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断端陰性と放射線治療

[管理番号:846]
性別:女性
年齢:35歳
いつも参考にさせて頂いています。
ステージ1の浸潤性乳管癌(ルミナールタイプ)です。
主治医から術後の説明を受け、
パソコン画面上で摘出した腫瘍の写真を見せて頂いたところ、
摘出した腫瘍を映した写真に赤い線が描かれており、
「ここがガンの部分です」と教えて頂きました。
その写真では、
腫瘍の左右と上部は赤い線が断端から離れた所にあり、
腫瘍の下部の赤い線は断端のギリギリに来ていたのですが、
「切除断端は陰性で、追加切除は必要ない」と言われました。
他の質問者の回答で「腫瘍から安全に離す長さは2cm以上」と
ありますが、自分の場合はどう見ても2cm離れていなかったので、
とても不安になりました。(1cmも離れていないのでは?という感じです)
断端陰性であれば断端から5mm以内にはガンが無いという事と認識していますが、
断端陰性であればガンから2cm離れて切除していなくても大丈夫なものでしょうか?
断端の5mm以内にガンが無ければ断端陰性となりますが、
それならなぜ2cmのマージンを設けるのでしょうか?
また、医師からは「年齢的に放射線を6週間やった方が良い」と言われていますが、
年齢的に局所再発しやすいからでしょうか?
それとも断端がギリギリだから放射線を6週間行っておいた方が安全という
判断だと思われますか?
お忙しいところ大変恐縮ですが、ご回答頂けると幸いです。
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 断端に関しては、少々誤解されているようです。
 「2cmのマージン」とは、あくまでも「触診や画像上の端から2cm離す」ということです。
 なぜ、このようにするかというと、「触診や画像上の端よりも、癌は細胞レベルで(顕微鏡でみると)拡がっている」のです。
 つまり(触診や画像上)「ここが端」と判断したところより「2cm先で切る」と、(顕微鏡でしか認識できない)「癌細胞の拡がりも含まれる」(これで顕微鏡レベルでのマージン陰性となる)
○予め、癌が「見た目よりも、(細胞レベルで)拡がっていることを考慮して(2cm)大きめに」切っているのです。
 結果として「顕微鏡でみて、細胞レベルで5mm以上あれば」断端陰性と判断するわけです。

回答

『断端の5mm以内にガンが無ければ断端陰性となりますが、それならなぜ2cmのマージンを設けるのでしょうか?』
⇒上術した通りです。
 (見た目より)癌細胞が拡がっている事を想定して2cm大きく切っているのです。(これで結果的に、顕微鏡で見ると5mm以内に癌が無い状態となります)
 ♯もしも(見た目より5mmで切っていたら)顕微鏡で見ると「断端陽性」となってしまうでしょう。
 
『「年齢的に放射線を6週間やった方が良い」と言われていますが、年齢的に局所再発しやすいからでしょうか?』
⇒再発と年齢は関係ありません。
 ただ、一般的に「若いと、将来が長い」ので「できるだけ、リスクを最小限にしてあげたい」という気持ちになるのです。
 
「断端がギリギリだから放射線を6週間行っておいた方が安全という判断だと思われますか?」
⇒私は実際に見ていないから解りませんが…
 もしかして「下部が(断端陰性だとしても)断端に近い」という認識が、担当医にあるのかもしれません。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

