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部分切除+センチネルリンパ生検の傷口の大きさについて

[管理番号:3324]
性別:女性
年齢:43歳
このような質問の機会の場を頂き有難うございます。
【経緯】
健康診断のマンモで二次検査となり、その結果、石灰化は問題なしと言われましたが、念のため超音波を勧められ受けてみたところ4mmの腫瘍が見つかり、
病理検査の結果(乳腺針生検4本)、悪性との判断が7月○日に下されました(常勤先でないクリニック)。
組織所見のコメント欄には以下の記載があります。
・硬癌主体の浸潤癌が認められます
・核異型度 Grade1 (NA2,MI1)
・脂肪織浸潤(+)
・DCIS巣(+)
・HercepTest スコア0 切片上の腫瘍細胞で細胞膜にHER2陽性を示
すものはみつかりませんので、スコア0と判定します
・ER(+) 90%以上の腫瘍細胞核に陽性です
・PgR(+) 90%以上の腫瘍細胞核に陽性です
(クリニックにて)
翌日7月1○日にMRI、1○日にCT撮影(骨盤を撮影)を行いました。
(月経困難症で39歳から43歳11か月までヤーズ1年およびルナベルを服用)
(常勤先にて)
7月2○日にMRI/CTの結果を待って正式な診断が下され、
8月○日に手術を受けることが決まっています。
【病状】
T 1a N 0 M 0 stage1
腫瘍の大きさ4mm×4mm
乳管内伸展なし
乳房内転移なし
リンパ節転移なし
遠隔転移なし
【手術】
部分切除+センチネルリンパ生検
術後に25-30回の放射線治療
【ご質問】
素人ながらに調べた限りではガイドラインに則った、しかるべき治療であると理解していますが、
その後調べて疑問に感じたことが以下2点です。
・腫瘍の位置が乳輪のごく近く、ほぼ上ですが、切開をセンチネルリンパ生検のためのものと2つにするか、つなげて1つにするかを入院前日(8/○)までに
 決めると言われていたことが気がかりです。
 腫瘍は1つと言われておりまして、複数あるのであれば大きく切るのは理解できるのですが。
必要なしに大きく切ることは勿論ないと思いますので、
 説明を受けた際の理解が足らなかったのかもしれません。
 患部を中心に2センチほど円形にくりぬき、脂肪を寄せてきて形成する、との説明もありましたので、脂肪を寄せるために、
 切開をつなげて1つにすることもあるのでしょうか。
・術後のホルモン治療は必要ないかもしれないと言われましたが、その根拠も知りたいです。
(閉経前、現在43歳11か月)
お忙しい中、恐縮ですが何卒よろしくお願い致します。
また上記の治療方針などで先生のお考えと違う部分がありましたら教え
て頂けますと幸いです。
 

田澤先生からの回答

今日は。田澤です。
pT1a(4mm), pN0, luminal
(超音波で偶然発見された)完璧な早期癌です。
「・腫瘍の位置が乳輪のごく近く、ほぼ上ですが、切開をセンチネルリンパ生検のためのものと2つにするか、つなげて1つにするか」
⇒これは絶対に「2つにすべき」です。
 特に「センチネルリンパ節生検」に関しては「真上から最短距離」に摘出した方が「余計な組織損傷が最小限に抑えられる」のです。
 これを「乳腺からの延長」で行おうとすると、「センチネルリンパ節に到達するまでに長い距離となり、その分余計な組織損傷の原因となる」のです。
「脂肪を寄せるために、切開をつなげて1つにすることもあるのでしょうか。」
⇒不必要です。
「・術後のホルモン治療は必要ないかもしれないと言われましたが、その根拠も知りたいです。(閉経前、現在43歳11か月)」
⇒これは単純に「浸潤径」姿第ということです。
 「4mmの浸潤癌」となっていますが、実態は「4mmの病変の中に浸潤部分と非浸潤部分がある」ようです(針生検結果からは)
 つまり(可能性として)「4mmの腫瘍の大部分は非浸潤で浸潤部分はごく一部(微小浸潤:1mm以下)」と言う可能性もありうるのです。(その場合にはホルモン療法しないという選択も当然でてきます)
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生こんにちは。
手術前は不安に対し
質問の答えをいただき
ありがとうございました。
8月上旬に手術をうけまして
先生からご回答の通り
切開は2つで、無事に終了しました。
* 患部は乳輪にそって横に7センチ
* リンパは4センチの切開でした。
術後17日目で仕事復帰し、仕事をしながら
9月より放射線治療開始の予定です。
———————————————-
部分切除
センチネルリンパ節生検
閉経前
浸潤癌(硬癌)
病理学的腫癌径0.6×0.6cm
乳腺断端-
皮膚浸潤-
筋層浸潤-
脈管浸潤、リンパ管-、静脈管-
核グレード1
センチネルリンパ節-、0/1個
ホルモンレセプター発現、高
ER+、allred score total 8
PR+、allred score total 8
HER2/neuタンパク発現、低
IH法、0
Ki67、低
ルミナールA
ステージⅠ
———————————————-
内分泌療法は省略しても良い
とのことでしたが
推奨したい術後補助療法として
説明をうけた
lh-rh アゴニスト注射は
12週間ごと
2年間うける気持ちです
———————————————-
質問
1. タモキシフェン(ノルバデックス)の内服をしない場合、再発リス
クは、どの程度あるとお考えでしょうか。
2. 切開した患部周辺は、かたく、乳房本来の柔らかさが無いですが、
柔らかくなるでしょうか。
どのくらいで柔らかくなるでしょうか。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
pT1b(6mm), pN0, luminalA
完璧な早期癌です。
「内分泌療法は省略しても良いとのことでしたが推奨したい術後補助療法として説明をうけたlh-rh アゴニスト注射は12週間ごと2年間うける気持ちです」
⇒なぜ(タモキシフェン無しの)「LH-RHagonist単独」を推奨しているのか理解できません。(子宮体がんのリスクを回避するという狙いでしょうか? 虻蜂取らずとなってしまいます)
 ①LH-RHagonistはあくまでも(タモキシフェンの)「併用」としての立ち位置であり、「LH-RHagonist単独療法」という使い方はありません。
 ②ASCOの新しいガイドラインでもSOFT試験の結果からも「44歳、超早期癌」でLH-RHagonistを併用することはありません。
「1. タモキシフェン(ノルバデックス)の内服をしない場合、再発リスクは、どの程度あるとお考えでしょうか。」
⇒Neoadjuvant.comでは14%となりますが…
 そんなには無さそうです。
「2. 切開した患部周辺は、かたく、乳房本来の柔らかさが無いですが、柔らかくなるでしょうか。どのくらいで柔らかくなるでしょうか。」
⇒それは皮弁(皮膚)に「どの程度、(皮下)脂肪を残して手術できるか?」にもよるので一概には言えません。
 いずれにせよ、これから放射線照射が始まるので、「放射線照射終了してから半年」はその影響で浮腫むことになります。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

