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術後の治療方針について

[管理番号:3320]
性別:女性
年齢:53歳
左乳房下内側部乳ガンで6月下旬に全摘手術を受けました。
術前の針生検の結果、ER陽性、PR陽性、HER2陰性、Ki67陽性率15%
PETCT遠隔転移なし
術後病理検査の結果 TNM病期分類 IIA期
(pT1, pN1a, cM0, pStage IIA)
リンパ節転移個数 2個
(センチネルリンパ節=2/3, レベル1=0/8)
浸潤径19×11mm, 核グレード1, 組織学的悪性度2, 脈管侵襲1y0, v1 ER100%, PR100%, HER2(1+), Ki67陽性率32.4%
腫瘍が大胸筋膜に接していたため、大胸筋も少し切除し、断片面は陰性でした。
術後の治療は、ホルモン療法(アナストロゾール錠1mg内服中)、放射線療法(未実施)左胸壁とリンパ節領域 50グレイ/25回が確定しています。
その他、化学療法についても説明があり、主治医は「抗がん剤治療を使うか否かは意見が分かれるところです。
この病院では積極的に勧めていません」と仰いました。
放射線療法は自宅近くの病院で行うことになっているのすが、「放射線療法のこともありますが、今後再発した場合は地元の病院で診て頂くことになるので、紹介状を書きますから その先生の意見も聞いてください」と言われました。
主治医が積極的に勧めないのであれば、化学療法による治療の上乗せは少ないのではないかと推測したのですが、先生のご意見をお教えください。
宜しくお願いいたします。
また、地元の病院の診察予約は9月以降にならないととれないそうで、
予約外も8月(中旬)日以降にならないと受け付けないとのことです。
今後の治療開始が遅れることで、再発や予後への影響が心配です。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1c(19mm), pN1, luminal
「抗がん剤治療を使うか否かは意見が分かれるところです。この病院では積極的に勧めていません」
⇒(術後の)ki67=32.4%は「ルミナールB」となり「化学療法の適応」がでてきます。
 勿論「luminal typeだからホルモン療法が主役」という考え方でも問題はありません。
 ただ、「OncotypeDXをしない」のであれば、(つまり、このデータだけでは)「化学療法を勧める義務がある」と私は考えます。
 
「主治医が積極的に勧めないのであれば、化学療法による治療の上乗せは少ないのではないかと推測したのですが、先生のご意見をお教えください。」
⇒質問者は「核グレード1」だし、実際はルミナールAの可能性もありそうです。
 可能であれば「OncotypeDX」を勧めます。
 ♯3301抗がん剤治療『 「OncotypeDXによる分類」と「ER, PgR, HER2, Ki67の免疫染色による(簡易的)サブタイプ分類」と「本来のサブタイプ分類(intrinsic
subtype)」の関係』を参照してください。
 
「地元の病院の診察予約は9月以降にならないととれないそうで、予約外も8月(中旬)日以降にならないと受け付けないとのことです。今後の治療開始が遅れることで、再発や予後への影響が心配」
⇒その程度の時間差は全く気にする必要ありません。