ご回答ありがとうございました。
断端に関して完全に誤解していましたが、やっとスッキリしました。
担当医は尽力して下さったので責めるつもりはないのですが、
手術というのは普通、全身麻酔をかけた後、あらかじめ超音波検査を行い、
腫瘍が切除範囲の中央に来るように、切除場所にマーキングを施してから
行うものですか?
術後の皮膚にはマーキングの跡は残っていなかったのですが、
マーキングをせずに、感覚?!で切ったからガンが中央に来なかったのでしょうか・・・。
きっと担当医はガンが中央に来るように努力をして下さった事とは思うのですが、
今回の様に左右と上部には余裕があるが、下部はギリギリというように
大きくずれる事は想定内の事ですか?
そもそも断端陰性であれば良い事で、ガンが切除範囲の中央に来る必要は無いですか?
それとも皮膚の一部を切除したから?
ちなみに、術前にあらかじめ言われていた腫瘍サイズと摘出後のサイズは同じで、
「顕微鏡で見たら細胞レベルで拡がっていたからギリギリになった」という
感じではなさそうです。
ステージⅠでリンパ節転移なしなので、
局所再発はそもそも低率で殆ど起こらない様ですが、それは60Gy受けた場合ですか?
それとも50Gyで十分だと思われますか?
2cm以下、リンパ節転移なし、侵襲あり、複数の予後因子が悪い、
右上部に他に小さな浸潤巣あり、という状態なので
特に断端ギリギリである下部の外側の乳房内に
小さな腫瘍が残っているのではないかと心配なのですが
担当医に聞いた所、「追加切除は必要ないから」という回答でした。
たとえ断端陰性と言われていても、心配がある場合(自分が勝手に心配しているのですが)
60Gy/6週の照射にした方が良いですか?先生なら60Gyを勧めますか?
仮に下部が断端ギリギリではなく、ガンが中央に来ていた場合でも、
担当医が言うように年齢的にリスクを最小限にする為に60Gyを勧めますか?
「追加照射の10Gyは影響力が大きく、副作用も強く、整容性に差が出る。
6週間で60Gy照射すると繊維化による乳房委縮が高度になる」
とネットで見てとても心配になっているのですが、
世の中の情報をどこまで信じて良いのかが分からないので、
ぜひ先生にお聞きしたいのですが、
乳房内に小さな腫瘍があるか否かでも違うとは思いますが、
60Gyの放射線をかける事で50Gyに比べてどれ位再発率に差が出ますか?
また、副作用や整容性にはどれ位差が出ますか?
乳房がとても小さいので、貴重な残存乳房がさらに委縮してしまうのかと
放射線の副作用では特に委縮が怖いのですが、
どれ位(見て分かるほど)委縮しますか?50Gyと60Gyでどれ位差が出ますか?
全体が委縮して、追加照射の部分が更に委縮するというイメージですか?
しこりがあった場所は外側上部ですが、委縮しやすい場所ですか?
術後1ヶ月からリュープリン投与とタモキシフェンを服用しています。
放射線は術後約3ヶ月から始める事になると思います。
ホルモン療法中で体は閉経後と同じ状態なので、その状態で放射線を60Gy受けた場合、
ホルモン療法を受ける前の閉経前の状態よりも委縮の程度に差が出ますか?
ネットで放射線による乳腺委縮の症例写真を見てショックを受けてしまいました。
もしも断端がギリギリではなかったら放射線は50Gyで済んだのかな・・・、
そうしたら委縮しなかったのかな・・・と、毎日鬱々していますが、
局所再発は絶対にしたくないのでリスクは最小限にしたいです。
一般的に化学療法を行わない場合は「手術⇒放射線⇒ホルモン療法」という順番で
治療を進めているように見受けられますが、自分は放射線よりもホルモン療法が
先だった事に少々戸惑っています。
担当医は「全身療法を行っていれば局所療法は後でも大丈夫」との事ですが、
放射線は術後8週間以内に受けないと局所再発率が上がると聞いたので
術後3ヶ月後で大丈夫なのかが心配です。
また、ホルモン療法が放射線よりも先になったのは予後が悪いからですか?
長々と大変申し訳ありませんが、ご回答下さると幸いです。
どうぞよろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

回答

「手術というのは普通、全身麻酔をかけた後、あらかじめ超音波検査を行い、腫瘍が切除範囲の中央に来るように、切除場所にマーキングを施してから行うものですか?」
⇒術者によって、いろいろなやり方があります。
 例えば私は「手術当日朝に、病室で(ポータブル超音波を用いて)」マーキングします。
 
「下部はギリギリというように大きくずれる事は想定内の事ですか?」
⇒超音波で見えない(細胞レベルの拡がり)が想定を超えることはあります。
 
「そもそも断端陰性であれば良い事で、ガンが切除範囲の中央に来る必要は無いですか?」
⇒「腫瘍を中央」にくるように切除するべきです。
 この辺も「簡単なようでいて」経験を要するところです。
 
『「顕微鏡で見たら細胞レベルで拡がっていたからギリギリになった」という感じではなさそう』
⇒「画像診断から外れている」ようであれば、術者の技量に問題があるのかもしれません。(実際のところは不明ですが…)
 
『局所再発はそもそも低率で殆ど起こらない様ですが、それは60Gy受けた場合ですか?それとも50Gyで十分だと思われますか?』
⇒断端陰性であれば、50Gyでも十分でしょう。
 ただ、江戸川病院のように(放射線科医の方針で)「断端の状態にかかわらず一律」60Gyにすると言う考え方があるので、考え方次第だと思います。
 当院では(上記のように、全ての温存患者さんが60Gyかけていますが)何ら問題はないのですから。
 
