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手術後の病理結果で切除断端陽性

[管理番号:3150]
性別:女性
年齢:48歳
はじめまして。
がんの疑いが出て不安な時からこちらのサイトでたくさんの勇気をもらいました。
本当に感謝しております。
6月上旬に浸潤性乳管がん(硬癌)で温存手術しました。
ステージⅡa、ホルモン陽性・HER2陽性・Ki67-30%
先日病理結果が出て、大きさ2.5cm×2cm×2cm、広がり7cm、リンパ
節転移有3個切除のうち1個転移、リンパ管・静脈侵襲は無し、グレード
1、ER30%、PgR30%、HER2-3、Ki67-20%、切除断端陽性(だだし
非浸潤成分わずか)、ステージⅡB(PT2・N1・M0)でした。
手術でがんは取りきれたと思っていたので、かなりショックであり、リンパ節に転移していたことにもショックで頭が真っ白になりました。
早々に化学療法・分子標的療法・放射線等の話が決まりましたが、再手術の話はなく、先生は「大丈夫です。問題ないです。」とおっしゃっていました。
ただ落ち着いて考えてみると、体の中にがんが残っているままでいいのか、その非浸潤がんがだんだん大きくなって新たに浸潤がんになる、また再発・遠隔転移などの要因になるのではととても不安です。
ネット検索しても再手術の話は出てくるのですが、残したままの今後の治療にマイナス面等が無いのか、探すことができません。
田澤先生には、今まで本当に色々とお聞きして解決したかった事がたくさんありました。
こちらのサイトでどれほど心が落ち着けたかわかりません。
手術も終わり、さあこれから治療と思っているところの最大の不安を取り除いていただけますでしょうか。
来週には抗がん剤治療が始まります。
乱文で申し訳ございません。
宜しくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT2(25mm), pN1, luminalB(HER2 陽性)ですね。
「ただ落ち着いて考えてみると、体の中にがんが残っているままでいいのか、その非浸潤がんがだんだん大きくなって新たに浸潤がんになる、また再発・遠隔転移などの要因になるのではととても不安」
⇒「非浸潤癌が少し」との記載からは、リスクはそれ程高くはなさそうです。
 局所療法として「放射線照射」、そして強力な全身療法としての「抗HER2療法」を考えて、担当医は心配していないのだと思います。
 
 ◎実質あまり問題ではなさそうですが、「3カ月毎に、きちんと超音波で確認」すれば大丈夫です。
 万が一の場合には「再手術の必要」がありますが、予後は同等なのです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生、2回目になります。
どうぞよろしくお願いいたします。
(管理番号3150)
前回断端陽性の件でご回答いただき、気持ちを落ち着かせることができ、抗がん剤治療の前に担当医に本当に再手術の必要がないかを確認することができました。
断端陽性の説明も再度していただきましたが、写真で切り取った腫瘍の左右に2か所(点は3個)でした。
担当医は「再手術希望なら行いますが、抗がん剤治療を進めた方
が・・・」と言われ、その時は納得し、パクリタキセル+ハーセプチン(毎週)を始めました。
後半はFECを3か月、放射線治療+ハーセプチン9か月、その後ホルモン治療となります。
上記の陽性の数であれば、田澤先生も抗がん剤治療を進めていますか?
また同じような治療方法でしょうか?
写真は上部に点が集中していて下部は何もなかったのですが、それは問題ありませんか?
私の検査結果報告書は、こちらのQ&Aで皆様が田澤先生に判断していただいている様な詳細は無く紙1枚の簡単な物です。
核・組織の異型度もグレード1で詳細は有りません。
詳細を教えていただくのは、失礼なことでしょうか?
手術直後は「リンパ転移はありませんでした。腫瘍も術中マンモ(?)
で確認しましたがきれいに取れました。」と言われていましたが、病理結果でリンパ転移有、断端陽性でまだガンが残っているのだと思うと怖くて仕方ありません。
今胸のエコーをすると見えるのでしょうか?
残っていても、上記の治療のどこかで消える(無くなる)可能性はあるのでしょうか?
また術中のセンチネルリンパ節生検と病理検査で変わることはよくあることなのでしょうか?
1個転移があったのに3個取っただけで、もっと転移があるのではないのか?とは考えすぎでしょうか?
pT2N1M0のトリプルポジティブの再発率・生存率を教えてください。
また断端陰性だった場合との再発の差はどのくらいですか?
1年おきにマンモ・エコーをして、自分でしこりを見つける2か月前に集団検診でエコーをしていたのに何も発見されず、最初の病院でご指名で紹介状を書いていただのに、手術が2か月先まで埋まってるからとやんわり断られ現在の担当医となり(そのおかげで早く手術はしていただけましたが)現在です。
悪い方悪い方へと結果がでて、毎日不安に押しつぶされ、食事も今まで食べていたものが悪かったのかと思うとのども通りません。
今が1番病人のようです。
田澤先生の所に伺わなかったことが最大の後悔です。
お忙しいところ本当に申し訳ございません。
宜しくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「上記の陽性の数であれば、田澤先生も抗がん剤治療を進めていますか?」
⇒「文面だけ」では判断は困難です。
 非浸潤癌が「1腺管」とかならば、「放射線照射で実際は問題ない」とは思います。
 
