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左乳房の右上の一部に圧痛?が続く

[管理番号:37]
性別:女性
年齢:34歳
ここ1ヶ月位、乳房の右上一部に押されたような痛みがあります。
もともと左上は右よりも乳腺が張っているような感じなのですが、乳癌ではないかと不安でたまりません。
10ヶ月前の乳癌検診では異常が、無しだったのですが、一年足らずで乳癌の症状が出ることもあるのでしょうか??
 

A.回答

 こんにちは。田澤です。
 乳房痛は多くの方が悩まれている症状ですが、それが左右差があったり、今回のように「右上の一部」のように部位が狭く限定されてくると「そこに何かあるのでは?」と気になる事と思います。
 さっそく回答します。

回答

「乳癌なのか?」
⇒乳癌の可能性は低いと思います。
 乳房痛の原因の殆どは「乳腺症」です。
 乳腺症は女性ホルモン(エストロゲン)分泌が大きく関わっています。
 一般に生理前には乳腺全体に「張りと痛み」が出る事が多いですが、実際に診療していると、「片方だけが痛い」とか、特定の部位「ここだけが痛い」というような方も決して珍しくはありません。
 ※乳房痛に関してては「トップページ」の「乳腺の良性疾患」を参照してください。
 
・線維腺腫などのような女性ホルモンの影響を強く受ける良性腫瘍も時に乳房痛の原因となりますが、その場合は痛みよりは「しこり」として認識されます。
 
「10か月前の乳癌検診で異常なしだったのが、乳がんになる事がなるのか?」
⇒ありえます。
 10か月前の乳癌検診で「乳癌検診で異常なし」というのはあくまでも、その時点で「検査で指摘されるような所見が無かった」という事であり、絶対に異常なしという意味ではありません。
混乱を招くような言い方をしてすみません。
 
 この機会にもう少々、説明します。
 超音波では3mm以下の病変は解りません(超音波は術者の技量に大きく左右されるので3mmとは限らず、5mm位で無いと診断できない施設も多いのが実情です。)
 一方、マンモグラフィーでは5mm以下の病変は解らない事が多い(マンモの場合は術者の技量は関係無く、むしろ撮られる側の乳腺の状態に左右され、40歳以下の若年者では1cmの病変が解らないことも多々あります)
 それでは、(より小さい病変が検出できる)超音波の方がマンモよりも優れているのかと言われれば、必ずしもそうではありません。
 
◎超音波検査は術者の技量によっては、とんでもない見落としの可能性もありますし、マンモでしか解らない「石灰化」という所見もあるからです。
 
●検診は通常1年ごとに行われますが、その間に乳癌が見つかる事もあり、それは決して珍しい事ではありません。
 これを「中間期乳癌」と呼んでいますが、要するに「先の検診で見落とされた(所見が取れなかった)病変が、数か月かけて大きくなってきた」ということです。
 

参考にしてください。

 (様々なことを書いて、やや混乱させてしまったかもしれませんが)まとめますと、症状からは乳腺症が疑われます。
 
 ただ、10か月前の乳癌検診で異常なし。という事自体は参考にはなりません。
 小さな病変がある可能性は否定できないのです。
 「乳房痛」だけであれば、経過を見ていいと思いますが、もし「しこり様に触れる」際には、是非「乳腺外科」を受診してください。
 その際には、マンモグラフィーよりも超音波検査が有効であり、その際には結論として「乳腺症なのか? 腫瘍なのか?」をきちんと医師に説明してもらってください。