「60Gy/6週の照射にした方が良いですか?先生なら60Gyを勧めますか?」
⇒上記のように、私は50Gyでいいと思います。
 ただ放射線にかんしては、(当院の信頼厚い放射線科医が)「腫瘍床には全例10GyBoostするべき」という考え方なので、そう言う意味では60Gyでも何ら問題はない(副作用の点で)と思っています。
 
「年齢的にリスクを最小限にする為に60Gyを勧めますか?」
⇒「年齢的な理由」という考え方は私にはありません。
 
『「追加照射の10Gyは影響力が大きく、副作用も強く、整容性に差が出る。6週間で60Gy照射すると繊維化による乳房委縮が高度になる」』
⇒私は直に、全例60Gyの患者さんを沢山目にしているので、その情報が誤りであることを知っています。
 ♯ただし、当院の放射線が「トモセラピー」であり、「放射線科医も優秀」であることを割り引いて考えなくてはならないかもしれませんが…
 
「60Gyの放射線をかける事で50Gyに比べてどれ位再発率に差が出ますか?」
⇒殆ど無いでしょう。
 そのような臨床試験は存在していないと思いますし、そもそも「局所再発は低率」なので実感としても全くありません。
 
「副作用や整容性にはどれ位差が出ますか?」
⇒上記でコメントしたように、殆ど無いと思います(当院はトモセラピーですが…)
 
「どれ位(見て分かるほど)委縮しますか?50Gyと60Gyでどれ位差が出ますか?」
⇒上記でコメントした通りです。 殆ど差はありません。
 
「ホルモン療法を受ける前の閉経前の状態よりも委縮の程度に差が出ますか?」
⇒それはありません。
 
『「手術⇒放射線⇒ホルモン療法」という順番で治療を進めているように見受けられます』
⇒私は放射線照射よりも先に始めています。
 ホルモン療法は「放射線や抗がん剤と併用」しても何ら問題無いのです。
 
「放射線は術後8週間以内に受けないと局所再発率が上がると聞いた」
⇒それは誤りです。
 術後5カ月以内に開始すればいいのです。
 
「また、ホルモン療法が放射線よりも先になったのは予後が悪いからですか?」
⇒違います。
 
 「ホルモン療法を先に開始する」事は理に適っています。当然の事なのです。
 
 

 

質問者様から 【質問3 断端陰性と放射線治療】

何度も大変申し訳ありません。
また、ご回答と行き違いになっていたら申し訳ありません。
断端近接だと局所再発率が断端陰性の倍くらいになるとネットで知り、
自分も本当は断端近接ではないのかとますます気になって
何も手に付かず、眠れずにいます。
こんなにも心配している位なら、病院にその写真(癌の部分を赤い線で描いてある物)
を貰い(購入)に行こうかとも考えたのですが、(これはさすがにやりすぎですか?)
以前、術後治療の決断を迫られた際、大まかな説明だけでの決断は難しかったので、
詳細が知りたくて術後の病理検査の結果のコピーが欲しいと言いに行った所、
「もう伝えたから」と言われて頂く事が出来なかった為、
きっと今回も無理だろうと躊躇しています。
また、技術を疑ったり、否定しているようで、失礼にならないかも心配ですし、
担当医の気分を害して今後の長い治療・診察に影響が出たりしないかも心配です。
(そんな医師ではないとは思いますが)
自分だけでなく相手(担当医)の気持ちもある事なので、
自分が何をすれば良いのか(して良いのか)分からなくなってしまいます。
例え、写真を入手した所で素人が見ても分かりませんし、
仮に現時点で本当に断端近接ということが確定していて、病院は事実を知っていても
担当医に回答を迫ったとしても今までの経験上、
恐らく「断端近接」とは答えてくれないかな・・・と推測しています。
ただ、局所再発の確率が知りたいので、完全な断端陰性なのか、断端近接なのかを
ハッキリさせたいのです。
第三者からしたら心配し過ぎているという事は十分承知ですし、
もしも断端近接だと分かった所で追加切除は不要と言われている上、
もちろん自分も再手術はしたくありません。
ただ、個人的には「局所再発なら命に関わらないから」という問題ではないので
局所再発をとても恐れています。
担当医が追加照射を勧めているのは「断端近接だから?」と思うのではなく、
本当に「年齢を考慮してくれているから」と素直に信じれば
良いのですが、これまでも色々あったもので・・・。(良い医師なのですが)
断端近接であるかを追及する事よりも今後何が出来るかを考えるべきですよね?
一応断端陰性と言われているので、仮に断端近接だとしても
ここまで局所再発を心配する必要はありませんか?
もしも断端近接だとしても追加照射をすれば局所再発率は下がりますか?
先生の患者さんにも断端近接で追加照射をされた方はいらっしゃいますか?
最小限の切除で済んだと言われましたが、折角貴重な脂肪を取ったのに
大きな窪みと不安が残った事が残念で心が沈んでいるので、
早く解決して前に進みたいです。
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 質問者のおっしゃるように、回答は「前回の回答とダブる」内容とはなりますが、御容赦ください。

