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病理検査結果

[管理番号:414]
性別:女性
年齢:59才
○○そちらに、手術後の病理検査の結果と今後の治療方針についてのお話を伺いに受診したものです。
ルミナールBとのことで、早速本日からアリミデックスを飲み始め、○月には抗がん剤治療が始まることになりました。
昨日はこれから始まる抗がん剤のことで頭がいっぱいになって、これからの治療もことだけを先生にお聞きしましたが、自宅に帰ってから良く病理検査の結果を読みましたらあまりに悪い結果ばかりでとても不安になりました。
針生検(他病院でうけた)と手術後の病理検査の結果がかなり違っていて、腫瘍径2.2cm→2.9cm、浸潤性乳管癌→充実腺癌、ki67が65%→75%とかなり悪い結果になっていました。さらに異型度、分裂度、悪性度など全てグレード3。
また、断端マイナス、リンパ節転移なし、ly0 ですがv1というのもとても恐怖です。
「充実腺癌の中には扁平上皮ガン類似形態を呈する成分が混在します(腫瘍全体の約3割)」と書かれてあったのもとても不安です。
調べてみましたら扁平上皮癌は悪性度がとても高いとありました。類似形態とはガンということですか?
針生検から手術までの一か月で腫瘍が7ミリも大きくなったり、全てのグレードが3で悪性度が非常にたかいので、よほど増殖スピードの高い悪い癌なのでしょうか?再発のリスクはよほどたかいのでしょうか?
次に先生にお会いするのはだいぶ間があるので、ここで質問させていただきました。
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 病理組織結果の詳細が気になるのは無理からぬ事だと思います。
 ただ針生検の結果と「摘出標本の病理結果」が「かなり異なる」というのは誤解です。
 (浸潤径については、誤解の無いようにお話ししたつもりでしたが)もう少し細かく説明すべきだったかもしれません。

回答

「腫瘍径2.2cm→2.9cm」
 これは、2.2cmというのは画像診断(超音波)による計測であり、2.9cmというのは「顕微鏡での腫瘍細胞の範囲」です。
 「顕微鏡での拡がり」は「超音波で見ることは不可能」であり、事なるのは当然なのです。
 それを予め考慮して「大きめに切除」しているのです。
 
「浸潤性乳管癌→充実腺癌」
⇒これは全くの誤解です。
 浸潤性乳管癌は、「充実腺管癌」と「硬癌」と「乳頭腺管癌」の3つに分けられます。
 つまり浸潤性乳管癌(充実腺管癌)となります。 針生検では、そこまで細かい記載が無かったというだけです。
 
「ki67が65%→75%」
⇒これは、「針生検では病変の一部しか反映していない」のに対し「手術標本では病変全体を反映」しています。
 病変の評価としては75%が正しい数値と言えます。
◎「針生検」よりも「高くなることも、低くなる事も」あります。
 「全く同一」というのは「余程の偶然」が無い限りはありません。
 
「異型度、分裂度、悪性度など全てグレード3」
⇒針生検のレポートを再度確認しましたが、「針生検の標本では、そこまで細かい記載がありません」
 内容としては「分裂度」は「核分裂」を示すので「ほぼKi67」と同意義となります。
 
「断端マイナス、リンパ節転移なし」、ly0 ですがv1」
⇒浸潤径は2.9cmでしたが「大きめにマージンを取っているので」余裕をもった切除となっています。(断端マイナス)
 センチネルリンパ節術中陰性(リンパ節転移なし)
 
「ly0 ですがv1」
⇒0~3までの4段階での評価なので「決して高くはない」数値です。
 
「充実腺癌の中には扁平上皮ガン類似形態を呈する成分が混在します(腫瘍全体の約3割)」
⇒病変全体が「扁平上皮がん」という訳ではありません。
 もし純粋な「扁平上皮がん」であれば、「トリプルネガティブ」となっていたでしょう。
 特に悪性度が高い訳ではありません。
 
「類似形態とはガンということですか?」
⇒「顕微鏡での見た目」が「扁平上皮がん」に「似ている」という記載です。
 
「針生検から手術までの一か月で腫瘍が7ミリも大きくなったり」
⇒(前述したように)『大きくなった訳ではなく、超音波での測定と顕微鏡での測定の違い』だけです。
 
「全てのグレードが3で悪性度が非常にたかいので、よほど増殖スピードの高い悪い癌なのでしょうか?」
⇒「増殖スピートでついては完全な誤解」です。
 目に見えるほどの違いはありません。
 核異型度3というのはKi67を反映してますので「化学療法が効果的」である事は予想されます。
◎ご自分の状態「結果」を正しく理解することは大事な事です。
 きちんと向き合って、化学療法を頑張りましょう。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

昨日の質問に今朝一番でご回答を下さって本当にありがとうございます。
もうすぐ始まる抗がん剤治療のことで、自分の気持が少し不安定になっているのかもしれません。
病理検査結果をお聞きしてその時は納得していたのに、自宅に帰ってからいろいろな心配が頭をよぎって眠れなくなっていました。
次の診察まで待てない気持ちで質問してしまいましたが、大変お忙しい中でもこのように答えて下さる先生に感謝でいっぱいです。 
このように何でも質問できる先生に診ていただいている私は幸せだと思いました。
核異型度などのグレードやki67の数値が高いことで、再発リスクが高いと悲観していましたが、「化学療法 が効きやすいと予想されます」とのことを信じて、これから始まる抗がん剤治療を頑張ります。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 「化学療法」のことに意識がいくのは当然のことだと思いますが、あくまでも「luminal B」のターゲットは「ホルモン療法」なのです。
 化学療法は3か月で「あっという間」に終わります。
 それよりも「長く継続される」ホルモン療法の方が大事なのです。
 
◎悩む状況では全くありません。「やるべき治療」をがんばりましょう。