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断端陽性と言われ悩んでいます

[管理番号:1387]
性別:女性
年齢:49歳
9/14に左乳房一部切除の手術を受け、組織診断の結果、皮膚側断端に、焼却変形を
受けた癌細胞が見られるとの所見でした。
局所の治療方針は、放射線治療か再手術と言う事でしたが、放射線治療で25回+ス
ポット照射5回で勧められていますが、本当に再手術でなくても大丈夫かと心配です。
とても無口な先生で、先生の方から詳しい説明もあまりなく、どう質問したら、私の
心配もなくなるかわからなくなってしまいました。
その他の診断は、
 浸潤癌  1.8×1.0×0.5センチ 硬癌
 HER2陰性
 ホルモン感受性陽性
 10/2よりタモキシフェンを飲んでいます。
放射線治療を受けようと、放射線科の先生との問診で、再手術に引っ掛かりがあるのならと
 時間をもらったものの結論が出ません。
 休み明けの13日に、執刀医と話した後に、放射線科に行く予定になっています。
 
 田澤先生のご意見宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
これは簡単な話です。
執刀医が「どのような意識で手術」をして、今回の結果に「どのような解釈」をして
いるか?です。
これは「執刀医自身」にしか解らないことです。
乳房部分切除(温存術)での「断端評価」には「側方断端」と「皮膚側断端」と「深
部断端(大胸筋側断端)」があり、それぞれは『全く意味合いが異なります』
簡単に言えば、「病理医は(当然ながら手術をしている訳ではなく)顕微鏡で距離を
測っているだけ」なのです。
これがどういうことかというと、「我々、乳腺外科医」は「腫瘍を意識しながら手術
をしている」のです。
当然「皮膚に近い部位」ならば、「それを意識して厚めに切除」しているし、「大胸
筋面に接している」場合は「大胸筋を削ったり」して「断端を確保」しています。
○明らかに「皮膚浸潤があるのに、皮膚を残している」場合や「大胸筋浸潤があるの
に、大胸筋を削らずに、大胸筋膜を残している」場合には追加切除しなくてはなりま
せんが、「皮膚浸潤や大胸筋浸潤は術中に術者が判断できること」なのです。
 それに対し「側方断端」は「乳腺を意識して切離」しても「拡がりは不明」なのです。
★つまり「今回の質問者のケース」では「担当医が皮膚側を意識して残さない様に切
除」しているのであれば、何ら問題はありません。
 病理医には「そのような判断はできない」のです。
是非、「担当医」に「術中に皮膚側を意識して切除しているのか?」確認してください。
全く意識せずに「手術」しているようでは、「再切除」も検討しなくてはなりません。