回答

「一応断端陰性と言われているので、仮に断端近接だとしてもここまで局所再発を心配する必要はありませんか?」
⇒担当医を信じてもいいと思います。
 実際には「局所再発」は殆どないのです。
 
「もしも断端近接だとしても追加照射をすれば局所再発率は下がりますか?」
⇒局所再発の70%は「腫瘍が元あった部位(=腫瘍床といいます)」に起こります。
 
 そう言う意味では当然、確率を低下させると思います。
 「大規模臨床試験」としては無くても、施設レベルでの「そのような報告」は散見されます。
 
「先生の患者さんにも断端近接で追加照射をされた方はいらっしゃいますか?」
⇒いらっしゃいます。
 (温存乳房内再発自体、非常に少ないですが)そのような患者さんが「特に再発する」という認識は全くありません。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

【回答2】と【質問3】がすれ違ってしまった為、
回答に対する質問のつじつまが合わなくなってしまい申し訳ありません。
【回答2】に対してです。ご回答下さりありがとうございました。
沢山質問をしてしまいましたが、一つ一つ丁寧に詳しく教えて下さり、
大変助かりました。ありがとうございます。
田澤先生は根拠を説明して下さるので納得がいきます。
やはり腫瘍は中央に来るべきなのですね・・・。
いくら断端陰性と言われていても、写真を見てしまった以上
手放しに喜べないというか、複雑な気持ちで不安が募ります。
断端ギリギリの下部には針生検の針が通った道や穴があるので
なおさら下部が断端ギリギリな事が心配なのですが、
断端陰性と言われているので、断端ギリギリでも針生検の跡があっても
放射線(50Gy)をかけていれば再発の心配はしなくて大丈夫ですか?
「局所再発は低率」には、断端近接(ギリギリ)の方も含まれていますか?
貴院で手術を受けられた方だけでなく、
他院で手術を受けた「断端近接でも低率」と考えて良いですか?
局所再発は低率で、50Gyと60Gyで再発率に殆ど差が無いという事は
①断端陰性で50Gy、断端近接で50Gyかけた場合
②断端陰性で50Gy、断端近接で60Gyかけた場合
③断端陰性で60Gy、断端近接で60Gyかけた場合
①~③ではどれも再発率に差はありませんか?
例え断端ギリギリでも、断端陰性の診断であれば浸潤、近くに病巣がある、再発
という確率は低いですか?
先生からしたら「断端ギリギリでも断端陰性なのだから大丈夫だよ。
何を心配しているの?」という状態ですか?
自分が断端近接なのか否かを確認したい気持ちがありますが
陰性なのか近接なのかハッキリさせる事はあまり意味のない事ですか?
もしもご自身が執刀した患者が、腫瘍が中央にない事を心配し、
「自分は断端近接ではないか?」
「腫瘍に赤い線を描いた写真を確認したい」
と言ってきたら医師としては嫌な気持ちになりますか?
断端陰性であれば(断端ギリギリですが)50Gyでも十分と言う事、
50Gyと60Gyに再発率に殆ど差が無い事、
貴院では全例60Gyかけるという事、60Gyでも副作用の問題はないという事から、
どちらを選んでも大丈夫と言う事かな・・・と心が軽くなりました。
腫瘍床の近くに再発する事が多いという事を聞いていますし、
乳房委縮の心配がないのであれば、追加照射で安心を得たいですが、
病院のHPで確認した所、残念ながらトモセラピーではありませんでした。
IMRT(強度変調放射線治療)やIGRT(画像誘導放射線治療)を行っているようですが
併用かは不明ですし、CTとも一体化しているトモセラピーの様な万能な機械では
なさそうです。
トモセラピーでない場合でも60Gy照射で乳房委縮が起きる人は稀だと思われますか?
委縮が起きる方は照射量に関係なく、体質ですか?
治療の順番が正しい事が分かり安堵致しました。ありがとうございます!
 

