多遺伝子アッセイ
● 遺伝子発現を細かく解析し、再発リスクをより正確に評価し、個々の患者さんに適合した治療法を選択することを目指して開発
- 腫瘍から組織を一部採取し、特定の遺伝子発現を解析することでリスク分類を行い予後予測や、化学療法効果予測に用いる。
- 従来のサブタイプ分類(ER, PR, HER2, Ki67)と病理学的因子(腫瘍径、リンパ節転移個数)などで、中間リスクとなり化学療法を追加すべきか迷う場合に特に有用である。
⇒これを用いる事で不要な化学療法の30%程度を避けられる。との報告がある。 - 日本では未承認(保険適応ではない)であり、高額な自己負担となる。
- エビデンスが高いものにはOncotype DXとMammaPrintがあり、これらは乳癌診療ガイドラインで推奨度C1 となっている。
(参考) MammaPrint と Oncotype DXの比較
MammaPrint | Oncotype DX | |
解析遺伝子 | 70 gene 解析 | 21gene(16癌関連、5対照) |
検体 | 生検体 or 凍結 | ホルマリン固定パラフィン包埋 |
検査法 | DNAマイクロアレイ | RT-PCR |
適応 | 61歳以下、ERにかかわらず n-(stageⅠ/Ⅱ) or n+(n1-3個) |
①ER+ n-(stageⅠ/Ⅱ) ②ER+ n+(stageⅡ/Ⅲ) 閉経後 |
表現 | 術後5年以内の転移有無を基準として高リスク群と低リスク群に分ける | 0-100のRS(recurrence score) 低リスク群 (RS 0-17) 中間リスク群(RS 18-30) 高リスク群 (RS 31-100) |
検証 | 【予後予測因子としての検証)】 53歳以下stageⅠ/Ⅱ,n+144例を含む295例で10年後無転移は低リスク群で85.2%, 高リスク群では50.6%であり、統計的に独立した予後因子 |
【予後予測因子としての検証】 ①TAM投与のstageⅠ/Ⅱにおいて低RS群は高RS群に比較して有意に予後良好(p<0.001)(NSABP B-14試験における検討) ②75歳未満ER+n-にてTAM投与非投与にかかわらずRSと死亡率に相関(Kaiser Permanente登録症例) ③TAM投与の閉経後ER+n+で低RSは高RSに比較して10年無転移が有意に少ない(p<0.001)(SWOG-8814試験における検討) 【化学療法効果予測因子としての検討】 ER+n-でTAM単剤vsTAM+CMFで化学療法の効果は高RSで良好であった |