張した乳管上皮の増殖性変化も見られます。
良性の増殖性変化が背景に存在しますが、標本3.4.においては、組織学(9mm)
的に9×8mmの範囲において、拡張した乳管内に類円形核を有する異形細胞が篩状に増殖するcarcinomaを認めます。
壊死を伴います。
規約のnoninvasive ductal
carcinomaです。
明らかな間質への浸潤像は認めませんでした。
核の異型性は中程度です。
標本3で2か所、標本4で1か所、切離面に1乳管づつ露出しています。
 ER100%陽性 PgR70%陽性
 Ki-67 LI18%
 HER2 negative(0)
石灰化のページで、壊死について理解しましたが、私の場合しこりを感じていましたので、非浸潤とはいえ大丈夫かと、不安になってきました。
私の今までの結果より、先生のご意見をお聞かせ願います。
*手術は、私の希望で全摘、来月?の予定です。
(本日、日程を決定してきます)医師からは、しこりは摘出しているので、日程については、急ぐ必要はないと言われていました。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
sclerosing adenosis の中に「たまたま小範囲(9mm)の非浸潤癌がみつかった」ということです。
時々あることで、「たまたま見つかってラッキー」と言えます。
「私の場合しこりを感じていましたので、非浸潤とはいえ大丈夫かと、不安になってきました。」
⇒それは全く問題ありません。
 病理結果からは、(自覚していた)「しこりの本体はsclerosing adenosis 硬化性腺症」なのです。
 ○癌自体が「しこりの本体ではない」というのがポイントです。 癌はあくまでも「たまたま」となります。
 
「私の今までの結果より、先生のご意見をお聞かせ願います」
⇒生検で「非浸潤癌」であれば、「浸潤部分はない」と思います。
 
 
「手術は、私の希望で全摘」
⇒断端陽性なので「追加切除」の検討は必要ですが、「全摘」であれば、根治となるでしょう。
 全く心配ありません。
 非浸潤癌で治療をしてしまえば、「核異型」も「壊死性」も全く気にする必要はありません。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日は、ご回答を有難うございました。
気になっていたところを、わかり易く説明していただき、胸のつかえがとれた思いです。
先月、術前検査として、造影CTとMRIを撮り、その後主治医の説明を受けてきました。
(それが前回の質問日です)
○その日、全摘(乳頭共)での手術希望を主治医に伝えると、希望であればやりますが、全くそういう状態ではない、ましてや乳頭まで取るのは、かなりやりすぎではないかと言われました。
温存で充分だし、もし全摘するとしても、将来、再建の可能性が少しでもあるのなら、
乳頭温存の皮下腺全摘にするべきと言われました。
(再建の可能性は未定です。
まずは治療優先に考えています)
○そして実は、もう一つしこりが見つかりました。
(造影CTで発見)おそらく悪いものではないと思うが、離れた場所なので、もし悪性の場合は、温存は不可になるとのことでした。
エコーで確認しながら、針生検されました。
これについては、全摘ならもう調べないしと言われましたが、私が、先生の話で迷ってしまったので(全摘は私の場合、過剰治療なのかと)、結果調べることとなりました。
○センチネルリンパ節生検についてですが、術式の話の際に聞くと、やらないと言われました。
あと、希望であればやりますが、3~5%の方にむくみが出ます。
それはご自身の体質によるところもあります。
当院でも症状が出た方はいらっしゃいます。
と説明されました。
今考えるとですが、新たなしこりが見つかったので、省略できるのでしょうか?それとも、私の程度では省略もあり得るのでしょうか?質問できればよかったのですが、生検でむくみと言われ、またまた頭がいっぱいになり、それどころではありませんでした。
それで今回お聞きしたいのは、
①術式について 新しいしこりが、良性の場合、乳頭温存皮下腺全摘でも完治といえるレベルでしょうか?また浸潤・非浸潤の場合は、先生ならどの術式をもって完治できるとお考えでしょうか?
②繰り返しになりますが、新しいしこりは針生検での結果ですので、センチネルリンパ生検は必須でお願いしたほうがいいでしょうか?不安なことを言われましたが、それは、一般的なリスクの説明をされたととらえてよいでしょうか?もしこちらからお願いしてすることになって、後遺症が万一出たらと、心配になっています。
何も調べず、近くの大学病院(です。)を紹介してもらいました。
こちらの病院は、専門医の先生は、いらっしゃらない様子、失礼だと思いますが、主治医は熱意も感じられ、信頼できそうな方なのですが、認定医ではないお若い方です。
初めのしこりが、判定がつかず外科生検までいったので(クリニックにて)、針生検の時、今回もグレーになったりしますか?と聞いたら、手技が違うので大丈夫です!と言われました。
転勤先での告知となりました。
今は地方在住です。
主人は、初めは同じように驚いていましたが、初期で心配ないと言われ、全く安心しきっています。
私ひとりが、落ち着かない毎日です。
お忙しいところすみませんが、ご回答よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
外科的生検で「sclerosing adenosisの中に9mmの非浸潤癌」がみつかった方ですね。
 
「センチネルリンパ節生検についてですが、術式の話の際に聞くと、やらないと言われました。」
⇒これは正しい判断です。
 (針生検やマンモトームなどの)「サンプリング検査での非浸潤癌との診断」の場合には、「手術してみたら浸潤部分がある」可能性もあるので原則「センチネルリンパ節生検が推奨」されますが…
 今回のように(外科的生検で)「病変全体を評価して非浸潤癌との診断」であれば、「手術してみたら浸潤部分がある」可能性は殆ど無いので「センチネルリンパ節生検は推奨されない」(乳癌診療ガイドライン)
 
「3~5%の方にむくみが出ます」
⇒こんなには通常は出ません。
 通常郭清しても、こんなには出ません。
 ○もしも本当にこんなに浮腫みがでるのであれば、「手技の精度に問題あり」と言われてもしかたがないでしょう。
 
「①術式について 新しいしこりが、良性の場合、乳頭温存皮下腺全摘でも完治といえるレベルでしょうか?」
⇒根治ではないが「根治に近いレベル」とは言えます。
 乳頭部分には「乳管が集まっている」ので(皮下乳腺全摘は)「乳房全摘のように、乳腺を完全に切除したことにはならない」のです。
 
「浸潤・非浸潤の場合は、先生ならどの術式をもって完治できるとお考えでしょうか?」
⇒浸潤にしろ、非浸潤にしろ「多発」ということになるので、乳房全摘が必要となります。
 その上で『根治を求める』のであれば、(皮下乳腺全摘ではなく)「乳房全摘」となります。
 その場合には(針生検での診断=サンプリング)なので(病変全体として浸潤部分が存在する可能性がある)センチネルリンパ節生検が推奨されます。
 
「②繰り返しになりますが、新しいしこりは針生検での結果ですので、センチネルリンパ生検は必須でお願いしたほうがいいでしょうか?」
⇒その通りです。
 
「不安なことを言われましたが、それは、一般的なリスクの説明をされたととらえてよいでしょうか?」
⇒その医師の手術精度については勿論解りません。
 信頼するしかないのだと思います。