田澤先生から 【回答4】

 こんにちは。田澤です。
 手術と術後の放射線治療については「様々なケースが混在している」ので、個々の症例で「かなりのバリエーション」があることに注意が必要です。
 その意味で、この分野での回答には「多分に私自身の経験」で行っている事に御容赦ください。

回答

「断端ギリギリでも針生検の跡があっても放射線(50Gy)をかけていれば再発の心配はしなくて大丈夫ですか?」
⇒大丈夫だと思います。
 放射線照射後の局所再発のデータの殆どは「欧米で行っている円状切除」であり、「日本での温存治療」とは手術の精度が異なると思っています。
 
『「局所再発は低率」には、断端近接(ギリギリ)の方も含まれていますか?』
⇒含まれています。
 断端近接で「Boost照射」をしている人なども全て含まれている話です。
 
『他院で手術を受けた「断端近接でも低率」と考えて良いですか?』
⇒他院の事は正直、解りません。
 そのように思っていますが…
 
「局所再発は低率で、50Gyと60Gyで再発率に殆ど差が無い」
⇒話を整理しますと私は
 東北○済病院時代 断端陰性:50Gy, 断端陽性:60Gy
 江戸川病院(現在)全例:60Gy
この中での「差がない」というのは「断端陰性で50Gyと断端陽性で60Gyで差が無い」と言う事です。
 ♯江戸川病院では「断端陰性で60Gy照射」していますが、さすがに「ここで手術してから1年しか経っていないので再発は当然ありません」
 しかし、術後1年で再発が無いのは当たり前なので、「断端陰性で50Gyと断端陰性で60Gyの比較はできない」のです。
 
「①~③ではどれも再発率に差はありませんか?」
⇒上記のように③は(現時点では)全く比較しようがありません。
 ①も②も差は無い(自症例では)です。
 
「断端陰性の診断であれば浸潤、近くに病巣がある、再発という確率は低いですか?」
⇒確率は低いです。
 
『先生からしたら「断端ギリギリでも断端陰性なのだから大丈夫だよ。何を心配しているの?」という状態ですか?』
⇒(経験上から)大丈夫だと思います。
 
「陰性なのか近接なのかハッキリさせる事はあまり意味のない事ですか?」
⇒意味の無いことではありません。
 自分の状態を「より深く理解しようとすること」はとても重要なことです。
 
『「自分は断端近接ではないか?」「腫瘍に赤い線を描いた写真を確認したい」と言ってきたら医師としては嫌な気持ちになりますか?』
⇒そんな事はありません。
 患者さんには「納得して」治療を受けてもらいたいと思います。
 
『トモセラピーでない場合でも60Gy照射で乳房委縮が起きる人は稀だと思われますか?』
⇒これは、私が仙台時代の症例となりますが…
 その際の記憶をひっくり返しても、「Boostしたことで、凄く委縮した」という印象は全く無いのです。
 
「委縮が起きる方は照射量に関係なく、体質ですか?」
⇒全く詳しくない分野ですが…
 「皮下脂肪の血流を保つような丁寧な手術をしているか?」も関わってきそうです。
 
 

 

質問者様から 【感想5】

【質問2】と【回答3】が行き違いになってしまい、質問がダブってしまった事、
心配や不安の気持ちが先行し、先生の貴重なお時間に手を煩わせていまい
大変申し訳ありませんでした。
【回答3】【回答4】についてです。
お忙しい中、丁寧にご回答下さりありがとうございました。
局所再発や追加照射による晩期障害(乳房委縮)
の恐怖に怯えて、不安でたまらず神経質になっていたのですが、
例え断端近接だったとしても50Gyで十分で、局所再発の心配はいらないとの事、
また、50Gyでも60Gyでも再発率は変わらないという事、
ブーストしたとしても凄く委縮するわけではないとの事、
大変安堵致しました。
多くの症例を見ていらっしゃる田澤先生の言葉には説得力があり、
安心感があります。
先生のお陰でようやくスッキリした気持ちになる事ができました。
心から感謝致します。
先生がおっしゃるように、主治医を信じます。
この度は本当に本当にありがとうございました!