「また同じような治療方法でしょうか?」
⇒私であれば、「高リスクではない」ので「アンスラサイクリン(FEC)」無しの
レジメン(非アンスラサイクリン)とするでしょう。
 
「写真は上部に点が集中していて下部は何もなかったのですが、それは問題ありませんか?」
⇒全体を見てみないと解りませんが…
 腫瘍の中心を外して「偏っている」ということだと想像します。
 ○本当に「上側にある程度の残存のリスク」があるのであれば「再切除」も検討される筈なので、逆に言えば「そうではないと、担当医が判断している」筈です。
 
「詳細を教えていただくのは、失礼なことでしょうか?」
⇒そんなことはありません。
 是非聞いてみましょう。
 
「手術直後は「リンパ転移はありませんでした。」
⇒術中センチネルリンパ節生検で「転移無し」で、術後の「ホルマリン固定」標本で「転移が見つかった」ということですか?
 それであれば、「転移」といっても「微小転移≦2mm」もしくは「2~3mmの小さなもの」の可能性が高そうです。(5mm以上の転移を術中迅速診断で見逃すことは到底考えられません)
 
「今胸のエコーをすると見えるのでしょうか?」
⇒絶対に見えません。
 そんな「手術はありえない」です。
 
「残っていても、上記の治療のどこかで消える(無くなる)可能性はあるのでしょうか?」
⇒勿論です。
 その可能性が高いから「担当医は、再切除は不要」と判断している筈です。(無くなる可能性が無かったら、再切除しか方法が無いわけです)
 
「また術中のセンチネルリンパ節生検と病理検査で変わることはよくあることなのでしょうか?」
⇒上記コメント通りです。
 あまり無いですが…
 「微小転移相当」なのでしょう。
 
「1個転移があったのに3個取っただけで、もっと転移があるのではないのか?とは考えすぎでしょうか?」
⇒考え過ぎです。
 
「pT2N1M0のトリプルポジティブの再発率・生存率を教えてください。」
⇒ 抗HER2療法による術後補助療法(再発予防)の適応となってから年月が浅いのでNewAdjuvant.comでは3年間のデータのみですが…
3年生存率 97%
3年再発率 8%
 
「また断端陰性だった場合との再発の差はどのくらいですか?」
⇒再発は「局所再発」と「遠隔転移再発」に分けてください。
 「局所再発」 差はありますが、「条件が沢山あり過ぎて(特に断端陽性の程度)」それを数値化することは不可能です。
 「遠隔転移再発」 これには差はありません。
○手術直後はいろいろ気になる点が多くて、「気分が落ち込み」がちとなります。
 時間だけが解決します(10年後に、「断端が…とか リンパ節転移が1個」など気にしていると思いますか?)