田澤先生こんにちは。

言葉足らずの質問をしてしまい、申し訳ありません。
⇒タモキシフェン無しの、「LH-RHagonist単独」は
私が希望しました。
まずはじめに
術後説明として
病理学的腫癌径0.6×0.6cm
ルミナールAで
化学療法追加、内分泌療法は、省略してもよい。
との説明がありました。
その後
推奨したい術後補助療法として
*放射線治療
*LH-RHアゴニスト
*タモキシフェンの説明がありました。
詳細として
タモキシフェンを服用すると更年期、肝障害、子宮などへの影響がありLH-RHアゴニストだけでも、エストロゲンをブロックする、効果はあると、加えて説明がありました。
当初は*3つとも受ける気持ちで
処方箋もいただきました。
ところが薬剤師さんから
タモキシフェンを飲み始めるまえに読むようにと、冊子をもらい帰宅して熟読したところ
子宮への影響が思ったよりある記載を読んで
化学療法追加、内分泌療法は、省略してもよい。
との説明もあった背景から
飲むことができなくなりました。
———————————————-
部分切除
センチネルリンパ節生検
閉経前
浸潤癌(硬癌)
病理学的腫癌径0.6×0.6cm
乳腺断端-
皮膚浸潤-
筋層浸潤-
脈管浸潤、リンパ管-、静脈管-
核グレード1
センチネルリンパ節-、0/1個
ホルモンレセプター発現、高
ER+、allred score total 8
PR+、allred score total 8
HER2/neuタンパク発現、低
IH法、0
Ki67、低
ルミナールA
ステージⅠ
———————————————-
もともと
子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症を持っていて
その進行をおくらせるために
乳がんのリスクを承知で
5年ルナベルを服用して
実際に乳がんになってしまったので
また
5年タモキシフェンを飲んで
今度は子宮がんになったら、と思うと怖くて飲めなくなりました。
婦人科の先生へ相談したところ
体癌の発生を心配するよりも
4割、乳がんの再発を抑えるというデータがあるので
タモキシフェンを飲んだらいいと思います、と言われました。
ただし、私の場合、子宮の状態がもともとよくないので
通常は1年ごとのところ
半年ごとに体癌の検査をする必要があり
出産経験が無いため(子宮口が開いたことが無いため)
子宮口を開いてガリガリすると
おそらく痛いが
麻酔はしません、との説明がありました。
年に2回も
乳がんのリスクを承知で
守ってきた子宮を
子宮口を開いてガリガリされると思うと
麻酔無しではとても受ける気持ちになれませんでした。
そのため
家族とも相談し
乳腺外科の先生へその経緯をお伝えし
⇒タモキシフェン無しの、「LH-RHagonist単独」を私が希望しました。
田澤先生からの
虻蜂取らずとなってしまいます
との回答を拝見し
再発の心配もありますが
タモキシフェン(ノルバデックス)の内服をしない場合、再発リスクは、
⇒Neoadjuvant.comでは14%となりますが…
 そんなには無さそうです。
との回答を拝見し
希望も持てました。
また、
乳房がかたいのは
浮腫みと判り安心しました。
肌着の食い込み痕も気になっていたので
「放射線照射終了してから半年」はと目安に理解して
しめつけの少ない肌着をつけて
乳房を守りたいと思います。
貴重なお時間をいただき
大変ありがとうございました。
(質問:通常、子宮体癌の検査は麻酔なしでしょうか。
専門外ですみません。
江戸川病院様の場合はいかがでしょうか。)
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
LH-RHagonist単独治療の理由は解りました。
ただ、子宮体癌の検診については解りません。